BTOB「本格的な“スリラー”…女、狂気、そしてどんでん返し」

OSEN |

私の記憶の中のBTOB? 素敵なダンディールックを着て“2度目の告白”をすると言って、甘いセレナーデを歌いながらステージを軽やかに走っていた爽やかなアイドル。そんな彼らは突然ゾンビのように歩く恐ろしい悪童に変わって帰ってきた。BTOBの3枚目のミニアルバム「THRILLER」と同名のタイトル曲「THRILLER」の話だ。“コンセプトチェンジ”とはまさにこのような事を指す言葉だ。

ステージから飛び出してきたばかりのような衣装でソウル麻浦(マポ)区合井洞(ハプチョンドン)を訪れたBTOBのメンバーらは暫く近くの草むらでグラビア(を思わせるインタビュー写真)を撮ってきた。少し元気がなさそうに見えたので聞いてみると、今日だけで既に5回目のインタビューだそうだ。眠気覚ましに新たなコンセプトなどを話すためスリラー(またはホラー)映画の話を始めたが、それがいつの間にかこのインタビューの中心となってしまった。BTOBの本格的な“スリラー”女、狂気、そしてどんでん返しが始まる。(※同題材はスリラー映画では欠かせないものを選定した)

女…奇怪な魅力、鍛えられたボディ、そして甘さまで…

スリラー映画の醍醐味はやはり女性の甲高い悲鳴だ。「THRILLER」を引っさげて帰ってきたBTOBもやはり強力な女性ファンを除いては考えられないということから共通点がある。今回のカムバックアルバムでBTOBが女性たちの心を掴む切り札は何だろうか。

「音楽界では珍しいコンセプトです。捕まった王女を探しに行く騎士なのでファンタジーのような部分が多たくさんあります。貴族風バンパイアのイメージを探してから写真に撮って意見を出したのですが、それが反映されて満足しています。ゾンビダンスを踊っているのですが、ファンの皆さんはずっと鶏が餌をつつくダンスだと言いますね。鶏の餌ダンスではありません。魅力的なゾンビダンスです」(ソンジェ)

「奇怪さ、悪童らしさ、カリスマ性。良いと思います。惹かれませんか?個人的に『2度目の告白』よりもこの曲の方がもっと好きです。MVの監督がティム・バートンの『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』からインスピレーションを得てこれを作られました。僕たちはただ険しい顔ばかりしているわけではありませんので、表情の変化に注目してください」(チャンソプ)

ステージだけではない。BTOBはカムバックを控え、上半身裸の予告写真を公開し、女性ファンの心拍数を上げた。一番身体を鍛えたメンバーを聞くと、メンバーたちの視線がミンヒョクに向けられた。

「これまで一人で鍛えてきましたが、初めてPT(パーソナルトレーニング)というものを受けてみました。体力を極限まで追い込み、運動を繰り返しました。以前は皆さんが僕の身体を見ると“うわぁ~”という反応をされていたのですが、今では“ドラゴンボールのキャラクターみたい”という反応が多いです」(ミンヒョク)

メンバーが話すように「THRILLER」というジャンルは確かにアイドル界では珍しいコンセプトだ。これはマニアには限りない魔力として感じられるかもしれないが、一般の人々には馴染みの薄い難しいものになるかもしれない。そのため甘い歌も準備したということだった。

「僕たちのアルバム『THRILLER』は強烈な音楽ですが、収録曲を見てみると甘い歌も結構あります。先行公開曲『僕が君の男だったとき』もそのような楽曲です。僕たちは全てのファンを抱いていきます」(ヒョンシク)

狂気…寂しさで気が狂いそう、ファンの愛を求める

スリラーの醍醐味はやはり狂気じみた殺人鬼だ。狂気でないスリラーは貞子のいない「リング」は、イ・ソジンのいない「花よりおじいさん」に過ぎない。カムバックしたBTOBはこのような狂気をアルバムのタイトル曲「THRILLER」で見せつける。ステージ、またはMVを見れば、笑っているのか、怒っているのか分からない表情でラップをするBTOBのラッパーイルフン、ミンヒョク、プニエルを見ることができる。これに関してメンバーらが相次いで語った。

「ラッパーの3人が狂気の要素を担っていたと思います。ダークで狂った雰囲気を出すために努力しています。それに比べれば他のメンバーは正常に近いです」(イルフン)

「その通りです。ラッパー3人が『THRILLER』のコンセプトをきちんとこなしました。正直かっこよさだけを見せようとする気持ちなら、威嚇したような表情で取り憑かれたようなラップは披露できません。だから自然と惹きつける力があります。内面の演技、サイコパスのような感じを少し出しました」(チャンソプ)

