ZE:A ドンジュン「どんな仕事をしていても幸せを感じていたい」

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今から7年前、ボーイグループZE:Aでデビューしたドンジュン。ステージの上で縦横無尽に駆け回っていた彼は、ある瞬間に“演技”という新たな領域に足を入れた。秀麗な容貌で演技をうまくやりながら、次々と多様な作品に出演した。そんな彼は、昨年11月より放送が開始したKBS 1TV「輝けウンス」で、毎日視聴者に会っている。

120話という長い旅路を始める前は、怖気づいたりもした。自身に対する信頼が不安へと変化した。物語の半分を走ってきた今、流れた時間の分だけ不安は減った。劇中、ユン・スホと出会って成長し、以前は分からなかったさまざまな感情に接している今日この頃だという。自ら不安という中に閉じ込もるのを止めて、可能性を信じることにした。そしてもう一つ、いつも明るく元気溢れる心地良い人になることを願う。

――連続ドラマで視聴者と毎日顔を合わせていますね。

ドンジュン:昨年10月末から撮影を開始したから、もう5ヶ月に入りました。撮影を早く始めたので、時間的な余裕がちょっとあります。

――毎日撮影しているんですよね。これまで撮ったミニシリーズや映画とは違うと思います。

ドンジュン:演技をはじめ、こんなに長い呼吸が必要なお芝居をするのも初めてだし、いろいろと初めてなことが多いです。セット撮影の時、カメラ3台が一度に回ることも最初は驚いたくらい(笑) 僕は演技をずっとやって来たわけじゃなくて、途中で休んでいる時期もありました。これまで出演した作品の中で、本作は最も比重が大きくて心配で。連続ドラマというのは非常に忙しいと聞いていて、上手くできるだろうかと自分への懸念も大きかったです。自らを信じられない状態で撮影を始めました。一方で、新たな出発点になるとも思い、いつか他の作品でも苦しむかもしれないであろう、いろいろな状況が出てくるので勉強になってます(笑)

――しかも大先輩と演技ができますしね。

ドンジュン:今回の作品に参加しながら多くの感情を抱きました。家族、愛、会社で起こる事などなど。そこには“演技の先生”がたくさんいるので、一日中見ているだけでも大きな勉強です。撮影をしながらたくさんのことを質問していますし、長い時間一緒にいるので、その分距離が近くなりました。

――年齢的にも良いタイミングだったのでは?

ドンジュン:もちろん今もまだまだだですけど、以前は別の場所に視線を置く余裕がありませんでした(笑) 競馬場で走る馬のように前だけを見て走っていたんですが、今は時間が少し経ったからなのか、以前より視野が広くなった気がします。心の視野も含めて。このタイミングでこのドラマに出合えて良かった思います。

――キャラクターの紹介だけを見ていたら、ここまで深まってくるとは思いませんnでした。ご自身も演技をしながら驚いているのでは? (笑)

ドンジュン:最初は典型的な金持ちの家の末っ子でした。これまで世に出たドラマにたくさん登場する感じの(笑) それで、どう描いて行けばいいか悩んだ末、自制心の欠ける子が成長し大人になっていく過程を見せたかったんです。スホという人物を演じながら、幼い男が大きくなっていく、本当の成長ドラマの一遍が入り混じっていると考えています。責任感を持って、責任を負う過程を全部見せています。

――まさにスホとドンジュンの成長ドラマですね。まだたくさん残っていますが、終わった後の余韻が深く残りそうです。

ドンジュン:濃く残るでしょうね。なぜなら、完全にこの作品だけを考えて生活していますから。出演を決めた時から、制作スタッフもそうして欲しかったし、僕もこの作品だけに集中したかった。他のことは考えずに没頭しようとしたし、おかげで本当にいろいろ感じました。

――一つのキャラクターを長い間演技していたら、似てくると言われますが……。

ドンジュン:日常で人々とふざけたり、気持ち的にも柔らかくなった面もあります。本当に自制心がなくなったかもしれない(笑) 相手役に会えば、それがもっと大きく作用します。父とのプライベートな会話、兄貴との関係、ヨンウン姉さんといる時、それぞれ違ってくる。以前は愛嬌がなかったのに、ふざけている僕の姿を見ながら、完全にスホが溶け込んでスホとして生きてるんだなと思ったりします。

――上手くやりたいと思うほど心残りも大きくなりませんか?

ドンジュン:毎瞬がそうです。シーンが終わったら、もっと良くできたんじゃないかという心残りも大きいし、まだまだ未熟だなとも思っています。ジェットコースターに乗っているかのように、少しずつ上がって、一気に落ちる気分。停滞期もあるし……だから、監督や先輩たちと会話をたくさん交わしたんです。この方法が合ってるのかを聞いたりして、そうしてまた成長するんだと思います。

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――監督や先輩にアドバイスを求めても限度があるだろうし、ある一定以上は自分一人で向き合う部分がありますよね?

