「コンフェッション 友の告白」チソン“ヒョンテ役、演じながら本当に泣きたかった”

OhmyStar |

※この記事には映画のストーリーに関する内容が含まれています。
これまでの、内容に比べ暴力が多過ぎた犯罪映画とは違い「コンフェッション 友の告白」は、キャラクターの関係と感情の流れを粘り強く追い続けた。20年来の3人の友達の行き違った友情を描いた作品で、チソンが演じた消防士ヒョンテは、感情を表に出さず内面で葛藤を噛み締める人物だ。俳優にとっては確かに、表現し辛いキャラクターだ。

ギャンブル場を運営する親と縁を切って暮らしていたヒョンテをめぐり、2人の友達インチョル(チュ・ジフン)とミンス(イ・グァンス)はわざと放火事件を起こす。適当に保険金も手にし、和解もさせようとした彼らの計画は、ヒョンテの両親が現場で即死したことからずれ始める。犯人探しに乗り出したヒョンテの立場からは、2人の友達の行動が気になり始めるが、決して表には出さない。信頼と疑心の間の隙間こそが、ヒョンテが友人たちに抱いていた心の状態だった。

「融通の利かないキャラクターのヒョンテに、如何に生命力を与えられるかが気になり、(一緒に友達役で登場する)チュ・ジフン、イ・グァンスとの組み合わせも気になりました。率直に話すと、今も僕が上手く演じられたかどうか、良く分かりません。確かなことは、真摯な気持ちで表現したことです。僕が感じた人間ヒョンテをそのまま表現したかったです。

映画では彼の全体の事情が親切に説明されません。なぜヒョンテが聴覚障がい者の妻を迎えたのか、子どもの頃、どのような事件があったのかなどです。まるで、家で料理して掃除するように、一つずつ作って行きました。詰まった部分は監督と十分に話し合い解消しました」


ヒョンテを見るチソン…「演じながら泣きたかった」

チソンは「コンフェッション 友の告白」を“関係”に関する映画に定義した。犯罪ドラマというジャンルの形をしているが「結局、物々しい友情と義理を語るよりは、友人関係を維持し、彼らを愛する気持ちを盛り込む作品」とチソンは説明する。

静的な人物に描かれるヒョンテは、友人たちの歪んだ友情を直感しながらも、親の悲劇的な死の後を追いながらも自身の感情を決して表に出すことはない。ぎゅっと胸の中に詰め込む彼の感情が、終盤に進むにつれ重くなり、結局、観客に向かって質問を投げつける。「彼らは本当に良い友達だったのか」

「犯人を捕まえることは、結局重要なことではありません。ヒョンテにとってその友人たちは、すべてを包みたい器だったと思います。すべての事件が終わってからヒョンテのことを考えながら、とても悪い夢を見た後の気分だろうと思いました。演じながら本当に泣きたい気持ちになったりしましたが、そうできず本当にもどかしかったです」

このように濃密にヒョンテの感情を盛り込むために、まずは共演したチュ・ジフン、イ・グァンスと“良い友達”になる必要があった。歳ではチソンがチュ・ジフンとイ・グァンスに比べそれぞれ5歳、8歳多いため、確かに彼らの立場からすると難しい先輩だったはずだ。

チソンは「お酒をあまり飲まないので、彼らに配慮して先に席を立つとむしろ雰囲気がおかしくなった」とし「そこで撮影しながらお酒を飲むことになった」とのエピソードを紹介した。先輩、後輩である前に、お互いに砕けた関係になろうと努力したことが、独特な相乗効果を発揮した。「3人ともそれぞれ違う性格でしたが、不思議なことに、相互補完的だった」と評価したチソンの言葉の裏には、そのような事情があった。


トラウマだった映画の仕事…「腕を磨きながら克服している」

「ニューハート」「ボスを守れ」「大風水」「秘密」などのドラマで着実に定着し続けたこととは違い、チソンは映画とはとりわけ距離があった。2002年に出演した「口笛姫」の後「血の涙」(2005)「マイPSパートナー」(2012)までかなりの空きがあった。「コンフェッション 友の告白」もまた、2年ぶりに出演する作品である。

「意図したことではなく、十分な機会がありませんでした。時期が合わなかったこともあります。実は『口笛姫』は、出演したくて出演した作品ではありません。そのため、他のインタビューでは後悔する作品が無いと言いましたが、ありましたね。新人であり、誰かから選ばれなければならなかった立場でしたが、したくない演技をスタッフの前でしたので大変でした。また、作品が興行に失敗したため、映画は僕にとって高い壁のように感じられました。

演技をもっと練習してから挑戦しようと思い、むしろ軍隊から除隊してもっと気楽に臨むことができました。そうすると、僕のシーンもかなり増えました。ドラマのオファーが多くなり時間を確保することが難しくなりましたが『コンフェッション 友の告白』のオファーが来た時、断る理由がありませんでした。周りの人は今まで僕が見せた姿と似ているとしましたが、むしろそのような時こそ、上手に出来ることをした方が良いと思いました」

16年目の役者というキャリアを持つ彼は「未だに足りないと強く感じる」と告白した。「キャラクターを技術的にアプローチするのではなく、本能的に演じたい」というのが彼の持論だった。

「本能的な演技という言葉は、今よりはもっと勉強し実力を上げてから言いたいです。ふりをしたくはないのです。表現できないのに、悲しいふりもしたくありません。僕も何が上手な演技なのか分かります。たくさん見て来ましたし。ただ、その傍に一緒に立ちたくありません。高い評価を受けたくもありません。準備ができてからお見せしたく、心から賞を受けられる時に受けたいです。腕を磨きながら準備しています」

記者 : イ・ソンピル、写真 : イ・ジョンミン