【PEOPLE】 ペ・ヨンジュンを構成する5つのキーワード

10asia |


ぺ・ヨンジュン

「ある時、人生を重く感じ、途方に暮れた。しかし今はそのような役割を与えられたことに感謝している。どうせやるなら全力を尽くしたい。もちろん、いつかまた重く感じるかもしれないが」――ぺ・ヨンジュン、連合ニュースとのインタビューから

大きな力と大きな責任、その二つを同時に背負おうとする男の人生。


キム・ジェヨプ

ぺ・ヨンジュンが通った演技塾の院長。
彼によると、ぺ・ヨンジュンはとても誠実で、演技をするためにいつも努力していたという。ぺ・ヨンジュンは10代の頃から家庭の経済状況が悪化し、「最も早くお金を稼げる方法」として演技の道に進んだ。友達と遊ぶより一人でおもちゃを組み立てたりするのが好きな内気な性格だったが、中学、高校時代からは友達とつるんだり、合気道を習ったりと熱心に運動をはじめた。周りの大人たちは彼の変化を心配したが、「大人が自分の経験を元に提示する“正しい道”を歩むだけが答えではない」と考え、高校を卒業してから演技の道に入った。


クォン・オジュン

ぺ・ヨンジュンと共に演技塾に通ったタレント。
ぺ・ヨンジュンは映画「愛したい女と結婚したい女」の撮影スタッフや「初恋白書」のエキストラの経験から可能性を認められ演技塾から無料で授業を受けたのだが、この時クォン・オジュンと出会った。ぺ・ヨンジュンは彼からカンフーを習い、KBSの「愛の挨拶」で共にデビューした。当時ぺ・ヨンジュンは「コンビニのような人になる」という言葉を座右の銘にしていたという。様々な現場での経験から、監督の要求にいつでも応じられる俳優になりたかったからだ。


チョン・ギサン

「愛の挨拶」のディレクター。
ぺ・ヨンジュンを一目見て、「とてもハンサム」だと思った。しかし「あまりにも貴公子のような」外見がむしろ弱点だと思い、ある指示を出したという。それが眼鏡をかけることだ。歴史はこうして誕生した。チョン・ギサン監督の予想通り、ぺ・ヨンジュンはハンサムな顔に眼鏡をかけた柔らかいイメージを見せてくれた。1990年代初め、いわゆる“X世代”の登場と共に“イケメン”が注目され始めた頃、ロマンチックな男、ペ・ヨンジュンが登場した。


故チョ・ソヘ

ぺ・ヨンジュンが出演したKBSの「若者のひなた」と「初恋」の脚本家。
「若者のひなた」でぺ・ヨンジュンをスターダムに押し上げたチョ・ソヘは「初恋」で彼の眼鏡を取り払った。頭はいいが家庭の経済的な理由から挫折し反抗的になるキャラクターは10代の彼と重なる部分があった。バイクでトラックにぶつかる演技もスタントなしでこなし、アクションにも優れていることを証明した。その後、KBSの「裸足の青春」でもアクションを披露し、MBCの「愛の群像」では成功だけを追い求める冷血な男として登場する。KBSの「冬のソナタ」のイメージが大きいが、ぺ・ヨンジュンは地道に自分の中でイメージチェンジを試みて来た。彼は自分の性格について「温厚でも冷酷でもない」と話す。


キム・ヘス

「愛の群像」で共演したぺ・ヨンジュンの相手役。
ペ・ヨンジュンは「(キムヘスと)話すのが好きだった。たくさんのことを学んだ」と言う。キム・ヘスは彼のことを「内向的な性格なので親しくなるまで時間がかかりますが、いったん親しくなると、心を許し深く付き合ってくれる。仕事に関しては完璧主義」と評している。スターになった20代のぺ・ヨンジュンは、「若かったし完璧な姿だけを見せたくて」、また内気な性格も相まって、マスコミの前やバラエティにはあまり姿を見せなかった。マスコミから「神秘主義戦略」だと叩かれやすい状況の中、ぺ・ヨンジュンは「愛の群像」の演技に専念する。このドラマの中の彼は、ロマンチックでもなければタフでもない、貧しい家庭からのし上がって成功をつかもうとするキャラクターだった。感情を出来る限り押さえた演技は、それまでの作品よりも一層深く人間の内面を見せてくれた。1990年代の“俳優”ぺ・ヨンジュンの演技力を確認したければ、必ず見るべき作品である。