ドンジュン:元来は家にいるのが嫌なタイプなんですが、最近は家にいるようにしています。他の環境の影響を受けないように、孤独になってみようとしています。演技だけではなくて、自分一人の戦いってありますよね。モニターしながら、たくさん自責してみたりもして。自分だけだと客観的に見られないから、モニターは主に知人とします。一緒に見てくれる方が赤裸々に評価をしてくれるし(笑)

――それでも演技ばかりはどうしようもないですよね。

ドンジュン:視聴者の反応も気になります。僕は良かったと思っても、視聴者の皆さんにとってはあまり良くなかったり。現状は、特に不愉快も持たず面白いのかな。刺激的な部分もあまりないですし、リラックスして観ることができるドラマだと思います。

――大衆を考える、ということ自体とても成長した証だと思います。

ドンジュン:他の俳優さんたちのインタビューを読むと、以前は体感できなかった言葉の意味を、今は少しだけ分かるようになりました。

――主人公として、現場で感じることもありますよね。雰囲気を引っ張って行かなければならない時もあるでしょう。

ドンジュン:初めて演技をしたのは映画「ある会社員」でした。主演のソ・ジソブさんが言っていたのですが「撮影現場の雰囲気は、俳優が作っていくんだ。できればより多くの方と交感もして、そして幸せにしたら良いんだよ」という話をしてくれて。その言葉を常に心に刻んでいるんです。イム・チェム先生も「こんなに多くのスタッフが苦労しているんだから、楽しんでやらなきゃいけないんだ」と言われる。その言葉を聞きながら、役割の大きさ、分量の問題ではなく、俳優たちがどう作っていくかによって、作品のエネルギーが変わるということが分かりました。同じ目標を置いて頑張る人たちだから、その中でどうすればもうちょっと幸せになれるだろうかと、探っていくんじゃないでしょうか。

――“幸せ”という言葉、胸に響きます。

ドンジュン:幼い頃からそうでした。幸せを感じていたい(笑) どんな仕事をしても幸せを感じていたい。もちろん結果も良ければ感謝しますが、一緒だった記憶を思い浮かべるだけでも、「あの時ああだった……幸せだった」と、笑顔を作ることができればいいなと思うんです。毎瞬大変だったけど、最後はそれでも一緒で幸せだったと言えれば、それで良いです。

――演技をする時はいつが一番幸せですか?

ドンジュン:まだ子どものような気持ちがあって(笑) しっかり予習をして行った時、スタッフが「よくやった」と言ってくれる時が幸せですね。そして、視聴者もそのシーンを気に入ってくれたら、撮影過程は大変かもしれないけど、一番面白いと思う部分ですね。

――ドラマや映画、今では楽しみながら見れないんじゃないかと思うのですが……。

ドンジュン:毎瞬が勉強だという言葉も、少しは理解できます。ZE:Aの活動の時も、現場に行ったらすべてのアーティストのステージを見ていました。それは最大の刺激だったからです。今でも思い出すのは、FLY TO THE SKYのステージを見た時の感動です。だからドラマと映画も同じです。「こんな風に作られるんだな……」と発見しながら「僕もやってみなきゃ」と思っています。

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――演技の味を知れば知るほど、欲心も生じるのでは?

ドンジュン:今回の作品に参加しながら感じたことは、少し暗い役柄を演じてみたいです。他の人々が共感する暗さというか。映画「ザ・キング」のリュ・ジュンヨルさんを観てノワールもやってみたいと思いました。「また!? オ・ヘヨン~僕が愛した未来(ジカン)~」で神話のエリックさん、ホ・ジョンミンさんなどの役柄もそうだし、いろいろなキャラクターを演じてみたいです。

――「輝けウンス」も残り半分となりました。まだまだ得て感じることも多そうです。

ドンジュン:劇中では結婚までしたので(笑) 感覚的な経験ですが、結婚もすべての瞬間が幸せなことばかりではないんだなということが少しだけ分かりました。ハハ。現実的な家族の話に、責任感という一番重いものものもあるし。幸せな結婚生活は、容易ではないんですね(笑) 本当に、スホと人間ドンジュンが成長するドラマですね。

――確実に得たものが多い作品だと、長い間記憶に残りそうですね。これからドンジュンの望みはなんですか?

ドンジュン:今回の作品で演じながら、確実に、僕にも可能性があるんだということを感じたんです。それを疑っていたんですが、疑いの心はだいぶ減りました。勇気をもらったし、糧として飛躍できたらいいな。そして心地良い人になりたいと考えています。僕から明るいエネルギーを感じてもらい、そして共有できる人に成長したいです。できればすべての人に良い人として映りたいけど、それは欲です。僕を好きになってくれて、僕が好きになる大切な人に、もっと表現して感謝して、彼らにとって心地良い人になりたいです。

記者 : キム・ハジン、翻訳 : 前田康代、写真 : イ・スンヒョン