「そう、家族」イ・ヨウォン“妹といつもケンカしていたが、今ではかけがえのない存在”

10asia |

「実際も多情多感な性格ではありません。何かといちゃもんつけるタイプで、私を知っている人は『そう、家族』でのスギョンを見たら完全に私だと言うはずです」

女優イ・ヨウォンは、映画「伝説の拳」以来4年ぶりにスクリーンに帰って来た。これまでテレビドラマで接することができるカリスマで、“ガールクラッシュ(女性から見てもカッコいい女性)”を思わせる役割を多く演じたイ・ヨウォンは、先日韓国で公開された映画「そう、家族」(監督:マ・デユン) では、人間味のある貧乏人オ・スギョンを演じている。気難しそうに見えるがいつも不始末をしでかす父親と兄、そして見境のない妹との間で孤軍奮闘する。

「どんな家族でも、大なり小なり葛藤はあるでしょう。共感しながらシナリオを読みました。私が引き受けた“オ・スギョン”は、家族を敵のように見ているが最終的には彼らの世話を焼きます。これまで引き受けた役柄は、主体的で自ら決断するキャラクターだったが、オ・スギョンは野心ではなく生活力の強い人物です。両親の借金も返済しなければならず、私だけでも良くしなきゃという考えで走ってきたのではないかと」

イ・ヨウォンは、外ではしっかりしていて引き受けた事をきっちりこなすが、家では家事を後回しにして部屋の中はめちゃくちゃ、人間的な“オ・スギョン”とも実際に似ていると述べた。「中高の時、私の部屋がそうでした。だけど誰も部屋に入れないようにして、部屋の掃除もさせませんでした。私の物はどこにあるか私が知ってるから(笑) 多分、私を知っている人は、スギョンを見たら完全に私だと言うと思います」

元々、家族映画が好きだという彼女は、「『そう、家族』は、新派(今現在の現代劇) じゃなくてよかったです。予想通りの内容もあるが現実的でした。女優たちの個性が強く、監督もオーバーにならないように演出したみたいです。面白く見れる映画が誕生したと思います」とうなずいた。

イ・ヨウォン、チョン・マンシク、イ・ソム、チョン・ジュンウォンなど、全く違う魅力の出演陣は映画の観賞ポイントだ。荒い役柄を主に引き受けてきたチョン・マンシクと、神秘的な容貌のイ・ソム、成熟した子役チョン・ジュンウォンと兄妹になったイ・ヨウォンは、「4人は全く似合ってなかったです。むしろそのようなぎこちなく距離感のある姿が、私たちの映画とぴったり合ったと思います」と述べた。そして子役のチョン・ジュンウォンへの称賛を惜しまなかった。

「映画を見ながらボロボロ泣きました。(チョン) ジュンウォンがお墓で泣くシーンで涙が溢れました。とても上手でした。私は多情多感な性格ではないので、映画のように何かといちゃもんつけました。私は仲良くなって慣れてきたら、いびってそれ以上言うなと言うタイプです。ジュンウォンがそれをしっかり受け入れてくれました。お互いの相性が良かったんです」

映画の中でイ・ヨウォンは、冷たいスープを頭から被るなど壊れた姿も見せている。彼女は「やったことのない姿でプレッシャーを感じました。どうしたらいいのか分からなかったです」としながらも、「笑う人も多かったし、自然に上手く撮ってもらえました」と満足した。

四兄妹の間で苦労する撮影をしていたイ・ヨウォンは「実際に妹が1人いるが、1人しかいないので良かったなと思いました」と笑ってみせた。

「小さい頃はいつもケンカしていました。私の記憶では、両親は妹しか気にかけてくれなかったと感じていたけど、そうではなかったと今になって思います。大人になったので、申し訳ない気持ちが大きくなりました。余裕もあって、今では色々とやってあげられる立場だから、やってあげようと努力しています。妹も最近では『お姉ちゃん最高』とも言ってくれたりします。この世のどんな友達よりも近くて気の休まる間柄です。両親よりも気持ち的に頼ったりしていると思います」

記者 : チョ・ヒョンジュ、翻訳 : 前田康代、写真 : イ・スンヒョン