「暗殺」ハ・ジョンウ“ハワイピストル役、運命的なキャラクターだ”

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写真=チョ・ソンジン
映画「追撃者」(2008、監督:ナ・ホンジン)、「黄海」(2010、監督:ナ・ホンジン)を皮切りに「犯罪との戦争:悪いやつらの全盛時代」(2012、監督:ユン・ジョンビン)、「ベルリンファイル」(2013、監督:リュ・スンワン)、「テロ、ライブ」(2013、監督:キム・ビョンウ)まで。両極を行き来するジャンルをこなしながら忠武路(チュンムロ:韓国映画界の代名詞)で最も“信頼される”俳優になったハ・ジョンウ(37)。無尽蔵な魅力を備えた彼が昨年の「群盗:民乱の時代」(14、監督:ユン・ジョンビン)に続きもう一度夏の映画界に挑戦状を突きつけた。今回は最強の“浪漫刺客”である。

忠武路最高の俳優と制作陣が参加することで、今夏最も期待される作品として挙げられたアクション映画「暗殺」(監督:チェ・ドンフン、制作:Caper Film)。1930年代の上海や京城を背景に、親日派の暗殺作戦をめぐる独立軍たちと、臨時政府の隊員と彼らを追う殺し屋に至るまで、彼らの異なる選択と予測できない運命を描いた作品にハ・ジョンウが参加した。

映画で上海の無法者、ハワイピストルを演じたハ・ジョンウ。彼はお金さえもらえれば国籍、性別、年齢を問わず命を奪う上海の殺し屋として強烈な演技を披露する。親日派の暗殺作戦の情報を手に入れた誰かから巨額の依頼を受け、京城に渡って独立軍であるアン・オクユン(チョン・ジヒョン)、ソクサポ(チョ・ジヌン)、ファン・ドクサム(チェ・ドクムン)の後を追いながら話をリードする。

専売特許のモッパン(食べるシーン)がなくても、笑いこけるユーモアがなくなってもハ・ジョンウはハ・ジョンウだった。誰もを虜にする魅力一つで勝負した彼は、今回こそちゃんとした“かっこいい”を連発させる。「暗殺」、そしてハワイピストルはハ・ジョンウにとって運命そのものだ。

「『ローラーコースター』(2013)と『いつか家族に』(2015)で演出を2度経験し、監督が現場で俳優にどのようなものを求めているのかを分かったような気がしました。完璧に分かったとはいえないけど、前よりはるかに理解が早かったです。『あの監督は一体なぜ?』『今のこれ、ありえなくないか?』と監督の意中をきちんと把握できない時がありましたが、今回はそうではありませんでした。待つタイミングと爆発させるタイミングに気づきました。映画というのはいくら完璧な俳優が撮影に参加しても、変数のある作業なのでメンタルが崩壊したり、右往左往することもありますが、そのような部分が少し緩和された気がします。おかげで演技のテクスチャーももっと良くなったと思います。2本の映画を演出したことが俳優としては役に立ったと思います。ハハ」

以下はハ・ジョンウとの一問一答。

―演出と演技を同時にこなした「許三観売血記」の撮影終了後、直ちに「暗殺」の撮影に入った。

ハ・ジョンウ:「暗殺」は「許三観売血記」にクランクインしてからすぐに撮影に入った作品です。昨年9月28日が「許三観売血記」の最後の撮影日でした。29日の1日だけ休んで30日にすぐ中国・上海に向かいました。その後、10月1日から「暗殺」の撮影に入りました。すごい日程でした。

―チェ・ドンフン監督との初めての出会い。予想しなかった出会いだ。

ハ・ジョンウ:チェ・ドンフン監督とは、プライベートでよく会っていました。まったく知らない人ではありません。ハハ。まず、(キム)ユンソク兄さん、(カン)ドンウォンからチェ・ドンフン監督の評判は聞いていました。そして、「ベルリンファイル」(2013)に出演した時、(チョン)ジヒョンからチェ・ドンフン監督の話をたくさん聞きました。チェ・ドンフン監督の次期作に出演したらいいと思うって。そうやって心がかなり向かっていた状態でした。また、チェ・ドンフン監督も僕のことを求めていました(笑) 「10人の泥棒たち」の制作報告会当時、一緒に仕事をしたい俳優として僕を挙げました。その記事を非常にきめ細かく読みました(笑) 記事を読んだ後、「ああ、近いうちに連絡が来るだろう」と思っていました(笑)

―チェ・ドンフン監督が作った版に飛び込んだ感想は?期待していた雰囲気なのか?

ハ・ジョンウ:まず、チェ・ドンフン監督の物語には特別なものがなさそうだけど耳を傾けてしまいます。そして、とても熱い人だということを知りました。映画に対する情熱が大きく、人を愛する監督のようです。一緒に撮影をしながらチェ・ドンフン監督に対する確信と信頼が固くなりました。「許三観売血記」の終了後にすぐ「暗殺」に入らなければならなかったので、僕なりに非常に大きなプレッシャーを受けていた時期でした。なのに「許三観売血記」に専念しなさいと、僕のスケジュールを配慮してくれました。「暗殺」を思い浮かべると、チェ・ドンフン監督に対する感謝しかありません。反応もいいし、褒められるので申し分ありません。

