Vol.2 ― 放送終了「メディカルトップチーム」最も重要なのは台本だという悟り

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写真=MBC「メディカルトップチーム」スクリーンショット
最初は華麗だった。クォン・サンウ、チョン・リョウォン、チュ・ジフン、オ・ヨンソなど豪華キャストにスタープロデューサーの帰還まで、MBC水木ドラマ「メディカルトップチーム」(脚本:ユン・ギョンア、演出:キム・ドフン)は皆が成功すると予感した作品だった。しかし、視聴率は回を重ねるごとに墜落し、ドラマは放映の間険しい茨の道を歩かなければならなかった。

「メディカルトップチーム」は50%に迫る視聴率を記録した「太陽を抱く月」のキム・ドフンプロデューサーと「ブレイン」「ドラゴン桜<韓国版>」を執筆したユン・ギョンア脚本家が意気投合し、さらに話題を集めたドラマだ。信じて見られる制作陣が集まり、制作段階から高い関心を集めた。

特に俳優クォン・サンウの覚悟は格別だった。キャスティング議論を無くすと公言した。彼は実際、持っている能力に比べ低評価を受けている俳優の一人だ。このようなクォン・サンウの自信のおかげで人々の関心はクォン・サンウが発声と発音というハンディキャップをどのように告白するかに集まった。しかし、問題は違うところから出てきた。それは台本だった。

「メディカルトップチーム」は新村(シンチョン)セブランス病院を背景に従来のどんなメディカルドラマよりも華麗な規模を誇った。見栄えがよかった。緊張感を高めるキム・ドフンプロデューサーの秀麗な演出まですべてを備えているようだった。発音という根本的な問題を除き、クォン・サンウの演技も無難で、合格点を受けた。しかし、ドラマのもっとも大事な要素であるシナリオ、台本が追いつかなかった。このドラマの失敗の要因は徹底的にテキストにある。

韓国メディカルドラマの水準は目を見張るほど高くなっている。特にクォン・ソクチャンプロデューサーとチェ・ヒラ脚本家の「ゴールデンタイム」はリアリティを最大化し、視聴者の見る目をさらに高めた。その後のメディカルドラマは「ゴールデンタイム」の成功方式を追うか、このドラマと差別化される戦略をとらなければならなかった。KBS 2TV「グッド・ドクター」が成功できたのは、現実の医療世界では見ることの出来ないファンタジーを温かい視線を構成したためだ。

残念ながら「メディカルトップチーム」は現実とファンタジー、二兎をすべて逃した。各分野最高の医師たちが集まり、トップチームを構成するという設定は非常に魅力的だ。現実ではなかなか見られないことだが、十分具体化できる想像力だった。しかし、この素晴らしいモチーフはアイデア段階で終わり、具体化できないという物足りなさを残した。

キャラクターから問題だった。田舎に身を潜め、自分の実力を隠して生きる天才外科医パク・テシン(クォン・サンウ)は現実を標榜するドラマの目指すところとは異なり、多少童話的な人物だった。このドラマはリアリティに“トップチーム”というファンタジーを適切に組み合わせるのが見所だが、パク・テシンは至って非現実的な人物として描写され、違和感を抱かせた。

成功の誘惑に一度も揺れることなく、どんな状況でも患者の治療だけにこだわる彼の性格は単純で、表面的だった。パズルでもっとも大きく、重要なピースを担当している彼は“一人だけ浮いている”キャラクターだった。主人公から共感を与えられないのに、視聴者が情が沸かないのは当然のことだ。

まだ現実的に描かれていたキャラクターソ・ジュヨン(チョン・リョウォン)、ハン・スンジェ(チュ・ジフン)も最終的に方向を失い、彷徨い始めた。成功に向かって疾走していた二人のキャラクターは恋愛ごっこにはまり、どっちつかずの人物になった。視聴率が底をついたことで出した妙手だが、ただでさえ色がなかったこのドラマはいきなりのラブストーリーの乱発でまだ持っていた固有の色まで無くしてしまった。クォン・サンウとオ・ヨンソのラブラインも急ぐ制作陣の気持ちを反映しているようにしか見えなかったため、残念でならない。

最高の医師たちが一堂に会した。当然、血が飛ぶ心理戦があるはずだ。しかし、医師たちの気の張り合いはVIP患者と一般患者をめぐってもめる意見だけに表現された。あまりにも単純な方式だ。医師たちはそれぞれの野望で固まっていながらも生存のために死闘を繰り広げるのではなく、机上の空論だけ繰り広げていた。より繊細で緻密な描写があれば、このドラマの運命は変わったはずだ。

「メディカルトップチーム」はドラマのもっとも重要な基本は結局台本にあることを見せてくれた。いくら豪華なスターが出演しても、足りない台本の前では台無しだ。

記者 : キム・ジヒョン