キム・ナムギル「『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジョニー・デップに“義理”を加えた」

OSEN |

俳優キム・ナムギルがユニークなキャラクターで帰ってくる。韓国で来月6日に公開される、韓国型海洋アクションアドベンチャー映画「パイレーツ」(監督:イ・ソクフン)を通じてだ。

23日、「パイレーツ」のマスコミ配給試写会及び記者懇談会を終えた直後のメディアデーイベントで取材スタッフと作品に関して話したキム・ナムギルは、公式インタビューのために訪れたソウル鐘路(チョンロ)区三清洞(サムチョンドン)近くのカフェで、前日の記憶を引き出しながら、もう一度おしゃべりタイムを始めた。


キム・ナムギル、この男、面白い

いつも画面に映る、あのキム・ナムギルとは全く違っていた。重低音ではなく、ハイトーンに近い上ずった声で、面白いエピソードが絶え間なく降り注ぐ。映画「パイレーツ」の中でキム・ナムギルが演じた山賊の長チャン・サジョンのキャラクターとどこか似ている。以前ソン・イェジンが「チャン・サジョンはいつものキム・ナムギルさんの姿」と言ったことが、十分に理解できた瞬間だった。

「チャン・サジョンは僕の姿と似ています。何事にも前向きです。官軍に追われる緊迫した瞬間でも、ずっと笑っていられる愉快さのような。どこか抜けているところも、ある面では似ています。しかし、実際人間は1つのパターンだけでは生きられません。相手が誰かによって、態度も出しゃばる度合いも全て変わります(笑)」

キム・ナムギルに対するほとんどの一般大衆の視線は、依然として“冷たい”ものに近い。これはきっと、多数の作品で冷酷な人間や悪役を演じてきたためだろう。そのため、予想とは正反対の姿を目の前で受け入れることは、少し難しかった。「このような姿を、なぜ今まで隠していたのか」と尋ねると「人見知りだ」と答えた。

「黙っていると尖った人間に見られます。“冷たい”“印象が悪い”ともよく言われます。映画『カン・チョルジュン 公共の敵1-1』を撮影していた時も“残忍に見える”と言われました。今もそのような感じはありますが、実はこれはノワールメロ映画に対する若い頃からのロマンがあるためです。香港映画でトニー・レオンが演じた役に対する憧れがありました。ヒュー… もしかしたら、それがいけなかったのでしょうか?(笑)」


おかえり、時代劇は慣れているよね?

時代劇のキム・ナムギルの姿は大衆に馴染み深い。キム・ナムギルという俳優を広く知らせたドラマ「善徳女王」、そして作品性を認められた映画「美人図」でのキム・ナムギルの姿が、今も脳裏に刻み込まれている。

「時代劇に対する負担はあります。また、戻ることは難しいのではないかと思っていました。期間が空いて、退化しているのではないかという焦りもありました。ドラマ『サメ~愛の黙示録~』で俳優という職業について真剣に再考したりもしました。失敗を挽回しなければならないという思い、気楽に接することができるキャラクター、韓国では初めて扱われる海賊という題材などが『パイレーツ』を選択したきっかけです」

彼は知人の表現を借り、ドラマ「サメ~愛の黙示録~」を野球に例えて“アウトではなく、ファウル”と強調した。「サメ~愛の黙示録~」が自身の演技人生において、素晴らしい栄養分になったと説明することも忘れなかった。

「転んだらまた起き上がればいいのです。前向きにたくさん考えました。良くないことがジェットコースターのように繰り返されましたが、ただ何の問題もなく成功して、一気に落ちるよりはずっとマシだと思いました。確かに自分にとって薬になる時間でした」


ジャック・スパロウに“義理”を追加で

「パイレーツ」は映画のタイトルのため、登場時からハリウッドの超大作「パイレーツ・オブ・カリビアン」と比べられた。これは「パイレーツ」のマスコミ配給試写会及び記者懇談会でイ・ソクフン監督が「『パイレーツ』は『パイレーツ・オブ・カリビアン』よりずっと面白い」と自信のある発言をしたことから、さらに盛り上がった。

「(監督とは違い)僕は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズを楽しみました(笑) ジョニー・デップと比較されることだけでも光栄です。どうしても“海賊”を題材した映画が限られているので『パイレーツ・オブ・カリビアン』を参考にするしかなかったからです。参考にはしましたが、チャン・サジョンにどうすれば東洋的で韓国的な色を乗せられるかと悩みました」

絶えず努力した結果だろうか。「パイレーツ」のチャン・サジョンは「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)とはっきり差別化された。ジャック・スパロウならではの愉快さはありがながらも、高麗時代の別将だった過去の身分、兄弟のような同僚の存在、李成桂(イ・ソンゲ:高麗の武装で、朝鮮を建国した人物)にナイフを投げるほどの覇気などが、今のチャン・サジョンのキャラクターを完成させた。

「ジョニー・デップが演じたジャック・スパロウの愉快な性格をもとに、義侠心、義理、国のために命を捧げる忠誠心などのような韓国的な情緒を加えました。そのような部分にフォーカスを当てました」

映画「愛の運命-暴風前夜-」以来4年ぶりの映画復帰。そして、今までにあまり見せたことのないコミカルさが感じられるキャラクターだ。キム・ナムギルは自ら「演技から力を抜いた」と話し、“現在進化中”という表現で作品を楽しみにしてほしいと再度念押しした。

「またスタートラインに立っていると思います。最初からスタートする姿勢で臨んでいるからです。重い感じのジャンルでも力を抜いて気楽な演技ができた時、それが“進化”だと思います。そうなってからは、ラブコメのジャンルにも思い切り挑戦できるのではないでしょうか。今は時期尚早です。ようやく少しずつ知っていく段階だからです」

記者 : パク・ヒョンミン、写真 : パク・ジュンヒョン