INFINITE エル「批判は頑張る原動力、ポジティブに受け入れている」

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写真=Woolimエンターテインメント

2010年にINFINITEとして歌謡界にデビューしたエルは、韓国内外を行き来しながら活発な活動を行ってきた。同時にドラマ「勉強の神」を通じては、演技者としても活躍を始めた。そして2012年からは、演技をする時には本名であるキム・ミョンスを使っている。歌手である時と俳優である時の活動名を分けることで、それぞれで異なる姿を見せていくという覚悟から、そのようにしたのだという。2013年のドラマ「主君の太陽」では、ソ・ジソブの幼い頃の姿を演じ、徐々に演技者としての存在感をアピールした彼は、2014年のドラマ「僕には愛しすぎる彼女」では主人公を務めてカリスマ性の溢れる姿を見せた。昨年に韓国で放送されたドラマ「仮面の王 イ・ソン」や、最近韓国で放送が終了したJTBCドラマ「ハンムラビ法廷」を通じては、俳優としての位置づけをしっかりと固めることができた。演技をしている時には、自身に不足してる点を几帳面にチェックし、視聴者の反応も軽く流さないという彼の魅力に迫る。

――ドラマ「ハンムラビ法廷」の韓国での放送が終了しました。その感想はいかがですか?

エル:劇中のイム・バルン判事をたくさん愛してくださり、感謝しているばかりです。今後も色々な作品で、新たな姿や成長した姿をお見せしますので期待してください!

――現職判事であるムン・ユソク作家が書いた作品でしたが、他の作品と違った点はありましたか?

エル:今まで出演したドラマでは、作家が撮影現場にほとんど来ていなかったです。でも今回は違いました。ムン・ユソク作家は意思疎通するのが好きな方です。撮影の時にも「しんどくないか? 」とよく尋ねてきました。5ヶ月に及ぶ撮影の間、10回も現場を訪ねてくれて「僕が書いたキャラクターたちが生きて呼吸している」と言って、とても喜んでいましたね(笑)。他の作家の方々とは色々な面で違いましたが、僕とはとてもよく合っていたと思います。実際の裁判所を訪ねて、ムン作家が仕事をしている姿を見ながら勉強したりもしました。

――最近もムン・ユソク作家に会いましたか?

エル:漢江(ハンガン)で自転車に乗りながら、5時間以上話しました。お互いに性格が似ているのでよく合います。美味しい食べ物も食べて、健全な趣味生活を楽しみました(笑)。

――事前製作ドラマの出演は初めてでしたが、出演した感想はいかがでしたか?

エル:ドラマの放映中に撮影をしていると視聴者の反応を即時に得られるのですが、今回はそれらを全く気にせずに演技できるという点が良かったです。フィードバック無しで撮影をしていたので、撮影現場の雰囲気も明るくて愉快でした。撮影の間は誰一人も神経質になりませんでしたし、雰囲気が重いということも無かったです。それが事前製作の長所のようです。僕自身もやはり、精神的に安定していました。

――共演した俳優ソン・ドンイル、Ara、リュ・ドクファンらとのケミ(ケミストリー、相手との相性)はどうでしたか?

エル:Araは子役出身で、長い間演技をしてきているので、感情を表現するのがとても上手です。「ハンムラビ法廷」では僕が末っ子で、演技の経歴も短いのでソン・ドンイル先輩やAra、リュ・ドクファンなど、みんなに学ぶ点が多かったです。

――発声や発音が良くなったという好評を得ていましたが、これについてどう思いますか?

エル:視聴者の反応やコメントは全部見る方なので、これまで指摘されていた部分も全部わかっています。だから発声も良くしようと努力していたんです。特別何かした訳ではないのですが、腕立て伏せをした状態で大声を出す練習はしましたね。自然と年を取って変化した部分も、もちろんあります。何よりも今回はイム・バルンというキャラクターが持っているものを、最終回までしっかりと表現していこうと考えました。

――今回の作品は良いコメントの方が多かったのではないですか?

