「相続者たち」イ・ミンホ“今後恋に落ちたら、キム・タンのような恋がしたい”

MYDAILY |

写真=Starhausエンターテインメント
「人々が覚えている僕の姿で、後悔のない自分の姿を収めることのできる作品に出演したかった」

俳優イ・ミンホがSBSドラマ「王冠を被ろうとする者、その重さに耐えろ-相続者たち」(以下「相続者たち」)を選んだ理由だった。イ・ミンホが「相続者たち」を選択するとき、ほとんどの人はKBS 2TVドラマ「花より男子~Boys Over Flowers~」」(以下「花より男子」)で彼の演じたク・ジュンピョ(道明寺司)役を思い出した。上流階級の子供たちが通う学校、その中でも最上位層に属する生徒たち。「相続者たち」のキム・タンは「花より男子」のク・ジュンピョと似ていたが、イ・ミンホは出演を躊躇しなかった。彼はむしろ「相続者たち」を通じて人々が熱狂した彼の姿で帰ってきた。

「イメージを変えたいと思って演じたのではありません。僕は来年28歳で、20代後半です。個人的には27、28歳が一番良い年齢だと思います。少年と大人の姿を同時に見せることができるので。『相続者たち』で『花より男子』と同じ年齢と設定のキャラクターを選んだ理由も、手遅れになる前にイメージチェンジに固執するのではなく、人々が覚えている僕の姿で、後になって悔やむことのない自分の姿を収めることのできる作品に出演したかったからです」

イ・ミンホの選択は間違っていなかった。人々はボディガード(SBSドラマ「シティーハンター in Seoul」)と武士(SBSドラマ「シンイ-信義-」)を経て、また高校生(「相続者たち」)で帰ってきたイ・ミンホに熱狂した。ドラマの視聴率は20%台まで上昇し、彼の名台詞である「俺、君のことが好きなのか?」という話し方も流行った。このように「相続者たち」は「花より男子」の人気をそのまま受け継いだ。しかし変わった点も一つあった。それはイ・ミンホの演技だった。彼は「花より男子」のときよりもっと成熟した、余裕のある演技を見せてくれた。

「全てを捨ててキム・タンというキャラクターを演じました。ク・ジュンピョを演じていた当時は、箸の持ち方から人を見つめる眼差しまで全て設定していました。ですが、今回の作品は、準備段階から全てを捨てて気楽に演じようという気持ちが大きかったんです。だから、予め設定した部分もなかったんですよ。ドラマの序盤にアメリカで撮影していたときは、『僕がこんなふうに演じても良いのか』と思うほど、初めてチャレンジする演技スタイルでした」

気楽に演じたおかげだろうか、イ・ミンホに『相続者たち』のメッセージはさらに胸の奥まで伝わってきた。彼は「相続者たち」を撮影しながら家族への愛と愛する人のための勇気について、よりたくさん考えるようになった。

「今回の作品に出演しながら一番大きく感じたのは、今後恋に落ちたら、キム・タンのような恋がしたいということでした。全てのことを気にせずに、愛する気持ちを率直に表現する愛です。以前は関係に気を遣って悩み、ストレスを受けたりもしました。でも今回のドラマを通じて愛へのメッセージをもらいました。これから愛する人ができれば、その気持ちを思いっきり表現したいと思います」

息子としてのイ・ミンホも変わった。キム・タンが実母のハン・ギエ(キム・ソンリョン)にそうしたように、イ・ミンホももっと優しい息子になると決めたという。今まで「愛している」という一言もうまく言えなかった無愛想な息子だったが、今後はたくさん表現する息子になるという。全てはキム・タンを演じながら変わった。

「初めはキム・タンが自分の母親に愛情表現するのを見て、不思議に思っていたんですよ。でも、それも変わっていくような気がします。昔は恥ずかしくて『愛している』と言うことのできない人間でした。でも最近は、良い人とは自分自身の気持ちをちゃんと表現できる人だと思うようになりました。『相続者たち』は僕に多くのことを教えてくれたドラマです。ドラマが伝えようとするメッセージをここまではっきりと理解できたのは初めてだと思います」

キャラクターに自分自身をそのまま溶け込ますことができたのは、これまで主演を務めながら感じた責任感から抜け出してリラックスして撮影を楽しんだイ・ミンホの行動のおかげだろう。彼は今回の作品で前作では感じることができなかった快適さを感じたという。そして、これは「相続者たち」の主演であるイ・ミンホの他にも、大勢の主演、助演たちにフォーカスが当たったという部分もあるだろうが、デビュー10年目となったイ・ミンホ自身にも周りを見渡し、楽しめる余裕ができたからだった。そのため、他の俳優たちによると、彼は撮影現場でムードーメーカーだったそうだ。

「まず撮影現場の雰囲気がとても良かったです。生徒役の中では僕が一番年上だったからでしょうか、他の俳優たちを見て切ない気持ちになることもありました。『僕はいつまたこんな制服を着て、後輩たちがたくさん出演する作品に出演できるのだろうか』とも思いました」

彼は劇中で色々とあったチェ・ヨンド役のキム・ウビンとも仲良く過ごした。実際キム・ウビンは年下だったが、お互いに友達のようにアドバイスをする仲だったという。そのため、キム・タンに劣らないほど、熱い支持を得たチェ・ヨンドに嫉妬を感じたことはないかと尋ねると「それはまったくありませんでした」という答えが返ってきた。

「僕が考える男性像とカッコいい男はキム・タンだと思いますが、チェ・ヨンドというキャラクターもとても魅力的でした。でも、チェ・ヨンドというキャラクターは僕がク・ジュンピョを通じて演じたことのあるキャラクターだったので、嫉妬したり、一度演じてみたいとか思わなかったんですよ。むしろ僕はZE:Aのヒョンシクが務めたチョ・ミョンスのようなチャラチャラしたキャラクターを発展させて演じてみたかったです(笑)」

しかし、その前にイ・ミンホは映画「卑劣な街」「霜花店(サンファジョム)-運命、その愛」を手がけたユ・ハ監督の映画「江南(カンナム)ブルース」で戻ってくる予定だ。「江南ブルース」は1970年代のソウル江南を舞台に、不動産開発が本格的に始まった当時、政治権力と闇の勢力が結託して繰り広げられる物語を描いたアクションノワール映画である。

「まだ監督と話し合っている段階ですが、少年のような姿よりは男らしさをアピールする作品になりそうです。『イ・ミンホにこんな一面があったんだ』というところを人々にお見せしたいです。もちろんチョ・ミョンスのようなキャラクターも20代が過ぎる前にぜひ挑戦してみたいです」

記者 : チョン・ヒョンジン