イ・ジェフン、初の映画監督に!フィルムプロジェクト「UNFRAMED」でチョン・ヘインを主人公に“飛び跳ねるくらい嬉しかった(笑)”

Kstyle |

映画好きのための月額動画配信サービス「WATCHA(ウォッチャ)」にて独占公開中のオリジナルショートフィルムプロジェクト「UNFRAMED/アンフレームド」。ドラマ「地獄が呼んでいる」で注目を集めたパク・ジョンミン、ドラマ「D.P」でイム大佐役を演じたソン・ソック、映画「金子文子と朴烈」に出演した実力派女優チェ・ヒソ、そして「シグナル」「ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士です」で人気実力ともに韓国を代表する俳優イ・ジェフンの4人が企画段階から関わり演出を手掛けたことで熱い関心を集めている。

そこで、このプロジェクトの発起人であるイ・ジェフンがそれぞれの作品の見どころや、自身がメガホンをとった作品「ブルーハピネス」の制作秘話を語ってくれた。



初の映画監督作品「俳優が演技する姿を見て幸せな気持ちに」

――「UNFRAMED/アンフレームド』の4つの作品はまったく違った色を持った作品ですね。それでありながら視聴者の想像を掻き立てる作品という点では共通していたように思えますが、それはプロジェクトのコンセプトだったのでしょうか? それとも偶然でしょうか?

イ・ジェフン:後者のほうに近いですね。それぞれがどんな主題でどんな作品を作るかということについて事前に話したことはないですし、こんな共通点がなければならないという決まりもまったくありませんでした。ただ“各自がやりたい作品を自由に作れ”というのが重要なモットーでした。だから、このプロジェクトのタイトルを「UNFRAMED/アンフレームド」とつけたのですが、僕から見てもどうしてこんなにも作品ごとに色が違うのか、伝えたいメッセージが異なったのかが不思議でした。

――初の映画監督作品となりますが、映画を作りたいと思うようになったきっかけは?

イ・ジェフン:まず、僕が俳優になった理由を考えてみると、子どもの頃からとてもたくさんの映画を見てきたからではないかと思います。そのため映画に出てくる俳優にとても親しみを感じていたのですが、その一方でこんなふうに考えた事もありました。僕がもし俳優になれていなかったら、どんな仕事をしていただろう。どんな仕事だったら興味とやりがいを感じながらやっていけるだろうか……。そうなると映画しかないなと思いました。映画は俳優だけではなく、監督、製作者、撮影監督、照明、美術、ヘアメイクなど数多くの人たちが集まって作る映像技術なので、その中のどのパートでも関わっていけたらいいと思いました。そして今回このようないい機会に恵まれて監督をすることができて、たくさんのことを感じ、学ぶことができました。

――子どもの頃に見てきた映画がきっかけということでしょうか?

イ・ジェフン:それがきっかけというか、多くの作品を見ながら、ただ幸せだったんですよ。演技をする時はうれしくて幸せですが、当然、大変な時もあります。それならば、僕が一番幸せな瞬間はどんな時だろうと考えてみると、映画館で映画を見ている瞬間。そんな瞬間がこれからもたくさんあればいいなと思っています。

――俳優経験が監督をやるうえで役立ったことはありますか?

イ・ジェフン:たくさんあります。まずは、ぎこちなさがなかったと思います。次に自身が俳優ということで、演技をする俳優たちを見ながら、どんなふうにしたらいいのか悪いのかの判断が早くできたと思います。監督をやってみて俳優たちが演技する姿を見ながらとても幸せな気持ちになってまた監督をしたいと思いましたし、僕は映画というものをこんなにも愛しているんだなと改めて感じる機会にもなりました。


チョン・ヘインを主人公に「飛び跳ねるくらい嬉しかった(笑)」

――「ブルーハピネス」は最初からチョン・ヘインさんをイメージして脚本を書いたそうですが、どうしてチョン・ヘインさんを主人公に考えたのでしょうか?

イ・ジェフン:この作品を書く時に、主人公はこの時代において青年らしい姿を代弁するような人だといいなと思いながら執筆していたのですが、チョン・ヘインさんだけしか想像がつかなかったんです。だから果たしてオファーを受けてくれるだろうかと心配でドキドキしながらシナリオを書いたのですが、受けてくださるというので本当に本当にありがたくて、飛び跳ねるくらいうれしかったです(笑)

――「ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士です」で共演したタン・ジュンサンさん、「復讐代行人~模範タクシー~」で共演したピョ・イェジンさんの出演もファンには歓喜でしたが、キャスティングのエピソードを教えてください。

イ・ジェフン:チョン・ヘインさんのキャラクターを念頭に置きつつ、その周辺にいるキャラクターはどんな人ならばいいだろうかと悩んだのですが、僕と縁がある人、かつ演技がうまい人がいいと思ってキャスティングをしました。オファーをしたらみんなが受けてくれたので「あぁ、僕はしっかりやってきたんだな」って思いましたが(笑)、一方では低予算で作る映画だったので、十分なギャランティーを出すことができず申し訳ない気持ちがありました。それでも僕の気持ちをすべて理解して受けてくれた皆さんには大きな借りを作ったと思っています。いつか返さないと(笑)。

――イ・ドンフィさんが演じるスンミンは、チャニョンを株の世界に引き込みますが、近づいたのが意図的だったのか、そうではないのかが気になりました。スンミンをどんな人物として描いたのでしょうか?

