目に見えて白い顔と丸まった背中、奇妙な姿勢にゆっくりとした足取り。そして何よりも役に入り込んだ叫びはかなりのものだった。なぜ観客がミュージカル俳優“キム・ジュンス”を求めるかを証明する舞台だった。

ジュンスは19日に開幕したミュージカル「デスノート」で世界的な名探偵L役を熱演している。公演業界において実力で有名な俳優だが、Lは容易ではないキャラクターだ。完全にジュンスのものにするまではかなり時間がかかるだろうという予想とは裏腹に、登場から幕が降りるまで舞台の上には変わり者の探偵が残っていた。

「デスノート」はすでに原作漫画や実写映画などで数多くのファンを獲得している作品だ。原作が非常に斬新だったため、ミュージカルという新しいジャンルと出会ったとき、舞台上でどのように展開されるのか、俳優たちがこの独特なキャラクターを如何に演じ、歌うかのか、期待と懸念が共存した。特にLは彼独特の妙な雰囲気をうまく表現しなければならないキャラクターだ。決して簡単ではない課題だったが、ジュンスは見事に第一歩を踏み出した。

実際ジュンスはその歌唱力がすでに音楽業界とミュージカル業界のいずれにおいても認められている最高の実力者だ。ハスキーでありながらも訴えかけるような独特の歌声はもちろん、どんな舞台でも爆発的な歌唱力で圧倒する実力こそが、彼が歌手とミュージカル俳優として同時に認められている理由だ。

そして「デスノート」を通じて再びジュンスのその“実力”が証明された。曲を解釈して表現する能力や相手俳優との調和、演技力まで、舞台で圧倒的な存在感を見せた。初登場から波及力は相当なもので、観客を引き込む力を持っていた。原作漫画や映画で表現されていたL以上に魅力的な、ジュンスならではの「シアエル(XIA＋L)」を誕生させることに成功した。

ジュンスは登場とともに観客を舞台に集中させた。公演開始から予想よりもかなり後半に登場したジュンスだったが、存在感は誰よりも大きかった。ボサボサの髪と濃い目の下のクマ、大きめのシャツとズボンだけでも多少衝撃的だが、歌を歌った瞬間、その一言から大きな響きが届いた。ジュンスはまさに指折りの歌声を持つ歌手だが、今回の作品では彼の神秘的な音色を生かしながらも強い声を混ぜ、またか弱い美声も感じられるように強弱を調節した。重量感のあるホン・グァンホとの調和も適切だった。

ジュンスの歌と一緒に驚いたのが彼の繊細な演技だ。ミュージカルファンの間では“足の先まで演技をする”と言われるほど足取りや携帯を持つ手、首をかしげる角度まで気を配っていたことが分かった。歌手出身のミュージカル俳優であるため、演技力を心配していたとすればそれは杞憂だ。ジュンスは独特で複雑なLを完全に自分のものにして、優れた表現力で公演を見る楽しさを与えてくれた。

ジュンスは今まで「モーツァルト」や「エリザベート」「ドラキュラ」などを通じて様々な賞を総なめにするほど大衆的な人気と好評を受けた。6年の経歴を持つミュージカル俳優に成長するまで作品ごとに磨き上げてきた実力が「デスノート」に丸ごと溶け込んでいる。ジュンスが変わり者と言われがちなこのキャラクターをこれだけ魅力的に表現できる、指折りの俳優であることは確かだ。