イム・ジョンピル

ぺ・ヨンジュンが写真集「THE IMAGE VOL.ONE」に際し、体を鍛えるために起用したトレーナー。
彼はぺ・ヨンジュンを見て、「運動はかなりしてはいるが本格的なトレーニングはしていない。上手く磨けば宝石になれる」と思った。ぺ・ヨンジュンは「他の人と比べ物にならない」という程、彼のトレーニングによくついてきたという。ぺ・ヨンジュンはデビュー当時から、必要であればジャガイモだけを食べるダイエットでさえも厭わなかった。MBCの「ホテリアー」では6キロ、映画「スキャンダル」では7キロの減量をしている。また運動神経も良く、撮影で馬に乗った時も初めてとは思えない自然な姿を披露し、朝から出来るという理由でゴルフを好んでいる。その反面、映画「不滅の恋人 ベートーヴェン」に出てくる「月光ソナタ」を聴くと、その曲を弾けるようになるまでピアノを練習したり、デビュー当時から写真に興味があり、「スキャンダル」を撮影した時にはフォトコメンタリーを作った程だ。ドラマから飛び出して来たような財閥の御曹司、いや財閥そのものだ。


チェ・ジウ

「初恋」と「冬のソナタ」で共演した女優。
ぺ・ヨンジュンは「冬のソナタ」で再会したチェ・ジウに対し、「さらに大人になった」と話した。また「ホテリアー」のソン・ユナについては「大変真剣に演技に臨む」と、KBS「パパ」のイ・ヨンエは「きれいで我慢強い人」と語ったことがある。清らかで純粋なイメージのチェ・ジウは童話のような純愛を見せてくれた「冬のソナタ」とマッチし、ぺ・ヨンジュンのロマンチックなイメージを引き立てた。そして「冬のソナタ」は日本へと輸出された。


ユン・ソクホ

ぺ・ヨンジュンと様々な作品を撮ったディレクター。
もちろん二人の代表作はKBSの「冬のソナタ」だ。劇中、ぺ・ヨンジュンが「時代が要求する必然的な部分」があると語った「冬のソナタ」は、日本で空前のヒットを記録した。「冬のソナタ」放送後、彼が初めて日本に入国した際、「5,000人が大熱狂」というテレビニュースが流れ、「冬ソナ」の撮影地である春川(チュンチョン)市の姉妹都市である岐阜県各務原市では、1,000万円をかけて「冬ソナ」をテーマにした「冬のソナタ春川物語」というイベントを開催し、30億円の経済効果を挙げた。こうしてぺ・ヨンジュンはスターという言葉だけでは語り尽くせない存在、“ヨン様”になった。


イ・ジェヨン

「スキャンダル」の監督。
「僕に映画での可能性もある事を分かって欲しかった」と言うぺ・ヨンジュンは、日本で爆発的な人気を集める中、眼鏡を外した朝鮮時代のプレイボーイを演じた。“ヨン様”となった彼が女性に平然と嘘をつき、時には冷たい表情で女性を捨てる役を演じるとは、誰も予想しなかった。しかし彼は「冬のソナタ」以前にも多様なキャラクターに挑戦をしていたし、“完璧主義”と知られている性格の通り、ほんの数カットのアクションシーンのために何ヶ月も伝統武術を習ったりした。「スキャンダル」のスタッフたちは自分の限界を知り、それを素直に認めるぺ・ヨンジュンの姿に驚いたという。彼は「冬のソナタ」の後にも“俳優”としての道を選んだのだ。しかし、人々がぺ・ヨンジュンをただの“俳優”として見れないほど“ヨン様”のスター性は大き過ぎた。