イ・ジェフン:スンミンは久しぶりに友人のチャニョンに会って、近況を聞いてみたら大変そうなのでお金を稼ぐ方法を教えてあげたという感じですが、同時に何度も何度も「欲をかくな」と忠告するんです。でもチャニョンは儲けたことでテンションがあがっていて、その忠告が耳に入らないんです。おっしゃる通りにスンミンという人物は見る人によって、いい友人なのか、悪い友人なのかの判断が別れると思いますが、この作品の重要なメッセージを伝えている人物です。ところで僕が驚いたのはスンミンを演じたイ・ドンフィさんは株や投資をしたことがなく、関心もまったくないそうなんです。なのに、まるで汝矣島(ヨイド=韓国のウォール街と称される)で長年ファンドマネージャーをやっていたみたいに演技をする姿を見て「わ~、すごい俳優だな。自分が経験してもいないことをこんなにうまく演じるなんて」と驚きました(笑)。


それぞれの監督作品に感激「本当に映画を愛しているんだなと…」

――他の3人の監督の作品を見てどんな感想を持たれましたか? まずパク・ジョンミン監督の「学級委員長選挙」についてお願いします。

イ・ジェフン:子供たちによる選挙という、まったく想像もつかないことを素材にしていておもしろかったです。ヒップホップを使った音楽や編集もテンポが速くて、すごい感性だなと思いました。また、撮影現場に行って子役たちにディレクションする様子も見たのですが、とても愛らしく温かい様子で子どもたち全員がうまく演技ができるように教える姿を見て、本当にすばらしいと思いました。

――パク・ジョンミンさんとは映画「BLEAK NIGHT 番人」での共演から親しくされていますね。

イ・ジェフン:このプロジェクトを企画して最初に頭に浮かんだのがパク・ジョンミン監督です。「BLEAK NIGHT 番人」からの縁がもう10年以上も経っているのですが、同世代の俳優の中でも一番親しく、頼りにしていて、愛着を持っている人です。以前にパク・ジョンミンさんが演出した「For the Gone」のMVに僕が出演をしたのですが、その時も「兄さん、出演してくれる」と依頼を受けたので、細かいことも聞かないで悩むこともなく「わかった~」って引き受けました。そんなふうにお互いに信頼し合っている関係です。

――ソン・ソック監督の「再放送」はいかがでしたか?

イ・ジェフン:叔母と甥のストーリーをロードムービー形式で描いていて、ドタバタと楽しく進行していくのですが、見ながら僕が甥役を演じてみたいなと思いましたし、2人の俳優さんの演技の呼吸がバッチリと合っているのを見て、ソン・ソック監督がうまく雰囲気づくりをしていたのだろうなと思いました。ソン・ソック監督が楽しそうにあちこち走り回りながらディレクションして現場を率いていく姿も見ましたが、その様子を見て本当に映画を愛しているんだなと感じました。だからか4作品の中で僕が一番笑った作品です。

――チェ・ヒソ監督の「バンディー蛍の娘」はいかがでしたか?

イ・ジェフン:もし僕がいろんなテーマの作品を何本も書いたとしても、このような作品を書くのは難しいと思いました。チェ・ヒソ監督自身が経験したことではないにも関わらず、女性の視点で温かい気持ちを表現した作品なので共感できましたし、こんな生き方をしている人たちがいるんだなと知って、世の中を見る視野が少し広くなったような気がします。また、4つの作品の中で一番美しくピュアな作品で、映像美もすばらしかったので見ながら癒されました。

――最後にプロジェクト発起人としてひと言お願いします。

イ・ジェフン:以前から共同運営者でもある制作会社 HARDCUT を通じて様々なプロジェクトを進めていて、俳優が演出した映画を作ってみようと思いました。知り合いの俳優のなかで演出に関心がある俳優を集め、こうして作品を発表できたのは嬉しい驚きです。ご一緒できた皆さんに心から感謝しています。日本の皆さんにもたくさん見ていただけたらうれしいです。

取材:安部裕子

『UNFRAMED/アンフレームド』全4作品
2021年12月22日よりWATCHAにて独占配信中

「学級委員長選挙」
監督・脚本:パク・ジョンミン
出演:キム・ダムホ/カン・ジソク/パク・ヒョウン/パク・スンジュン

「再放送」
監督・脚本:ソン・ソック
出演:イム・ソンジェ/ビョン・ジュンヒ/オ・ミネ

「バンディー蛍の娘」
監督・脚本:チェ・ヒソ
出演:チェ・ヒソ/パク・ソイ/チョ・ギョンスク/シン・ヒョンス

「ブルーハピネス」
監督・脚本:イ・ジェフン
出演:チョン・ヘイン/イ・ドンフィ/キム・ダイェ/タン・ジュンサン/ピョ・イェジン

『UNFRAMED/アンフレームド』について
本作は、月額動画配信サービス「WATCHA(ウォッチャ)」と韓国の制作会社HARDCUTが共同企画したオリジナルショートフィルムプロジェクト。数々の韓国映画・韓国ドラマで活躍する人気俳優パク・ジョンミン(『空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~』『地獄が呼んでいる』)、ソン・ソック(『マザー』『最高の離婚』)、チェ・ヒソ(『金子文子と朴烈』『アジアの天使』)、イ・ジェフン(『BLEAK NIGHT 番人』『シグナル』)が、俳優という“フレーム”を超え初めて脚本と監督に挑み、今年10月に開催された第26回釜山国際映画祭で「韓国映画の今日-パノラマ」部門に公式招待されるなどメディアからも注目を集めている。

視聴リンク:https://watcha.onelink.me/MjBm/a6b006c1

記者 : Kstyle編集部