少女時代、ダブルタイトル曲で新しい挑戦

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「I GOT A BOY」「Dancing Queen」で戻ってきた少女時代

少女時代がカムバックした。少女時代の新曲について話す前にKARAの話をしたい。昨年KARAが「PANDORA」でカムバックした時、今回の少女時代のようにダブルタイトルにしていたら良かったのにと思ったためだ。

KARAが幅広く人気を得た曲は「PANDORA」のようにクールで成熟した感じの曲ではなかった。「Pretty Girl」と「ミスター」といった可愛らしい曲だったが、KARAは変身を図るために「PANDORA」で活動を続けた。結局、可愛らしい雰囲気を期待していたファンたちが新しいイメージに適応するために長い時間がかかり、KARA結成以来初めて、ダンスや衣装についてセンセーショナリズム論争が起きた。

写真=SMエンターテインメント

“国民アイドル”少女時代も危機感を感じたのだろうか?

少女時代はKARAの二の舞を演じたくなかったのだろうか。今回は事実上2つのタイトル曲でカムバックステージを披露している。「Dancing Queen」と「I GOT A BOY」。少女時代がより野心的に準備した曲はおそらく「I GOT A BOY」だろう。少女時代は「また巡り逢えた世界」でデビューした時から新しい雰囲気の曲に挑戦してきた。「Gee」がそうであり、今は「I GOT A BOY」がそのような少女時代の“実験精神”を継ぐ曲になりそうだ。

このことから「Dancing Queen」は、今回の少女時代のカムバックにおいてどの様な意味を持つのか分析することができる。簡単にいうと、一種の安全装置のような曲だ。「I GOT A BOY」が人々にすぐに受け入れられなかった場合に備えて一緒にリリースした曲だと言える。「I GOT A BOY」を披露して完全に人々に通じればこの上ないが、そうでない場合、人々が「I GOT A BOY」に聴きなれるまで「Dancing Queen」で活動を続けていくこともできるだろう。

また、「I GOT A BOY」の反応が期待以下である場合、「Dancing Queen」にフォーカスをおいて活動をすることもできる。少女時代のこのようなダブルタイトル戦略は、KARA以前に、自らの経験によるものである可能性もある。勢い良くリリースした「また巡り逢えた世界」が人々から注目を集められなかった少女時代としては、「I GOT A BOY」のワンタイトルでカムバックすることが不安なのは、ある意味当然だ。

知っての通り、「Dancing Queen」は、過去「Gee」で活動する前にリリースしようとしていた曲だった。それが挫折して以来、今回のカムバックでリサイクルされたのだ。まず「Dancing Queen」の歌とステージを分析したい。「Dancing Queen」は第一印象ではあまり新鮮さは感じられない。「Gee」を連想させる振り付け(「Gee」の時に内側に引っ込めた両手を外側に出すところ)と、衣装コンセプト(カラフルなスキニージーンズとクラシックなハイヒール)のためだ。しかし、曲は「Gee」とは確実に違っていた。


少女時代の“実験精神”は褒められて当然……音楽性に注目

「Dancing Queen」は「Gee」より古風な雰囲気の曲だ。新しい、またはこれはいいという感じのする曲ではなかった。しかし、少女時代のメンバーの歌唱力やステージを構成するアクトは、他の新人ガールズグループが比にならないほど安定的かつ巧みであり、曲の物足りなさを満足させる上で十分に見える。

それでも「Dancing Queen」が、過去に少女時代をトップにのし上げた「Kissing You」や「Gee」「GENIE」のように聴きやすい曲ではないのは事実だった。中間を過ぎると退屈な感じさえするが、これは曲に確実なクライマックスがないためだ。水が流れるように続くメロディーのパターンが、イージーリスニングとして好まれる一方で、食傷気味だとも言える。どうしても「Gee」の時を忘れられない“おじさんファン”のための曲になるのではないだろうか。

「I GOT A BOY」はどうだろうか。記者は個人的にとても良いと思う(記者は「また巡り逢えた世界」の精神が好きなため)。「I GOT A BOY」はヒップホップとJ-ROCK的な雰囲気、そして若干オルタナティブロックの雰囲気もするダンス曲だ。ハイブリッドな雰囲気と言うべきだろうか。

少女時代のメンバーたちが「I GOT A BOY」のステージでは、ひっきりなしに動いている印象を与える。「I GOT A BOY」のステージは、ダイナミックで大胆なものがある。確かに、今まで少女時代が見せていなかった姿をもう一度引き出したことに意味がある曲だ。「Dancing Queen」がおじさんファンのための曲に近いとすれば、「I GOT A BOY」は10~20代のファンのための曲に近い。

しかし、曲やステージにおいて残念なところも残る。メンバーたちは明らかに楽しく一生懸命にやっているが、何かしらの感情が足りないように思われた。冒険的で実験的なのはいい。日本での活動も念頭に入れている少女時代であるだけに、日本でも受け入れられそうな曲だ。「I GOT A BOY」のコンセプトやスタイルが韓国の人々にもう少し浸透する必要がある。

とにかく、少女時代は「I GOT A BOY」をタイトル曲にし、4thアルバム「I GOT A BOY」で復帰した。“国民アイドル”として元日に発売したセンスも悪くなかった。音楽マニアの間では少女時代の曲は信じて聴けると言われてきた。

「Gee」や「GENIE」「Run Devil Run」「Hoot」のようなタイトルダンス曲のみが少女時代の音楽性の全てではない。非タイトル曲のアルバム収録曲の中でもいい曲がたくさんあった。今回の4thアルバムも2曲のタイトル曲以外に8つのトラックがびっしりと詰まっている。

活動再開をきっかけに少女時代のより多くの隠された名曲が人々に愛されることを願いたい。少女時代は、バラード曲の中でもいい曲が少なくない。とにかく、韓国の“国民アイドル”少女時代がもう一度韓国を楽しませてくれることを期待したい。

記者 : ソ・サンフン