ソン・イェジン

映画、「四月の雪」で共演した女優。
ぺ・ヨンジュンは「四月の雪」で不倫に落ちる男性を演じ、またもや“俳優”としてのイメージチェンジを試みた。しかし「四月の雪」の「現場の状況や雰囲気により(演技する内容が)絶えず変化する」撮影方法は、完璧に準備して撮影に入る普段とは異なり、彼にとって馴染みの薄い方法だった。それだけに「全く異なる演技法」を学ぶと同時に「持っているものを表現出来ないもどかしさ、やり切ることができなかったという悔しさ」を同時に味わった。また自らも保守的だとする彼が、不倫という素材をこなすことにも厳しいものがあった。それにも関わらず、彼はマスコミからいかなる作品も必ず成功させなければならない俳優とされ、人々はぺ・ヨンジュンを「冬のソナタ」のイメージに固定させた。「四月の雪」は、そのような時期にあったぺ・ヨンジュンが、体当たりでぶつかっていった過渡期であったのかも知れない。当時彼は、CMの撮影中に以前と同じ表情を要求さ、「僕は俳優だ。常に俳優でいたいし、常に演技力を磨こうとしている。だからいつもそうした同じ姿を維持することは出来ない」と苦い表情を浮かべた。


キム・ジョンハク

ぺ・ヨンジュンが主演したMBC「太王四神記」のディレクター。
キム・ジョンハクはぺ・ヨンジュンを「太王四神記」を共に背負うパートナーとして認めた。ぺ・ヨンジュンが作品の問題点を指摘し「このままではディレクターと僕は共倒れする。最後の仕事になるかもしれない」と主張すると、作品の方向性を修正した。しかし「太王四神記」は、ぺ・ヨンジュンが韓流スターとして自身の商業的な影響力を見せつけただけの作品ではない。「太王四神記」では主人公のダムドクが神に近い能力を発揮するのだが、この設定を受け入れることができるのは大きく映しだされたぺ・ヨンジュンの表情が作り出す独自のオーラのためだ。ぺ・ヨンジュンは出演した作品のほとんどで無表情もしくは静かな微笑みだけを浮かべるが、彼のその静かな存在感はまるで人ではない何かのような感じを与え、「太王四神記」のストーリー自体を納得させた。彼は現在の自分の位置やスター性、圧倒的な人々の関心を集めながらも、酒に酔った姿さえ見せないほど徹底した自己管理による品位を溶け込ませた、独特の演技を見せてくれた。「様」と呼ばれる俳優であり、スターである彼にだけ可能な演技。彼よりも多様な演技が出来る俳優は多いだろう。しかし「太王四神記」のぺ・ヨンジュンのような演技が出来る俳優は他にいないだろう。


チョン・ハミョン

ぺ・ヨンジュンが出演したKBSの「ドリームハイ」のキャラクター。
チョン・ハミョンは人を一目見ただけで性格や才能、スター性の全てを見抜くことができる、キリン芸術高校の理事長だ。設定自体はとても現実離れしているが、自らの力で今の地位まで上り詰めたぺ・ヨンジュンの存在感は、このキャラクターを受け入れさせてしまう。それは自らの韓流スターと言う役割を文化の伝達者と位置づけ、職人から直接韓国の伝統文化を学び、「韓国の美をたどる旅」という本まで出した彼の誠実な人生が重なり合ってこそ発揮できる力である。「ドリームハイ」のチョン・ハミョンは新たなスターの卵を見つけてから海外へ飛び立った。ぺ・ヨンジュンが去った後には新しい韓流スターが登場するだろう。そんな彼らの原点であり、最も高いところにいるぺ・ヨンジュンは、また新たな自分の道を歩んで行くだろう。ただのスターと言うにはあまりにも大きな人物。それさえも素直に受け止め、また自分を変化させながら前へと向かう人物。これからの彼は何処へ向かって行くのだろうか。

記者 : カン・ミョンソク