Vol.3 ― 「監視者たち」ハン・ヒョジュ“可愛いふりをする演技より、さらに大変だったのは…”

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スクリーンに映し出されたハン・ヒョジュ(26歳)は、常に無駄がなく、綺麗だった。単に、白く輝く透明な肌のためだけではない。これまでハン・ヒョジュが見せてくれた淡白な演技のおかげなのか、見ていて全く負担を感じることがなかった。

犯罪アクション映画「監視者たち」(監督:チョ・ウィソク、キム・ビョンソ、制作:映画社ZIP)でもハン・ヒョジュはそうだった。優雅な女性の魅力は捨てたが、だからといって無理やり飾ることもなかった。むしろ、本来の姿が100%出てきたような感じがした。そのためにハン・ヒョジュは、今回も観客に気さくな魅力で近づこうとしている。劇中で彼女が呼ばれているニックネームからも、親しみのある魅力が溢れ出ている。

コードネームだけを聞いていると、「これはコメディ映画だったかな?」と混乱することもある。花ブタ、ラクダ、リス、毒蛇、モグラなど、まるで動物園のようだ。特に、花ブタを演じたハン・ヒョジュは、映画の中で「ぶうぶう」と鳴き声まで出す。それでも、笑えるどころか愛らしくて仕方がないところが“罠”である。ちなみに、俳優たちの劇中のニックネームは、彼らの容姿から来ているという。

ハン・ヒョジュは実際、花ブタというニックネームがかなり気に入ったという。単純な理由だが、少なくともチョン・ウソンが自分を呼ぶ時の呼び方である「ヒョジュくん」と比べると、「花」が入っているという理由で嬉しかったという。「花鹿の方がもっとよくありませんか?」という質問には、にっこりと笑った。やはり、花ブタよりは花鹿の方が良いみたいだ。

花ブタを経験したのも初めてだったが、何より警察という職業を演じるのも初めての経験だった。ハン・ヒョジュは劇中で演じるハ・ユンジュというキャラクターに、完璧に変身するためにかなり多くの準備をしたという。江南警察署の強力係(凶悪犯罪を担当する部署)に属し、伝説の女性警官と呼ばれるパク・ミオク氏に会い、実際の警察の喜びや悲しみを聞き、短い時間ではあったが強力係を間接的に体験することができたという。

「最初は、私たちが演じる役が監視だけをする監視チームなので、強力係とは全然違うだろうと思っていました。『わざわざ強力係の話を聞く必要があるのか?』とも思っていました。しかし、ある分野においてトップの方の経験談を聞くというのは確かに違うものですね。その分野で長く働いてきたという職人のオーラが人並外れたものでした。パク・ミオクさんが、『疲れたら負けるし、狂ったら勝つのだ』と仰いました。その通りです。最も大きく心に響きました。なので、映画の中でもファン班長(ソル・ギョング)の台詞として使われているんです」

パク・ミオク氏に会ってから、これまで思っていた女性警官のイメージが大きく変わったというハン・ヒョジュ。自分の演じるハ・ユンジュだけは、人々の想像するような女性警官として見せたくなかった。なぜ、女性警察はいつもワイルドでボーイッシュでなければならないのか。なぜ、男性の先輩にまるで男の子のように接しなければならないのか、という疑問を抱いた。

「まず、ハ・ユンジュは『女性らしかったら良いな』と思いました。監督たちとキャラクターの研究をしながら、色々と試みました。ロングヘアのかつらを被ってみて、女性らしい魅力をアピールしようともしました。結局は、おかっぱになりましたが、ビジュアルは女性らしいでしょう?詳しく見ると、ハ・ユンジュは作戦に入るとプロフェッショナルですが、普段は隙だらけであったり、時にはキュートだったりするんです。『行ってきま~す』と、普段の自分では言わないような慣れない愛嬌も見せたりしました。恥ずかしかったですよ。ハハハ」

普段、愛嬌のない性格なのに、可愛いふりをするのがとても恥ずかしかったというハン・ヒョジュは、「撮影中に最も辛かったのは、愛嬌だったのか?」と質問すると、「それよりも大変だったのは、“絞り(虹彩)”の演技だった」と意外な答えが返ってきた。“絞りの演技”とは、瞳孔の演技よりもさらに上の難易度の瞳の演技だという。

「過去の記憶を思い出すシーンでは、顔のクローズアップシーンが多いんです。台詞なしで、顔だけで『ハ・ユンジュが、今過去の記憶を思い出している』というのを見せなければいけません。特に、目が大事ですが、私の瞳孔の虹彩が開いて、また閉ざされます。“絞りの演技”がどんなに大変なのか、ご存知ですか?虹彩をコントロールすることは簡単なことではありません。観客の皆さんには是非、私の“絞りの演技”に注目してほしいです。情熱を注いだ演技の一つです。ハハハ」

記者 : チョ・ジヨン、写真 : チョ・ソンジン