緊迫感ある病院内のビタミンのような存在、チフン

国の秘密任務を担うエリート軍人と、勝気な女性医師が出会ったことから始まる愛を描いた国民的大ヒット作「太陽の末裔」。主人公カップルのロマンスを軸に、軍人と医師たちの奮闘と葛藤、そして成長をドラマチックに描く本作で、“成長”部分を担うのが、レジデントのチフンだ。

発展途上国での医療活動に生涯をかけたシュバイツァー医師に憧れ医師となったチフンは、苦労を知らない天真爛漫なおぼっちゃま。周囲を明るく元気にする、ビタミンのような存在だ。そんな彼がウルク医療奉仕団に参加することに。医師としての夢と志はあるものの、まだまだ頼りないチフンは、半ば観光気分で向かったウルクで、医師として、人間として大きく成長する。

初のシリアス系ドラマで、振り幅の広い演技で魅せる！

チフンを演じるのは、日韓で活躍するSHINeeのリーダー オンユ。2010年「兄弟は勇敢だった」を皮切りに、「ロック・オブ・エイジ」など数々のミュージカルを経験し演技力を上げていった彼は、今作でシリアスなドラマに初挑戦した。

オンユに会うたび、ほんのりと温かい体温を感じる人だと思う。過剰に前に出ようとせず、空気のようにその場に馴染み、こちらを優しく受け止めてくれる。インタビューの正直な答えにはまっすぐした人柄が感じ取れる。オンユの演技には、そんな彼の性質がよく表れていると思う。演じるキャラクターを素直に受け止め、ちょうどいい体温で忠実に演じる。そんなオンユらしさに加えて、演技の振り幅をも見られるのが「太陽の末裔」だ。物語の序盤で、ちょっとおっちょこちょいな“末っ子”っぷりを持ち前の笑顔で演じたかと思えば、物語の中盤では、心に重荷を抱え救われるまでの心境の変化を、後半部ではキュートかつ頼もしさを兼ね備えた演技で魅せる。「オンユってこんなに演技がうまかったっけ？」と、本当に驚かされた。

成長痛としての涙、孤独な戦いを乗り越えた涙……“涙の演技”に、どんどん引き込まれること間違いなし

特に泣きのシーンが好きだ。1つの涙でチフンの複雑な心境を全て説明してしまう神演技に、何度も泣かされた。例えば、シリーズ中盤での嗚咽シーン。言葉の通じない少年の手をギュッと握りしめながら嗚咽するのだが、胸をかきむしるようなもどかしさと、自分に対するやるせなさ、消えない自責の念、見て見ぬふりをしようとしても変えられない過去の過ち、その全てを“泣き”で語る。

またその後のエピソードで登場する、泣きのシーンは、オンユの演技史上最高のシーンといっても過言ではないだろう。“ある出来事”のせいで自分に心を開かない患者ミンジェの一言に、泣きじゃくるという、ほんの30秒にも満たないシーンなのだが、孤独からの解放感、苦境を乗り越えた安堵感、“自分も笑ってもいいのだ”という喜び……チフンのそれまで言葉にできなかった様々な思いを、“泣きじゃくる”という行動一つで、見事に説明するのだ。1シーンで、ここまで役柄の心境を語れる俳優はなかなかいない。本業がアーティストならばなおさらだ。他にも、今作にはオンユの泣きのシーンがいくつかあるので注目だ。

“チフンの成長記”は、ドラマ上はサブストーリーの一つでしかない。だが、オンユの演技によって、ドラマにより厚みを出すアイテムになったのは間違いない。オンユいわく「今作は自分にとってターニングポイントとなった作品」。チフンの成長記であり、オンユの俳優としての成長記でもある今作。オンユの成長を感じながら見ていただきたい。

ライター：酒井美絵子

■作品情報
「太陽の末裔 Love Under The Sun」

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※レンタルDVD Vol.7～13 同時リリース中
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【発売・販売】NBCユニバーサル・エンターテイメント
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