「音痴クリニック」ユン・サンヒョンの探求生活…“心のクリニックはこのように”

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ユン・サンヒョンが俳優として生きる方法

愉快であると同時に真面目だ。毎回愉快で前向きな人たちが見せる真面目な姿は時には大きな響きとなる。

俳優ユン・サンヒョンがそうだ。彼は映画「音痴クリニック」で初の商業映画の主演を務めてから、楽しそうにインタビューに応じていた。しかしその愉快な姿がすべてなのだろうか?我々は、彼が少し遅く俳優の道に足を踏み入れ、今までしっかりと自身の道を作ってきているという事実を知っている。つまり、疲れないための人生の動力を自ら持っているということだ。

「ユン・サンヒョンスタイル?様々な人々と幅広く親しくなりましょう!」

東大門(トンデムン)でジーンズを売っていた。高い身長にスレンダーな体。ユン・サンヒョンはモデルだった。知り合いがジーパンの生地を卸しズボンを作るところを見て、商売をすることを決心した。30歳近くの頃、おそらく2000年あたりの出来事だった。

ユン・サンヒョンの図太さは、その時に鍛えられたものではないだろうか。「はい、どうぞご覧ください!」好奇心旺盛だった頃、このようにして商売を始めた彼は、馴れ馴れしい態度で有名だった。

そうした彼が、様々な広告に登場し、俳優としての立場を築き始めた。本格的な役者デビューは2005年のドラマ出演を通じてだった。出遅れた俳優だったが、彼ならではのポジティブなエネルギーで成功し続けた。いつの間にか彼は、日本の女性ファンたちの心を奪い“韓流スター”になっていた。そして彼が、今回は映画デビューをする。図々しいエネルギーは相変わらずだ。ここまでくれば憂鬱な若者たちは彼に声を掛けたくなるだろう。“疲れない秘訣は何ですか?”

「本当に年齢は数字に過ぎません!40歳にして映画デビューした人は、僕が初めてではありませんか?調べてみてください。初めてだと思います。本当に。違うかな?僕の知人や周りの人を見ると、年をとったと思って、服装もそれに合わせます。そうしてはいけません!自分がしたいことをしないと。特に俳優は枠にとらわれてはいけないので。僕はそう思います」

溢れるエネルギーでユン・サンヒョンは、ドラマの現場でも映画の現場でも、まずスタッフたちと親しくなろうとする。共演する俳優とも距離を縮めるために努力する。愉快な雰囲気で自身の力量を発揮するのが、俳優ユン・サンヒョンの仕事スタイルだった。そうしないと、上手く演技ができないという。「音痴クリニック」でもスタッフたちとおしゃべりをし過ぎて、回りから静かにしろと言われたほどだというので、彼の仕事スタイルは想像がつく。

写真=ロッテエンターテインメント

「歌が歌いたかったら、とっくにそうしている」

ユン・サンヒョンが初めて選択した映画「音痴クリニック」は、タイトルでも予想できるように、本格的なコメディドラマジャンルだ。ここではユン・サンヒョンが絶対音感の持ち主なのか確認するすべはないが、彼は町の学生や大人たちを音楽の世界に案内する塾の講師役を演じた。

「シナリオを読んで、気持ちが良かったです。映画というのは、ドラマよりは呼吸も短く、更に集中できました。全部読み終わってから良い印象を持ちました。今まで僕が見てきたキャラクターとはまた違う感じに仕上げる自信がありました。TVで僕を見た方々は『またコメディなの?』と思うかも知れませんが、また違う魅力があります。だから選択したのです」

初主演だからと言って大して心配はしませんでした。正直、丁寧に作るのでドラマのように一気にたくさん撮ったりしないじゃないですか。呼吸が長く、それだけ同じシーンを何回も撮ったりしますが、この映画はアクション映画ではないので、そういうこともあまりありませんでした。

楽しんでいるだけのように見えても、同時に徹底している。ドラマ「僕の妻はスーパーウーマン」「シークレット・ガーデン」などで人気絶頂だった頃、映画のオファーもいくつかあったが、並行する自信がなく断ってきたからだ。ユン・サンヒョンは「『音痴クリニック』もそういった心配がまったくなかったわけではないですが、演出を務めたキム・ジニョン監督が強弱の調節について確信をくださった」と撮影現場の雰囲気について言及したりもした。力を入れるべきシーンとそうでないシーンに対するそれなりのノウハウを学んだわけだ。

だが、韓国では俳優として成功しているが、日本でのユン・サンヒョンは歌手として有名だ。彼が発表したアルバムは5枚もある。そこで周りからたまに歌手に転向する気はないのかと聞かれるという。

「歌が歌いたかったら、ドラマが終わってから何でもしていたと思います。日本ではデジタルシングルも発表しましたが、韓国では演技に集中したいです。僕が雑技に長けているからです。はぁ!一つに集中すべきなのに(笑)」

根っからの俳優であることを強調し、ユン・サンヒョンは料理というもう一つの特技を公開した。時間ができればイタリア料理を学び、レストランを出すという夢があるとも明かした。パスタとリゾットを作るユン・サンヒョン。妙に似合う……。

「フランス料理から始めて、色々とマスターしたいです。作品活動の合間に料理もして、レストランを訪れるお客さんと話もしたり。イベントもしたいです!年をとるほど流れる時間を忘れるためには、現実に満足せず、発展させなければなりません。そうしないと演技も、日本での活動も難しくなると思います」

彼の愉快さは、彼が自らの人生を支える原動力であった。ここには俳優として、芸能人として生きていくことに対するそれなりの主観が盛り込まれていた。そういう意味で「音痴クリニック」の成功有無より、彼が心配するのは観客一人ひとりの評価だった。遅くして挑戦した映画に対し「ドラマだけにしろ」という反応が出るのではないか心配だそうだ。
それでは韓国で11月29日に公開され、現在公開中の映画「音痴クリニック」に対するお勧めの言葉を付けよう。出発は多少振るわないが、過小評価する作品ではない。何を想像してもそれよりはるかに面白く、愉快な作品だからだ。

記者 : イ・ジョンミン、イ・ソンピル 写真:イ・ジョンミン