狂気のコンセプトとは別に、普段から尋常ではないほどの4次元(個性が強く、ユニークな考え方を持つ人)オーラを放つメンバーがいるのかと聞いた。BTOB、団結力のあるチームだ。今回は皆揃ってチャンソプを挙げた。ちょうどソロ写真を撮るため席を外した隙に、目撃談についてメンバーたちのマシンガントークが炸裂した。

「表情からして4次元です。会話をするときの言葉使いも格別です。先程インタビューをするときに使った『奇怪』という言葉もそのような例の一つです。ある日、腕を組んでじっとしていた彼が突然、重厚な声で『蛙が……』と訳の分からないことを言ったこともあります。ラグビーボールのように、どこに飛んでいくか分からない要注意人物です」(イルフン)

「若干ナルコレプシー(居眠り症)の症状が見られます。ダンス中に眠ってしまうことがあります。アカペラを披露している時、声が聞こえなくなったなと思って見てみると寝ていたりします。ハンバーガーを食べているときにも眠ったことがあるんです」(※匿名希望)

ソロ撮影をしていたチャンソプが席に戻ると、自然に話題が変わった。狂気に関する話は、最近メンバーらがハマッているものは“何か”にまでに拡大された。ウングァンはロールプレイングゲーム、チャンソプはコーヒー、ミンヒョクは野球とビールにハマッている。しかし、皆は口を揃えて“寂しさ”について語った。

「寂しさで気が狂いそうです。僕たちメンバー同士は頻繁に会うことができますが、どうしても他の人とコミュニケーションを取ることが多くはないので人が恋しいです。恋しいと言うよりも寂しくて、それでまた人が物凄く狂ったように恋しくなります」(チャンソプなど多数)

アイドルが寂しさを感じるなんてとんでもない。大人しい末っ子のソンジェが前に出て慌てるように話をまとめた。

「ハハ。僕たちは実はファンに狂っています。僕たちが実際に気が狂ったように求めているのはファンの方々の愛です。たまに徹夜で収録があり、疲れきって帰るのですが、放送局から出る姿を少しでも見るためにファンの方々が待っている姿を時々見ます。その姿を見ると『凄く大変だろうに、僕たちを応援するために来てくださったんだ』と思い、皆元気をもらいます」(ソンジェ)

どんでん返し…メンバーの脇腹から出てくるリーダーの頭

スリラーと言えば女、狂気、それからやはりポイントは“どんでん返し”になる。映画の最後に鳥肌の立つどんでん返しの強弱によって映画への評価が変わるほどだ。BTOBの「THRILLER」もどんでん返しだらけだ。

「今回のイメージそのものがどんでん返しです。単なるコンセプトの変化ではなく、悪童らしい感じを与えながらも、この子たちが本当に怖くしようとしているのか、そうでなければ楽しんでいるのかを把握できないようにするんです。楽しさと恐怖が交差します。そうなればなるほど、なんだか分からない緊張感も漂っています」(イルフン)

「ダンスと表情のギャップから来るどんでん返しもあります。悪童を表現するために硬い表情で真剣にする反面、ダンスはなんだかよろよろとしたような感じですので。また、チャンソプ兄さんの脇腹からウングァン兄さんの頭が出てくるときは驚かれると思います。誰が想像できると思いますか?アイドルのダンスの途中でメンバーの脇腹からリーダーの頭が出てくるなんて……」(ヒョンシク)

インタビューの途中で“どんでん返し”の象徴となったチャンソプがまた口を開こうとする。かなり真剣に始まった答えは結局、妙な感嘆詞で終わった。この男、魅力がある。

「エンディングは開かれた結末です。騎士の立場と悪魔の立場を行き来します。それで最後のエンディングはリスナーの判断に任せました。ハッピーエンドになるかもしれないし、鳥肌の立つエンディングになるかもしれません。そして、本当のどんでん返しは歌そのものにあります。この歌は休むタイミングがなく、最後まで上昇し続けます。聴いていると最後に『お、お、お、お!(1オクターブずつ上げて説明)』とあります。言ってみれば、バイクのスピードがどんどん上がっていくような感じです」(チャンソプ)

毎回控え室とステージでただ挨拶だけしていたBTOBと行った初のインタビュー。正式な初めての出会いの感想を言わせていただくとすれば、これまで頭の中で描いていたイメージとはかなり違ったということだ。それはBTOBのメンバーらが人々に見せる魅力がまだかなり残っているということになる。この言葉にメンバーミンヒョクが強く同意した。

「いつも夢見ていることはどんでん返しがあるグループになることです。毎回カムバックをする度に『わ~BTOBはこんなコンセプトもできるんだ』という反応を得たいです。何を期待されてもその期待に裏切らない完璧なチームになりたいということがBTOBの目標です」(ミンヒョク)

記者 : パク・ヒョンミン