「君たちは包囲された!」ソン・ヨンギュ“ブーツを履いた殺し屋、本当に僕です”

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※この記事にはドラマのストーリーに関する内容が含まれています。
写真=チ・ヒョンジュン
人の良い高笑いからは暖かい感じが伝わってくる。俳優ソン・ヨンギュの初印象だ。愉快な彼のトークに笑いが絶えない。やんちゃな子どものような印象から、殺し屋の役柄を想像することは簡単ではなかった。

ソン・ヨンギュは今月17日に韓国で放送終了したSBS水木ドラマ「君たちは包囲された!」(脚本:イ・ジョンソン、演出:ユ・インシク)で、かつての“馬山(マサン)保険教師殺人事件”の真犯人であるチョ・ヒョンチョル役を演じた。ドラマの序盤、冷たい表情と重低音の声を持った謎の人物として注目を浴び、後半からは緊張感を際立てる役割として活躍した。悪役のチョ・ヒョンチョルは、最終的にウン・デグ(イ・スンギ)に事件を解決する決定的な証拠を残し、自ら命を絶つ。

彼は自身のキャラクターに対し「自殺という方法には同意しないが、気持ちは理解できる」と述べた。「彼もまた、腐敗した組織の犠牲者だ。どれだけ疎外され、苦しんだのだろうか。表現する方法が間違っていて、裁かれるべきだが、彼としては解決策がないと思ったはず」と説明した。自殺するシーンが直接放送には登場してはいないが、彼は「君たちは包囲された!」の撮影が終わってから、焼酎で重い気持ちを慰めたという。

実際の彼の声は、放送のように低くない。最初は顔のほとんどを隠していたので、声だけでキャラクターを表現しなければならなかった。声に力を持たせる必要があったため、複数のバージョンの声を録音し、ユ・インシクプロデューサーと相談したという。メガネもはずし、声もわざと低くしたため、知人でさえ彼だと分からなかったという。

共演したイ・スンギとチャ・スンウォンについて質問すると「僕にとっても2人は芸能人」と大げさに話した。そうしながらも「実際にその役になりきろうと努力する。心から相手に合わせようとするため、相性が良かった。難易度の高いシーンもほとんどNGがなかった」と振り返った。また「良い俳優であることは確かだ」と強調した。

放送中のtvN月火ドラマ「ナイショの恋していいですか!?」では、イ・ミンソク(ソ・イングク)の正体を疑う取締役ナム・サング役を務めた。出世志向の人物で、洗練された外見からはチョ・ヨンチョルの姿は見当たらない。MBCドラマ「九家の書~千年に一度の恋~」(2013年)では裏切りもののピルモク役、SBSドラマ「追跡者 THE CHASER」(2012年)では典型的な汚職検事役など、多彩な姿を見せてきた。

最近は主に悪役だったという記者の言葉に「実際はうっかり者の父親だ」としながら笑った。間抜けなキャラクターも多数演じた。MBCドラマ「メリー&テグ 恋のから騒ぎ」(2007年)の変わり者の編集長役、SBSドラマ「神の天秤」(2008年)の歳を取った司法研修生役などがそうだ。

多彩なキャラクターを自然に演じこなす秘訣について彼は「平凡な顔」と答えた。「監督やプロデューサーから見たとき、本人が塗りたい意図通り、キャラクターが表現されるのではないかという期待感を持たせるのだと思う」と説明してから「呼んでいただくのであれば『サンキュー』だ」と愉快に答えた。彼は「演技とは、幸せな職業ではないかと思う。そして、舞台にいる時に勉強したことが大きな原動力になった」と付け加えた。

普段、芸能人野球チームIGIS(イギス)の副団長として野球を楽しみ、映像演出を勉強する長女など、子どもの心配でいっぱいな平凡な40代の父親だった。しかし、カメラの前では絶えず挑戦する俳優だった。ミュージカルと演劇を通じて舞台で認められ、放送に足を踏み入れた時に彼が感じた感情は「やり直そう」だった。そうして一生懸命に走ってきた彼は「これからは映画がそのような領域になるのではないか」と述べた。

「映画は僕が神秘感を持っている領域です。本当の目標でもあります。もちろん放送の台本の方がたくさん送られてくるので、僕が選択することができ、僕がもっと上手く演じられる役を演じたいです。何よりも初心を忘れずに、視聴者に信頼を与えられる俳優、評判の良い俳優になりたいです」

記者 : キム・ユンジ