「グッド・ドクター」の航海が始まった…メディカルドラマの不敗神話を続けるのか

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「ウサギと兄さんは大人になれずに行ってしまった。ウサギも兄さんも大人にしてあげたかった。それで子供を産み、その子を愛するようにしてあげたかった」

視聴者を感動させたパク・シオン(チュウォン)の一言。新ドラマ「グッド・ドクター」の航海が始った。サヴァン症候群(自閉症や知的障害を持ちながら、ある特定の分野で卓越した才能を発揮する症状)を持つ外科医の物語を描いたこのドラマは、人間愛と癒しを全面に掲げたメディカルドラマで、“興行俳優”として知られるチュウォンとムン・チェウォンの共演でスタートする前から期待を集めた。

まず、スタートは成功したと言える。展開が遅いだろうという大方の予想と違って、「グッド・ドクター」の初の航海はよどみないものだった。パク・シオンの子供の頃を通じて彼が医者を夢見るようになったきっかけを紹介し、大人になった彼が紆余曲折の末、ソンウォン大学病院に研修医として入るまでの過程をスピーディーかつ淡々と描いた。

採用否決にも関わらず、パク・シオンが研修医として採用されたのは、善行のおかげだった。ソウルに向かう途中、建物が崩壊して大きな怪我を負った子供を落ち着いて処置するパク・シオンの姿を撮った映像が、通りすがりの人によってネット上に掲載され、パク・シオンは一躍スターとなった。ソンウォン大学病院の理事長であるイ・ヨウォン(ナ・ヨンヒ)はパク・シオンの医術を認めると言いながら彼を薦め、ソンウォン大学病院の院長であるチェ・ウソク(チョン・ホジン)は、自身の席をかけてパク・シオンを臨時採用した。チェ・ウソクが6ヶ月間という期間を限定したことにより、彼を目の敵に思う反対派による賭けも始まり、最初からストーリーラインがクモの巣のように張り巡らされた。

第1話であるにも関わらず、各登場人物の性格が立体的に描かれたのも評価できる、これに先立ち、日本では「ATARU」、アメリカでは「King & Maxwell」などの作品でサヴァン症候群を持つ主人公が活躍するユニークな捜査物が披露されたことがあるが、サヴァン症候群をメディカルドラマで活用するというのは非情に斬新な試みだ。ドラマでは初めて取り扱う題材であるだけに、見慣れない感じがしがちだが、様々な人物を描写することでそれらを一掃させた。パク・シオンと親密な関係を結ぶようになるチャ・ユンソ(ムン・チェウォン)とキム・ドハン(チュ・サンウク)の場合、それぞれが正反対の性格の典型的なキャラクターとしてお互いに異なる形でパク・シオンとの調和を見せた。反対派では、何を考えているか分からない神秘的なイメージの副院長カン・ヒョンテ(クァク・ドウォン)が強烈なカリスマ性で中心を取った。

俳優の演技力も申し分なかった。パク・シオン役のチュウォンは、不安そうな視線とぎこちない話し方を適度に描写しながらキャラクターに溶け込んだ。不自然な感じはまったくしなかった。チュ・サンウクは毒舌を吐くが内面に痛みを持つ人物を、ムン・チェウォンは酔っ払って悪口を言うなどの酒癖を見せながらも、患者の目線に合わせてアプローチする女医師を演じ、力を添えた。

前作「サメ ~愛の黙示録~」では作品性は認められたものの、最後まで手に入れることができなかったのが視聴率だ。「グッド・ドクター」がメディカルドラマの不敗神話を続けることができるのか、その力強い航海を期待してみる。

記者 : イ・ヘミ、写真 : KBS 2TV「グット・ドクター」スクリーンショット