チャン・ドンゴン“人気?プライドを保つために、俳優をする上では必要なこと”

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2010年11月22日、マスコミ試写会で映画“ウォリアーズ・ウェイ”を鑑賞した時、一番気になったのは、今この瞬間、チャン・ドンゴンはどのような気分なのだろうか、ということだ。“砂漠の天使”から“ロンドゥリウォリオ”へ、そして“ウォリアーズ・ウェイ”へとタイトルが変わり3年の月日が流れ、チャン・ドンゴンは長い間、映画の公開をひたすら待ち続けたのである。そのような彼に、自身のハリウッドデビュー作が世界で公開された感想を聞いてみた。チャン・ドンゴンは、自身の作品が公開されるという興奮よりも、韓国を代表する俳優としての責任感をとても大きく感じているのではないか。“ウォリアーズ・ウェイ”は自身のハリウッドデビュー作なので重要な作品として考えているのではなく、韓国とアメリカの両国が対等な立場で合作することができるシステムを築いた作品であるから重要なのだと語った彼のインタビューをまとめてみた。

ー 試写会を終え、インターネットに書き込まれた映画の評論をご覧になりましたか。

チャン・ドンゴン:すべてではありませんが。聞くところによると、(良い評と悪い評が)半々のようですね(笑)好みによって分かれると思っていました。メッセージを伝えたり、人生の意味を見せる映画ではありませんから。見方によっては気に入ってもらえないかもしれないと思っていました。


“薄くても広い観客層を目標にした映画に変わった”

ー 劇中の武術が印象的でしたが、どのくらい練習をされたのでしょうか。

チャン・ドンゴン:半年間練習したのですが、怪我をしたため実際は4ヶ月ほどです。東洋で一番の武士という設定ですが、イヨンゴルさんやキョンジャダンさんのような俳優のように、華麗な舞台を見せる役ではありませんでした。一回刀を振りかざすだけでも品位があるように見せなければならないので、その点でも気を使いました。

ー 英語の台詞は難しくなかったのでしょうか。

チャン・ドンゴン:あまりしゃべらないキャラクターだったので助かりました(笑)発音の先生を付けて勉強しましたが、アメリカ人が聞き取りやすい発音を教えてくれたのではなく、東洋から来た武士という設定に合う発音を教えてくれました。そのため、昼は剣術の訓練、夕方は台詞の練習をしました。実際、半年の準備期間があるのに、その程度の台詞ができなかったらいけませんからね(笑)

ー 後半の作業だけでも2年間もかかりました。今この時の演技を見ると、新鮮に見えるのではないでしょうか。

チャン・ドンゴン:今より少し若いようですね(笑)過ぎ去ってみると、恥ずかしく残念な点も見えます。もちろん20代の時に出演したドラマを見る気分とまではいきませんが、今だったらもっと違うように演技をするのにと思う部分もあります。公開されるまでの時間が私にとっても待っていてくださった方にとっても長かったのですが、ハリウッドのスタジオで作った映画ではないことを考えれば、そんなに遅れたのではないとのことでした。

ー ハリウッドに進出した初めての作品です。まがい間待ち続けた分、とてもよく出来た作品のようにみえます。

チャン・ドンゴン:始めは、特定のターゲット層が好む映画として企画されました。でも制作費が増え、規模が大きくなったため、そうでない映画になってしまいました。薄いけど、幅広い観客層を目標にした映画になってしまったのです。それが悪いと言っているのではなく(笑)しかし始めに期待したものよりもまた違った点が浮かび上がりました。さらに完成度が高い作品に仕上がったとしたらもっと良かったのでしょうが、結果についてはだいたい満足しています。私のキャラクターは、最初のシナリオの設定がたくさん生かされている方ですし。

ー 特定の観客が好む映画とは、今より惨忍でマニアックな映画のことでしょうか。

チャン・ドンゴン:そうです。初めてシナリオに目を通し監督に会ったとき、ロバート・ロドリゲスやクエンティン・タランティーノの映画のようなイメージでした。とても独特な作品に見えました。またとても惨忍ではあるものの、重くはない感じ。そのような部分がとても希薄になったのです。


“いつしか、都市を舞台にし普通の服を着て撮影した映画がなくなってしまいました”

ー 東洋の俳優はハリウッドではアクション俳優として活動するという印象が強いのですが、“ウォリアーズ・ウェイ”ではアクションと同じくらいロマンスも大切な要素だと思います。

チャン・ドンゴン:アメリカではまだアジアの男性俳優といえば“アクション俳優”という印象がまだ強く残っているようです。私はアクションが上手な俳優ではなく、アクション“も”上手い俳優、欧米の観客に様々なキャラクターをお見せできる俳優になりたいと思っています。ケイト・ボスワースとのキスシーンを撮影した後に聞いた話ですが、それまではアジアの男優とハリウッド女優とのキスシーンはあまりなかったとのことです。アジアの男優が演技できる役柄がまた一つ増えたのだなぁと思いました。

ー この作品だけでなく、ハリウッドでは出演のオファーが多かったように思われます。ハリウッド映画で演じたい役柄は、どのようなものなのでしょうか。

チャン・ドンゴン:オファーを頂いた役柄は、恥ずかしいキャラクターも多かったです(笑)注射を打たれ急にスーパーマンになる、そんな作品など(笑)いつしか、都市を舞台に普通の服を着て撮影した映画が無くなってしまいました(会場爆笑)もし今、そのような役を演じたとしたら、魅力的な姿をお見せできる自信はあります。

ー アメリカではあなたは新しく登場した俳優ですが、国内では人気絶頂のトップスターです。生まれて100日にも満たない子供のゴシップ記事がよく目に付きますが。

チャン・ドンゴン:“年齢に合った人気”というのがあると思うのです。この年で、アイドルのような人気を期待するわけにもいきませんから(笑)俳優を今後も続けたいのですが、プライドを保ちながらするにはある程度の人気がなければならないですよね。実際、人気というのはいつかは無くなるものなのだから。この映画が私をキャスティングしたことも、韓国の観客の支持がベースになっているためですよね。だから、ファンに対していつも感謝しています。子供についての関心もそうです。たまにストレスも感じ、子供にこの状況を知られていないのが幸いだとも思います。でもこの程度は受け止めなければならないことだと私も妻も思っています。ちゃんとコントロールしないとね(笑)

ー 最後に、ハリウッド進出を考えている他のアジア俳優に助言をするとしたらとのようなことでしょう。

チャン・ドンゴン:そうですね、助言というよりもこのようには考えます。海外進出作ということに重点を置く方は多いのですが、私がこの作品を成功させなければならない一番大きな理由は、韓国の企画案をハリウッドがお金を払い買った対等な合作システムというためです。今まではアジアの市場をターゲットにしていたためアジア俳優を起用し楽な役割を与え映画を撮影しましたが、この映画は私たちがやりたい話を作ることがでいる環境を作ったと思うのです。それがこのシステムの力であり、この映画が良い意味で前例になれば、このような形態の企画がさらに増えることでしょう。

記者 : イ・スンハン、写真:イ・ジンヒョク、編集:ジャン・キョンジン