「私たち結婚できるかな?」結婚のすべてを描いた細密画

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“僕たち、結婚……できる?”この上なく単純な質問を投げてみる。これは私たちが本当に愛していたのか、あるいは私たちが今愛しているのかというようなロマンチックな感情に対する質問ではない。あなたと私、長い間お互い違う環境で育ってきた2人が、様々な違いと危機を乗り越え人生で一番煩わしくて、高級なイベントと言える結婚まで、果たして無事に至ることができるのかに対する疑いから始まった疑問だった。それに結婚をするという意志や、結婚できるという確信の代わりに抱く不安は、“私たち”の結婚が“私たち”だけの望みだけでまとまることではないということから始まる。そのため情熱な愛より難易度の高い課題は、順調な結婚であり、JTBC「私たち結婚できるかな?」はこの一節の質問から始まり、結婚にまつわる様々な人間関係と人物を顕微鏡で見ている。

結婚、第3者の基準で自分自身を採点するテスト用紙

恋愛が2人だけで完成できる幸せな世界であるとすれば、結婚はそれぞれが生きてきた世界に異質的な相手を受け入れることで発生する無数の葛藤の始まりである。夫と死別し、一人で娘たちを育ててきたドゥルジャ(イ・ミスク)は、小学校の教師である次女ヘユン(チョン・ソミン)が中小企業の新入社員ジョンフン(ソンジュン)と結婚することに激しく反対する。だが、ヘユンは自分の現実的な条件が、母が思っているほど良くないということを分かっている。一方、裕福な家庭で育ったジョンフンは、ヘユンの母ドゥルジャから“年収3千万ウォン以下のサラリーマン”である自分があまり気に入られていないということにショックを受け、母ウンギョン(ソヌ・ウンスク)がヘユンに要求した結納の問題を解決できない自分の経済力に、改めて愕然とする。このように、韓国での結婚は、大人たちがプライベートの関係でも第3者の基準で自分自身を採点するという不快な経験であると同時に、「お母さんが恥ずかしい」と告白するヘユンと「結婚の準備をしながら、母さんの色んな顔を見た」と失望するジョンフンのように、子供が親を客観的に見て、距離を置くようになる重要なきっかけにもなる。

だが、生まれてから大人になるまで、進学や就職によって住まいが変わるなど、特別なきっかけがないと親離れできず、一緒に住みながら金銭的な支援を受けたり、家事労働などが与えられる。そんな子供たちが結婚だけは自分の力でやりたいと思うのは、ある意味つじつまが合わない望みだ。それは愛情という名を装った搾取と干渉の悪循環の中で、親は自分の投資と犠牲によって育ててきた子供が「異性に狂い正気でない」状況を受け入れることができず、しばしば葛藤の原因を部外者である将来嫁や婿になるであろうヘユンやジョンフンのせいにしようとする。

「私たち結婚できるかな?」狂った世界へ向かった勇気ある一歩

問題は、男女2人が新しい家庭を作り定着するための初期費用が、20~30代の会社員の平均年収の全額を何年貯めても手に負えないほど高いということが、2012年の韓国の現実だ。29歳の大卒者が就職難に悩みを抱えて自殺し、恋愛、結婚、出産費用が手に負えなくて諦める“3放世代”(恋愛、結婚、出産の3つを諦めた世代)という新造語ができた社会は、子供が親から最小限の独立できる機会まで遮断している。そんな理由で、自分一人で頑張って成功することは、今はもう“神話”の領域となった。また、若い世代が最も解決しなければならない課題が“生存”になってしまった今、一生、生活に苦しみながら生きてきたドゥルジャが、ヘユンには自分のような人生を送ってほしくないため、ジョンフンの親が持つ不動産の一部を欲張るのは少し醜いけれど、仕方のない選択でもある。

しかし、結婚を準備しながら、2度の別れを経験したヘユンとジョンフンが、高級ホテルの代わりにいとこが運営するレストランを無料で借りて結婚することを決め、ジョンフンの親が譲ってくれるマンションの代わり、ローンを組んで安い家を借りようと一緒に探そうとする。また、ドゥルジャの家で暮らしながらお金を貯めることを悩む姿は、彼らがこれまでの過程を通じて得た成長の一面である。ヘユンが結婚を諦めようとした一番大きな理由だった母のことをそのまま受け入れる方法を学び、ジョンフンは結婚を反対する母に「失敗をしてもそれは僕がしたことで、その失敗による責任も僕が取る」と宣言する。そのため、“ありふれた”結婚ストーリーの中で、親と子供の関係、夫婦になろうとする2人の関係、新しく家族の垣根に入ることになった人々との関係を深く考察した「僕たち、結婚できる?」は、何度も諦めて逃げたことがあるヘユンを通じて物語を語っている。「逃げない。私が欲しいものを勝ち取るし、守る。戦って勝つ人だけが持てるものだとしたら、戦って勝ってみせる」愛する人と家庭を築くことが、危険なギャンブルのように認識されるこの狂った世界へ向けた勇気ある一歩だ。

記者 : チェ・ジウン、編集 : チャン・ギョンジン、翻訳 : チェ・ユンジョン