「権力に告ぐ」チョ・ジヌン“自分の教育水準が低くはないのに…腹が立った”

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写真=Ace Maker Movie Works
「どうして僕がこんなにやられたか? 僕が? 腹立ちませんか?」

最近、ソウル鍾路(チョンノ)区三清洞(サムチョンドン)のあるカフェで出会ったチョ・ジヌンは声を高くして聞き返した。インタビューの間、終始熱弁を吐いていた彼からは熱い使命感が感じられた。

映画「権力に告ぐ」はアジア通貨危機以来、2003年から2011年まで行われたLonestarの外換銀行安値売却事件を描いた。映画「折れた矢」「南営洞1985」などで、鋭い視線をアピールしたチョン・ジヨン監督がメガフォンを取った。

この作品でチョ・ジヌンは、汚名を晴らすため事件の内幕を暴く過程で巨大な金融不正の実体と向き合うヤン・ミンヒョク検事として熱演を披露した。

――「権力に告ぐ」を観た感想はいかがでしたか?

チョ・ジヌン:スピーディーな展開に驚きました。このようなストーリーの展開がこんなに速いなんて。あっという間に過ぎていきました。客観的な視線で事件を見るようになっていて良かったですし、とてもストレートに走っていく感じがしました。

――映画は実際の事件をモチーフにしています。当時のことを覚えていますか?

チョ・ジヌン:当時、僕は大学生でした。僕の家庭の経済状況はそんなに悪くはありませんでしたが、アジア通貨危機の際にひどくやられて大学の登録金がなく、初めて学費の融資を受けました。知ってはいますが、自分の税金が使われると思えないくらい彼らが持った権力でうまく政治をしたわけなんですよ。

――イ・ハニさんは「悔しい」「もったいない」と表現しましたね。

チョ・ジヌン:僕は食べて生きていけるくらいのお金があるからもったいないとは思いません(笑)。ですが、じっと考えてみたら腹が立ちました。自分の教育水準が低くはないと思うのに、どうして僕がこんなにやられたのか? 大韓民国の国民を愚弄したわけなんですよ。5兆8千億ウォンなら、一人暮らしの高齢者やご飯が食べれない子供を支援するなど、やることがいっぱいなのに。

誰かがシナリオを目の前に出したら「目を開けたまま鼻を切られた、観客に話さなきゃ」と思いました。誰かが取り上げなければならない、その誰かがチョン・ジヨン監督でした。ありふれた告発ルポのような映画を監督がうまく演出してくださり、たくさん拍手をしました。完成型の監督です。

――映画でヤン・ミンヒョクは終始怒ってますよね。

チョ・ジヌン:ただ生きていたんだと思います。怒りましたが、どこかにぶつかると傷が残るじゃないですか。でもヤン・ミンヒョクはただ痛む人間ではなかったんです。自分なりに理性的にこの事件に対して判断し始めます。「これって怒ることじゃないな」と客観的に見つめることになります。その観点に変わる時点があるから良かったと思います。でも緊張感はキープしなければいけないので、そこをうまくやるのが簡単ではありませんでした。

――チョン・ジヨン監督に対して「永遠の青年監督」と呼んでいますが、どう思いますか?

チョ・ジヌン:そんな風に感じた瞬間がとても多いです。監督は父と同い年なんですが、父は速く歩けないことが多いです。ところが監督は現場で指示をする時、無線器を使わず僕たちがいるところまで直接走ってきます(笑)。単に動きが多いという意味ではなくて、自身の意思をとても正確に貫こうとしているようです。

なので、僕も年齢を気にせず「監督、こうじゃないですか」と言うようになります。すると監督は「お前、何を言ってるのか」と言うのではなく、「そう? そんな風にやってみるか?」と言ってくださります。ただの同僚です。そうやって自分の意見を躊躇せず話し合える関係がカジュアルじゃないですか。

――強い政治色にプレッシャーはありませんでしたか?

チョ・ジヌン:むしろ、徹底的に色に偏らなければならないと思いました。メロも、コメディも、エロもあるから、こんな映画も存在しなければならない、こんな話法で話さなければならないと。

「チョ・ジヌンという楽器を通じて伝えることができそうだ」これが確実なら躊躇する理由がないと思いました。自分がうまくできるかに対しては、自ら考えてみます。僕に上手くできるか? 他の人がもっと上手にできそうだったら渡します。

――「権力に告ぐ」で社会的な反響が起きてほしいですか?

チョ・ジヌン:社会的な反響が起きればとてもいいと思います。多くの人々が争議できるきっかけになって欲しいです。目的なしではこのような映画に出演することができません。ある記者さんからは「チョ・ジヌンはいつもこんな映画ばかり出演しているようだ」と言われましたが、そうではありません。当時は「まあ、専攻ですね」と笑い飛ばしてましたけど(笑)。

――映画で社会に変化を引き起こすことができると思いますか?

チョ・ジヌン:卵で岩を割ることと同じですね。200万年くらい打ち続けば小さな傷はできるのではないでしょうか。ある監督がこんなふうに言いました。「光速に耐える卵を開発し、それを光速で投げれば卵で岩を割ることはできる」と。そんな風にしてでも、壊すという目的を持っていかなければなりません。「食えない柿に傷でもつけよう」という方法ではありません。こうやって告発し、ぶつかろうとする人がいるから続けてみなさいと言ってるんです。

――チョ・ジヌンが説明する「権力に告ぐ」はどんな映画ですか?

チョ・ジヌン:娯楽映画なのに、お金を持って何かをするというストーリーがそんなに観たくないかもしれません(笑)。タイトルも「金融犯罪実話劇」という盲点がありますが、それでも劇場中から見たら娯楽性の濃い劇映画としての活用度は高いと思いました。そして経済活動をする全ての人々はこの映画を見なければなりません。見て認識する必要があります。

記者 : ソン・ミンジュ