「クラウド アトラス」興行成績だけでは語れない“実験精神”

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写真=(株)ブルーミジ
「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟と「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァ監督が意気投合して作った「クラウド アトラス」。デイヴィッド・ミッチェルの同名のベストセラー小説を原作としている。

映画「クラウド アトラス」に登場する6つのエピソードで、主人公たちは見えない紐でつながっている特別な関係を結び、過去と現在、未来にもつながる絆の助けや干渉を受けながら、その時代にとって意味のあることを実行する。

“輪廻思想”をベースにストーリーを展開していく「クラウド アトラス」の核となるキーワードは、時空を超越する愛と信義、運命だ。1849年にさかのぼって始まったある男女の愛と救いからストーリーは展開し、500年という時間を繰り返して、1つの絆に結集させる。

1849年、1936年、1973年、2012年、2044年、2346年が複雑に絡み、時代を繰り返して続いていく主人公たちの絆を強調した「クラウド アトラス」は、簡単に解けないパズルのように複雑な結晶を成す。

3時間を超える長い上映時間の中で、この難題を自ら解かなければならない観客のために、それなりに噛み砕いて見せようとする監督の努力が見えることは見える。

しかし、いくつかの時代で様々な扮装やキャラクターで登場する俳優たちと6重奏が1つにまとまらず、各段落で区切りをつける構造はかえって観客の混乱をもたらすばかりだ。なぜ「クラウド アトラス」がアメリカ公開直後に複数の批評家から“2012年最悪の映画”に選ばれたかを如実に表す部分だ。


それにも関わらず、「クラウド アトラス」はあえて6つのテーマをパズルのように配列した監督の意図さえ把握すれば、どの大作映画より興味深く感じられる可能性があるように見える。大衆性よりも実験精神で武装した「クラウド アトラス」の独特さが如実に現れる部分は、俳優のキャスティングだ。トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・スタージェス、ヒューゴ・ウィーヴィング、ベン・ウィショー、ヒュー・グラントなど超豪華キャスティングを誇りながらも、ヒュー・グラントの顔さえ分からない扮装で演技をさせる監督は、ウォシャウスキー以外にはそうはいないだろう。

1849年には、アダム・ユーイング(ジム・スタージェス)の妻として完璧な白人扮装に続き、1973年のメキシコ人女性、2144年のクローン人間ソンミ-451として3段階の変身に成功したペ・ドゥナの存在感。最高の俳優たちが集まっただけに、演技の面で非の打ち所のない完璧なアンサンブルを見せたことも「クラウド アトラス」の長所だ。

俳優たちの素晴らしい演技、独特な扮装に「クラウド アトラス」の長所を限ることはできないが、“輪廻思想”を通じて6つのストーリーを大衆的な1つの物語に形成しようと試みた挑戦に対し、物足りなさを残したことは、否定できない最も大きな映画の失敗原因である。

しかし、それぞれの時代を生きる人物たちがメビウスの帯のようにつながった絆と運命を通じて、強者の貪欲のために生成された“秩序”や“抑圧”に立ち向かう勇気は、冷笑と絶望の時代にも関わらず生きなければならない私たちに向けて静かな響きを与える。

アンディー&ラナ・ウォシャウスキーとトム・ティクヴァは、“輪廻”と“運命”という難解で長たらしいストーリーをスクリーン上で具現化しようとした。たとえ“興行失敗”で終わったとしても、そのチャレンジ精神だけは高く評価したい。将来の誰かが「クラウド アトラス」を通じて誰もが歓呼できる新しい映画ジャンルを構築し、映画史に残る人物になるかもしれないからだ。

記者 : クォン・ジンギョン