Vol.2 ― 「ナイン」イ・ジヌク“パク・ソヌを通じて演技への扉を開いた”

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ケーブルチャンネルtvN「ナイン~9回の時間旅行~」(以下「ナイン」)で、自身が演じた一番複雑な感情を持つパク・ソヌと別れて、落ち着いたように見える俳優イ・ジヌクに会った。

「第19話でパク・ソヌと別れて、『そう、パク・ソヌの手を離してあげよう』という気持ちが大きかった。とても心苦しい人物でもあったし、パク・ソヌのことを思うと胸が痛くなった。あの時、彼と別れないと僕の方が大変だっただろう」

イ・ジヌクの言葉の通り、ドラマで演じたパク・ソヌと別れたばかりの頃に会った彼は、インタビュー中ずっと明るい姿を見せた。

「パク・ソヌと別れて辛くなかったと言うと、それは嘘になる。役から抜け出すのは簡単なことではないから。でも、意図的に笑って、はしゃごうと努力した。言葉通り、演技は演技だから」

演技とは言ってもパク・ソヌとイ・ジヌクのシンクロ率は100%に近かった。“イ・ジヌクの再発見”という評価を受けるほど、ドラマ「ナイン」のイ・ジヌクは俳優として一層成熟していた。しかし、彼の卓越した演技は、前作「ロマンスが必要2」の時から始まった。深みのある内面演技と一層色濃くなった眼差し、「ロマンスが必要2」の彼は心から演じていた。

これに対しイ・ジヌクは少しためらってから、「『ロマンスが必要2』を通じて“演技への扉”を見つけた」と慎重に語りだした。

「今は集中すべきことに集中できるようになったと思う。『ロマンスが必要2』に出演して演技への扉を見つけ、『ナイン』を通じてその扉を開いた。今では、僕が直接その扉を開いて、その中に何があるのかを確かめられる。年を取ってその扉を見つけたとも言えるし、俳優としての限界にぶつかって、もがいていた時に扉を見つけたとも言える。その扉は、考えなければならないことや僕のやるべきことをしっかりと見えるようにしてくれた」

演技に通じる“扉”について語っていたイ・ジヌクは、もっと早くその“扉”を見つけられていればと残念な気持ちを滲ませた。

「その扉を見つけてから、どうして誰も僕にこんな話をしてくれなかったのかと悔しく思うこともあった。もっと早く誰かがこんな話をしてくれていたら、あるいは方向だけでも教えてくれていれば、僕の俳優としての人生は今とは違うものになっていたのではないかという残念な気持ちを持っていた。でも、改めて振り返ってみると、当時誰かが僕にそんな話をしてくれたのに、僕が気付かなかっただけかもしれないと思った。今、僕がその話をしても、新人俳優たちには分からないように」

俳優について語っていたイ・ジヌクは、ドラマで自分の青年時代を演じたZE:Aのヒョンシクについても語った。ヒョンシクとイ・ジヌクはよく似ていた。イメージや口調も似ているが、二人の雰囲気はストーリーが展開されるにつれ、葛藤が深まるにつれ、ますます似ていった。

「僕がヒョンシクと同じ年齢だった時は、あんなに上手く演じられなかった。本当に上手くやっているし、頑張り屋だ。そんなヒョンシクに初めて会った時、『この子が僕のことを好きになってくれたらいいな。イ・ジヌクという俳優じゃなくても、パク・ソヌを演じるイ・ジヌクを好きになってくれたらいいな』と思った。僕が一生懸命頑張る姿を見せて、その姿を見てヒョンシクももっと頑張ってくれたらいいなと思っていたが、最後までよくついてきてくれた。それで、ますます似たんだと思う」

一生懸命に努力すること、それだけでイ・ジヌクが話す“扉”を見つけたわけではない。彼は、人生観と同じように明確な演技哲学を持っていた。

「正しい心構えを持つ俳優になるべきだと思う。時間が経てば演技力は向上する。もちろん、絶え間なく努力するのは当然のことだが、常に正しい心構えで演技に臨めばもっと大事なことを学ぶチャンスは必ずやってくる」

「ロマンスが必要2」「ナイン」を通じて演技を知ったと言う俳優イ・ジヌク。今後、彼はどんな演技を見せてくれるのだろうか。

「今まで通り、台本とキャラクターを優先する。特に演じてみたいというキャラクターはない。魅力的なキャラクターがあれば、もう一度悔いのない演技がしたい」

記者 : イ・ジヨン、写真 : ユ・ジニョン