「オーロラ姫」マクチャンドラマか、イム・ソンハンの世界か

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写真=MBC

不倫、暴言、荒唐無稽な設定までまさにイム・ソンハン脚本家の作品

イム・ソンハン脚本家の“マクチャン(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマ)の果て”はどこまでなのだろうか?これぐらいになると、最高のマクチャンドラマと言っても遜色がない。

視聴率が保障される脚本家と言われるイム・ソンハンがMBC毎日ドラマ(月~金曜日に放送されるドラマ)で帰ってきた。依然として複雑な人物間の関係、物質万能主義、視聴者に教えようとするヒロインの言い方やイム脚本家のドラマには必ず登場する“キハムする”(急にひどく驚いたり痛がったりして声を出しながら気を失うこと)という表現まで、さらに今回は第1話から不倫という題材を前面に出した。

そして19禁のシーンと台詞は前よりグレードアップした。20日の初放送ではパク・ジュリ(シン・ジュア)と不倫を犯したオ・グムソン(ソン・チャンミン)、そして彼の妻イ・ガンスク(イ・アヒョン)が登場した。グムソンとガンスクがマッサージを受けている途中、グムソンがガンスクに離婚を要求した。このときガンスクは自身の裸をグムソンに見せながら自身の年でこれほどのボディを持っている女はいないと抗弁する。

続いて顔が赤くなる台詞の連続。ガンスクはグムソンに「ウサギ(射精の早い男を指す俗語)のくせに」と言い、これに対しグムソンは「冷めたカップラーメン」とガンスクをからかう。その後も続けられた台詞はとてもテレビで流してはいけないほどの恥ずかしいものだった。だが、「オーロラ姫」は15歳以上なら視聴できるドラマだ。

主人公オ・ロラ(チョン・ソミン)の行動は、見方によっては物質万能主義にとらわれた現代人に一撃を加えるような態度に見える。つまり、自分を貧しい家の娘に設定しソウル地方検察所の検事と出会う。そして息子を“プロ”と呼ぶ検事の母との出会いで堂々と自分がすべき話を全部話し、むしろ検事の母の鼻毛を抜くとんでもないシーンを見せてくれる。

それから立ち寄ったブランド品販売ショップ。ここでも彼女の身なりを見て無視する職員の前で非常に高いバックを買ってしまい、翌日に最高級の服を着て女性秘書と一緒に登場し、マネージャーを呼び出し前日の職員が自分にとった失礼な行動について謝罪を求める。

写真=MBC
だが、ここまでが限界だ。主人公オ・ロラはこの上なく大切な財閥令嬢でこのドラマに出演する女性の一つの典型であるだけだ。つまり、「オーロラ姫」は貧困や身分の壁(主にお金によって生じる)を超える愛を見せる他のマクチャンドラマとは違う。男性主人公ファン・ママ(オ・チャンソク)も成功した作家という設定で、女性の白馬の王子様という幻想を満たしてくれる。

また、このドラマで不倫は当たり前のように描かれる。オ・ロラの父のオ・デサン(ピョン・ヒボン)会長が若いとき不倫を犯したことは、長男オ・ワンソク(パク・ヨンギュ)の口を通じて赤裸々に表現される。そしてパク・ジュリの継母であるワン・ヨオク(イム・イェジン)も不倫してジュリの実の母を追い出した状況と設定されている。

イム・ソンハン脚本家の作品でよく見られる、ドラマの内容とは全く関係のない奇怪なシーンも欠かせない。イム・ソンハン脚本家は前作「芙蓉閣の女たち~新妓生伝」で神に取り付かれ目からレーザーが出る奇妙なシーンを演出し、見る者から失笑を買った。テレビを視聴している途中で大きく笑って死んだり、到底ドラマの展開とは関係のないシーンもあった。

「オーロラ姫」でもこのようなとんでもないシーンが続々と登場している。それは、3男のオ・スソン(オ・デギュ)が妻キム・ソンミ(イ・ヒョンギョン)の前でスカートを着て座り「スカートがシルクだったらいいのに」と話すシーンがいきなり登場したり、ファン・ママの三人の姉たちが眠ったママの側で“般若心経”を唱えるシーンなどがそれだ。

視聴率万能時代に刺激的なシーンと台詞で視聴者を引き付けようとするドラマがあふれる中、イム・ソンハン脚本家のマクチャンはレベルが違う。まるで世界の中心で私のマクチャンこそ真のマクチャンだと叫んでいるようだ。逆にイム脚本家のドラマがどこまで見せるのだろうか期待する視聴者もいるくらいだ。

だが、長い目で見てこれらの刺激的な設定はいつかは視聴者を飽きさせる(まるで1996年に放送されたMBCドラマ「恋人」の“不倫シンドローム”以降、雨後の筍のように出た不倫ドラマに視聴者が飽きたように)。そして韓国ドラマ全体を考えても様々なジャンルのドラマではなく、マクチャンドラマだけのリーグに転落するる恐れもある。

このドラマ、「オーロラ姫」が始まる前に制作陣は「マクチャンドラマではない」と公言した。果たしてこれから「オーロラ姫」がどのように展開されるのか見守るべきだ。

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記者 : チェ・ジュホ