―「暗殺」のシナリオを読んで作品に夢中になったと聞いた。

ハ・ジョンウ:ミーティングの時に耳に流すように聞いていたキャラクターの説明を、シナリオで読むと本当に面白かったです。期待値が高かった。特に僕が演じるハワイピストルが「暗殺」で唯一ロマンと余裕のあるキャラクターなので、更に惹かれました。ハワイピストルという人物が「暗殺」の重い雰囲気を喚起してくれますが、そこが特によかったです。

―もともとはハワイピストルではなく、キューバリボルバーだったと聞いた。

ハ・ジョンウ:そうです。チェ・ドンフン監督がキューバリボルバー、ハワイピストルなどいくつかの名前を挙げて悩んでいましたが、僕がハワイピストルをお勧めしました。名前から、僕は運命的なものを感じました(笑) キャラクターの半分は名前だと思いますが、今回の役柄では、きちんと主人公に会いました。オ・ダルス先輩が演じた役も実はポマードじいさんでしたが、映画ではあまり出てきません。ダルス先輩もよく似合っていると思います。ハハ。

―ハワイピストルがハワイに対するロマンを告白するシーンがあるが、ハ・ジョンウ本人の話のような気がする。

ハ・ジョンウ:ハハ、そうではないけれど……ハワイピストルは女性たちが水着しか着ないし暖かいからハワイに行きたいと行っているが、僕はそうではありません。ただ、気分が楽になります。第2のふるさとって感じ?今回も「お嬢さん」(監督:パク・チャヌク)の撮影が終わったらハワイに行こうと思います。そこで癒されないと(笑)

―ハワイピストルだけでなく、「暗殺」はすべてのキャラクターが生き生きしている。

ハ・ジョンウ:それがチェ・ドンフン監督の最高の特技なのではないでしょうか?誰一人として捨てるキャラクターがいません。これは人を愛する彼の性向から出ているような気がします。そして、俳優たちを本当に大事にし、好みます。些細な言葉一つも逃さずちゃんと聞いてくれますから。そのようなコミュニケーションが映画にそのまま現れるということを今回学びました。キャラクターがちゃんと生きています。

―生き生きとしたキャラクターといえばチェ・ドンフン監督の能力もあるが、ハ・ジョンウもその方面では優れているのではないか。

ハ・ジョンウ:自分で考えても、僕はキャラクターをうまく演じこなすと思います。雰囲気があるでしょう?(笑) でも、演出者に対する信頼がないと、僕がいくらうまく演じても生かすことができません。チェ・ドンフン監督がハワイピストルというキャラクターを作ってくれて、楽しく演技をすることができました。

―「ベルリンファイル」に続き「暗殺」でも銃器アクションを駆使した。

ハ・ジョンウ:確かに「ベルリンファイル」で銃器アクションに触れたからか、「暗殺」では馴染みのある感じがしました。多くの韓国俳優が銃を撃つとぎこちないところがありますが、「ベルリンファイル」で練習をしたせいか、幸いぎこちなさはありませんでした。映画では編集されましたが、ワイヤーアクションもありました。ビルの壁を登るシーンでしたが、「10人の泥棒たち」に出たイェ・ニコル(チョン・ジヒョン)と同じ状況だと見ればいいです。チェ・ドンフン監督は本当に壁のぼりが好きみたいですね?ハハ。

―ソクサポ役のチョ・ジヌンと素手で戦うシーンも印象深い。

ハ・ジョンウ:そのシーンは本当に苦労しながら撮影しました。非常に寒い日だったし、昼間にほかのシーンを撮影してきた状態でまた別のシーンを撮らなければなりませんでした。(チョ)ジヌン兄さんとは6つ目の作品での共演なので、呼吸は言うまでもないです。ところが、その日のアクションシーンではみんな体が強張っていて、ジヌン兄さんが怪我をしました。僕は怪我しなかったけれど、ジヌン兄さんの手が切れました。

―アン・オクユンとハワイピストルの関係は、結局ロマンスだったのか?

ハ・ジョンウ:ラブストーリーと感じるならそれでもいいと思います。でも僕は、ハワイピストルとアン・オクユンの関係は共感から来る憐憫だと思います。最初は暗殺の対象だったけど、苦難の旅程を共にしながら自分の過去を思い出すわけです。ハワイピストルにもアン・オクユンと似たような傷がありますから。二人の関係は相身互いから始まりました。漠然としたロマンスよりは、このような気持ちが複合的に混じって作られた雰囲気です。

―アン・オクユンとハワイピストルの頬キスシーンを見ると、ラブストーリーだと思う観客が多そうだ。

ハ・ジョンウ:そういう風に見ると、ミラボホテルでの初めての出会いから意味があります。愛だとも同志愛だとも言えます。頬のキスシーンは曖昧だった二人の感情を一つに整理してくれるシーンです。ハワイピストルはとてもロマンチックでした。そのシーンだけで7回撮影しました。毎回キスをする位置を変えたけれど、結局頬キスが選ばれました(笑)

―運命のいたずらなのか、「ベテラン」のリュ・スンワン監督とスクリーン競争をしなければならない。

ハ・ジョンウ:競争だとは思いません。リュ・スンワン監督も僕もお互いを応援しています。昨日の家族が今日の競争者になったけど、両方ともうまくいってほしいです。上半期、韓国映画が非常に落ち込んだじゃないですか。「暗殺」と「ベテラン」が雰囲気を変えてくれることを願うだけです(笑)

記者 : チョ・ジヨン