エル:良い評価をしてくださったので感謝しています。だけどまだ僕の長所を書いているコメントよりも、短所を書いているコメントの方が目につきます。僕は、批判的な評価もポジティブに受け入れています。もちろん初めてそのようなコメントを読んだ時は辛かったけれども、だんだん慣れてきました。役に立つコメントもありますからね。イマイチだと思っていた点を指摘して貰えると助かりますし、僕自身も「もっと一生懸命やらなければならないな」と思う原動力になっています。僕の成長を応援し、好いてくださる方々の期待に応えたいので、僕の足りない部分を受け入れながらも様々なことに挑戦しています。

――判事役を演じてみて社会問題にも関心を持つようになりましたか?

エル:これまではインターネットでニュースを見る程度で、じっくりと社会問題を考える方ではありませんでした。しかし今回のドラマを通じて、実際にあった社会問題やこれから起こり得る問題などに接してみたことで、社会をもう一度考え直す契機にもなりました。

――最も記憶に残る事件(エピソード)は何ですか?

エル:第3話の焼き肉屋の鉄板事件です。その事件の被害者と加害者は2人とも利己的な人のように見えましたが、人知れない痛みを持っていました。その人の外側だけを見て勝手に判断をしていましたが、その中身を知ってみるとさらに深いストーリーがあったので心に残っています。これまで僕が、外見に先入観を持って勝手に判断したり行動したことはなかったかについて考え直すきっかけにもなりましたね。「ハンムラビ法廷」の長所は、どんなエピソードでも自分自身に残るものがあるということです。多くの人々が共感できるような事件を扱っているからでしょうかね。

――男女のロマンスがなくて残念ではなかったですか?

エル:本当にイム・バルンはロマンスが殆どなかったですよね(笑)。普通はドラマでたくさん出てくるキスシーンも、15話のたった1回のみでしたし。6話でパク・チャオルム(Ara)と微妙なラブラインはありましたが……(笑)。どうしても法廷ドラマというと、人々は“裁判所での恋愛を扱ったドラマ”と思うでしょうから、作家も気を遣って台本を執筆されたようです。ロマンスが無くて惜しい気持ちもありますが、一方では無くて良かったとも思っています。だからこそ視聴者はイム・バルンとパク・チャオルムのロマンスが、より切なく感じられたと思いますからね。

――俳優としてのターニングポイントはMBCドラマ「仮面の王 イ・ソン」でしょうか?

エル:どれか1つだけを選ぶことはできないと思います。デビューして9年目になりましたが、一度も休んだことがありません。今年の目標が「休息日を持つこと」と言っても良いくらいにです(笑)。予定が無くても、頭の中ではずっと次の計画などをたてて仕事をしています。休むことなく走り続けてきたことで、自然と成長できたのだと思っています。

――休みなく走り続けられる原動力は何ですか?

エル:いつも自分はまだ足りないと思っています。モニターをしながらも、上手く出来たことより惜しい点の方が先に目につきます。歌の面でも演技面でも、僕を支持してくれる人々や期待してくださっている人々を、失望させたくはありません。そのような想いが原動力になっています。

――今年の下半期の計画は?

エル:僕の次の計画はソロレコードを発表することです。演技面では次期作も検討しています。今は休み無く走り続けなければならない時期だと思っています。どんな作品でも、挑戦してみたいと思ったものなら挑戦するでしょう。

――9年前と今で最も変わった点は?

エル:同じ年頃の友達よりも目上の方々にたくさん会い、多様な経験をしているので絶えず成長しているようです。19才でデビューしたのに、いつの間にか27才です。デビューの初めの頃に持っていた考えで、今でも続いているのもあれば変わったこともあります。経験が多くなる度に外見的にも変わりましたし、性格もすごく変わりました。

――演技のどのような点が面白いと感じていますか?

エル:劇中の人物になれるということですね。僕は判事になれないし、ドラマ「仮面の王 イ・ソン」でのイ・ソンのような過去の人になることもできませんが、劇ではそれが可能です。それ自体が演技の最も良い所だと思います。

――最終的な目標は何ですか?

エル:俳優キム・ミョンスと歌手エル、二つの領域で認められることです。演技をする時はキム・ミョンスという本名を使っていますが、まだ歌手のエルとして見ている人々の方が多いようです。エルではなく、キム・ミョンスとして認められるというのも目標ですね(笑)。絶えず成長する姿をお見せしていきたいです。

記者 : キム・ハジン、翻訳 : 安裕美