Vol.1 ― 「弁護人」ZE:A シワンが語る、俳優ソン・ガンホと先輩ソン・ガンホ

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写真=映画「弁護人」
観客動員数1000万人を突破した映画「弁護人」(監督:ヤン・ウソク、制作:ウィダスフィルム)の勢いが弱まる気配が見えない。公開初期に台頭した様々な議論とテロが色あせるほど破竹の勢いでスクリーンを占領した。このように多くの観客が「弁護人」に歓呼する理由は色々あるが、何よりも観客の心を鷲づかみにした部分は乱れない俳優たちの好演だ。

昨年「弁護人」を含め「雪国列車」(監督:ポン・ジュノ)、「観相師」(監督:ハン・ジェリム)で2000万観客を動員したソン・ガンホを中心にキム・ヨンエ、クァク・ドウォン、オ・ダルスがしっかりと後ろを支え、イ・ソンミン、ソン・ヨンチャン、チョ・ミンギ、チョン・ウォンジュン、イ・ハンナが味を加え、映画の中に登場する豚クッパのように深みのあるものを作った。そして、ZE:Aのシワン(25)は豚クッパの中のニラのようにみずみずしい活気を吹き込んだ。言葉の通り完璧な組み合わせだ。

ソン・ガンホ、クァク・ドウォン、キム・ヨンエはどこに行ってもシワンを褒めることに余念がない。すべてのことに最善を尽くした彼の態度によって綺羅星のような先輩たちの心を掴んだのだ。さらに、初めてスクリーンに挑戦するにも関わらず難易度の高いジヌ役を無理なくこなしたという点が可愛がられて当然の理由だ。

しかし、可愛がられただけだというには恐ろしい(?)噂が漂う。実際ソン・ガンホは撮影の間シワンを叱りっぱなしだったそうだ。映画が公開されてから「良くやった」と惜しみなく褒めてくれたが、撮影現場では鬼よりも怖い存在だった。自分をひたすら叱っていたソン・ガンホが過去を忘れて、今になって褒めてばかりなので、もしかしたらシワンは悔しい気分になるかもしれない。

シワンに会ってすぐにソン・ガンホとのエピソードから聞いた。彼は天真爛漫な顔をして「僕の人生を完全に変えてくれた弁護人のような存在」と明るく笑った。「先輩からよく褒められたが、そのたびに感謝の気持ちを表現できる方法がなく、申し訳なかった」というシワンに「正直になりましょう」と冗談を言った。しかし、返ってくる答えは「率直に最高のソン・ガンホだ」というあっさりとした答えだった。

シワンは真っ先にソン・ガンホとの初対面を思い浮かべた。当時、ソン・ガンホと初めて会ったときを振り返ると思ったより和気あいあいとした雰囲気だったそうだ。現場下見のために行った「弁護人」の撮影現場は初めての映画撮影に行くというプレッシャーと、すごい先輩たちとの顔合わせのため、ものすごい緊張感に満ちていた。前日、眠れないほどだった。そうやって撮影現場に到着した後、スタッフに挨拶をして回り始めた彼はいよいよソン・ガンホと顔を合わせ、予想しなかった反転があった。

「ソン・ガンホ先輩に“初めまして。シワンです”と頭を下げると、ソン・ガンホ先輩は笑顔と共に先に握手を求めてくれました。それから、『シワン、まずは写真から撮っておこう』とスマートフォンのカメラアプリを立ち上げました。思いもしなかった認証ショットにびっくりし、不思議なその点がさらに心臓を締め付けるようでした。ハハ」

予想を破った初顔合わせが和やかな雰囲気の中で終わり、本格的な撮影に入った。彼の初撮影は夜学での撮影で、勉強が出来ない不遇な学生たちと共に読書をしながら知識を学ぶジヌの姿を盛り込んだシーンだ。事件の始まりになった部分で、特に問題なく無難に撮影を終えた。問題はその後、2回目の撮影である面会シーンだった。ソン・ガンホの隠していた鋭い爪が現れた時点だ。

面会シーンは撮影序盤に行われた。シワンは映画の中の展開のように、撮影も行われていたら感情を引き出すことが楽だったかも知れないが、撮影スケジュールのためそれが出来なかったという。新人であるため、当然ぎこちない。想像の中で拷問をされるしかなかったシワンはメンタル崩壊そのものだった。


「どんな感情でジヌを表現すればいいかも分からなかったあの時、撮影が始まり結局NGを出しました。ソン・ガンホ先輩の“呼び出し”がありました(笑) 先輩は本当に鬼みたいでした。あの鋭い眼差しが僕に向けられたとき、僕の本心を隠すことが出来ませんでした。あの時少し叱られました。ややもすれば映画の中で事件が始まる重要なシーンなのに、そのシーンを僕がダメにしているので、怒られて当然でした」

シワンは当時のソン・ガンホについて“鬼”だと表現した。自分を見つめる“鷹のような目”が本当に怖かったそうだ。感情を引き出すことが出来なかった自分の状態をすぐに見抜いたと親指を立てた。正確に見破ったソン・ガンホは「痛いときは痛がらないと。今君がやっているのは痛くないじゃないか。嘘じゃないか?演技は嘘でやるものじゃない」という骨のある言葉を残したそうだ。その一言に気がついたシワンは心機一転し、再び撮影に入り、結局シワン最高の名場面を作り出した。

ソン・ガンホの叱りはその後も続いたが、知られたように“涙が出るほど”叱られただけではなさそうだ。鬼のように怖いだけだと思ったソン・ガンホも叱った次の日は必ず「悪かった」と謝ったそうだ。シワンを怒った日はずっと気にしていたというのだ。俳優のソン・ガンホから先輩ソン・ガンホになった瞬間であり、その妙な狭間はシワンだけが気づくことが出来た。誰よりもソン・ガンホの気持ちを知っていたため、叱られることはもう、叱られることではなかった。

「『弁護人』広報のために再び出会ったソン・ガンホ先輩は最近、演技の指摘より歌の指摘が増えました(笑) 舞台挨拶でファンのために無伴奏でZE:Aの歌を歌いながら、踊りましたが、それが問題でした。ソン・ガンホ先輩は『歌手なのに歌とダンスが下手すぎる。演技をした方がいい』と話しました。ハハ。その言葉が嫌ではありませんでした。無愛想な慶尚道(キョンサンド)の男に出来る最高の愛情表現だと思っています。ハハ」

記者 : チョ・ジヨン