【REPORT】ミュージカル界の風雲児チェ・ジェリム、初のソロコンサート開催…みごとな歌唱力と表現力で観客を圧倒
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チェ・ジェリムといえば、昨年上演された『ジーザス・クライスト・スーパースター』でジーザスとユダの二役をみごとに演じ、一躍脚光を浴びたミュージカル界の風雲児。声楽家出身らしい美声とエネルギッシュなパフォーマンスを兼ね備え、次世代を担うと目されるニュースターだ。今回のコンサートは全15曲だったが、そのうちの6曲が「Heaven On Their Minds」「Gethsemane」など『ジーザス・クライスト・スーパースター』からのナンバーで、持ち前のハイトーン・シャウトが炸裂、舞台の感動が再現された。終盤には彼の恩師であり、音楽監督、演出家としても知られる女優のパク・カーリンがサプライズ・ゲストとして登場。名曲「Everything's Alright」をデュエットして客席を沸かせた。
コンサートも大詰めとなり最後に『ジーザス・クライスト・スーパースター』の「Superstar」の前奏がかかると観客は総立ち。ステージを降りたチェ・ジェリムは、笑顔でファンとハイタッチしながら場内を一周。「日本の観客は成熟しているが大人しい」と思っていた彼にとって、この大盛り上がりは予想外だったようだ。さらにアンコールでは森山直太朗の「さくら(独唱)」を、序盤アカペラ、マイクなしの生声、完璧な日本語、みごとな表現力とスケールで歌いあげた。これがまた心に深くしみいるような、このまま時が止まってほしいと思わせるような素晴らしさ。東京ではまさに桜が満開で、ぴったりの選曲だった。ちなみに日本語はこれまでに学んだことがなく、英語は幼い頃に父親について海外で暮らした経験がある程度だそうで、それであの発音ができるのは、そうとう耳がいいのだろう。
さらに今回はMCが韓国ミュージカルにも詳しい田代親世さんということで、ファンが気になることや「これまでにどのミュージカルのオーディションを受け落ちたのか」など、普通なら聞きづらい質問を連打。チェ・ジェリムの明るく伸び伸びとした人柄を引きだしてくれたことも満足感につながった。体は大きいが、笑うと目がなくなってしまい、なんともいえない可愛らしさが漂うチェ・ジェリム。パク・カーリン先生が出てきたとたん、それまでの“歌うまキング”的なカリスマ性がふっとび、放課後の教室に呼び出された中学生のように神妙な面持ちになった場面は印象的だった。カーリン先生は「真実は必ず伝わる」をモットーとしており「怒ると恐いが、褒めるときには褒めてくれる。恩人です」とのこと。厳しいなかにも温かい師弟関係が伺えた。
今年31歳になるチェ・ジェリム。5月~7月まで『エドガー・アラン・ポー』に出演したあとは、休学していた韓国芸術総合学校演劇院演劇科に戻るそうだ。人気がうなぎ上りなのに? と驚いたが「自分で始めたことだから最後までやりとげたい」という思いが強いようだ。遅咲きといわれてきたチェ・ジェリムだが、これだけの歌唱力と表現力と語学センスがある上に努力家で、周囲のよきサポートにも恵まれているとあれば、いずれ世界に羽ばたく日がくるのではないか。そのとき188㎝の長身と東洋的なルックスは、彼にとって大きな武器になるだろう。この日の日本での初コンサートは、今後、伝説になるかもしれない。いやその前に、また日本でこのような素晴らしいコンサートを開いてくれることをぜひとも期待したい。
ライター:望月美寿
【イベント概要】
チェ・ジェリム コンサート
日時:2016年4月3日(日) 12:30開演
会場:TOKYO FMホール(東京都千代田区麹町1-7)
主催:韓流ぴあ
記者 : Kstyle編集部