【ドラマレビュー】「最高です!スンシンちゃん」なぜ前作の成績に及ばないのだろうか?

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写真=KBS
KBS 2TVの週末ドラマ「最高です!スンシンちゃん」の放送がスタートして2ヶ月が経った現在、未だに視聴率30%台を越えられないでいる。最初に豪語していた視聴率50%どころか、成績の基準となる視聴率40%も程遠い。韓国で28日に放送された「最高です!スンシンちゃん」は視聴率26.7%(ニールセン・コリア、全国基準)を記録した。

前作の「棚ぼたのあなた」と「いとしのソヨン」が続けて40%台半ば~後半の最高視聴率を記録しながらブームを巻き起こしたのとは異なる結果だ。いったい「最高です!スンシンちゃん」はなぜ、期待に及ばない数値を出しているだろうか。

ゴールデンタイムも活かせなかった陳腐なストーリー

実を言うとKBS週末ドラマは基本的に視聴率20%を取れると言われる時間帯である。同時間帯にライバル放送局がすべてニュースを放送しているうえに、長い間しっかりとした固定視聴者層を築いているためだ。問題は30%台の視聴率をどれだけ早く突破するか、そして本当の“成績の基準”となる40~50%台の視聴率を達成できるかにある。いくらKBS週末ドラマだとしても40%台の視聴率を記録することは簡単ではない。

しかし驚くことに「最高です!スンシンちゃん」の前作である「棚ぼたのあなた」と「いとしのソヨン」は、最短期間で30%の視聴率を突破しただけでなく、50%に迫る最高視聴率を記録し、2作連続“空前のヒット”となった。KBSとしてはそれこそ“好景気の中の好景気”を享受したことになる。KBSが「最高です!スンシンちゃん」の最高視聴率を50%と予測したのも、放送局内部で2013年最高の期待作として挙げたのも、すべて前作の成績があまりにも良かったためだ。

しかし、いざ蓋を開けてみると「最高です!スンシンちゃん」の成績は当初の期待を大きく下回っている。20%初めから半ばの基本視聴率を維持しているだけで、確実な上昇パワーを見つけられず足踏み状態にある。IU(アイユー)、チョ・ジョンソクなど、若手のスターはもちろん、キム・ヨンリム、コ・ドゥシム、イ・ミスクのような俳優たちのネームバリューに傷がつくほどだ。期待に膨らんでいたKBSとしても落胆せざるを得ない状況だ。

「最高です!スンシンちゃん」の最も大きな問題点はやはり、陳腐なストーリーにある。他のドラマでよく見られる出生の秘密のような題材で、視聴者の興味を引くことに失敗したうえに、展開もまたルーズで固定視聴者を集めることに失敗したのである。より新しいものを求める大衆の欲求を満たさなければ「最高です!スンシンちゃん」はこの状態に留まるしかない。

「いとしのソヨン」の場合、マクチャン(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマ)要素が豊富な題材を借用しながらも、父を否定した娘と、その娘に対する父の切ない父性愛を独特な視線から見ることで新鮮さを与え、ヒットに成功した。「最高です!スンシンちゃん」もまた前作の栄光を再現するためには“特別な視線”を盛り込んだストーリーを見せる必要がある。何はともあれ、差別化された設定を加え、展開の速度を高め、視聴者をドラマに入り込ませる必要がある。父の死、出生の秘密、産みの母と育ての母の確執などのような在り来りな題材で勝負する時代はもう過ぎたのだ。

共感できるストーリー展開とキャラクターの配置も重要だ。週末ドラマの主な視聴者層は30~60代の主婦だが、これらの人々が幼い少女が女優になるファンタジーに惹かれるはずがない。今のように、粗末なエピソードを羅列するよりは、現実に密着したストーリーと台詞を通じて登場人物の心理を鋭く描写することに力を注ぐ必要がある。そのような作業が土台になってこそ、視聴者たちもドラマの中の人物の感情を共有し、自然にドラマに入り込むようになるだろう。

物足りない演技と演出、いつ“最高”になれるのか

ドラマをリードする役者たちの演技もまた物足りない部分が多い。まず、主演を務めるIUは今のところ、ドラマを完全にリードできていない。目障りなほどではないが、“アイドルの演技”以上でも以下でもないという点は残念だ。キャスティングの時から提起されていた「なぜIUが主人公でなければならないのか」という質問に対する明確な答えを出せていない状態だ。

特に発音や発声など、女優としての基本的な要素を更に補完する必要がある。前作の週末ドラマの主人公だったキム・ナムジュやイ・ボヨンのようなベテランレベルの演技を求めているわけではない。2回目のドラマ出演であることを勘案しても、KBS週末ドラマを選択した以上、それに相応する一定水準の演技を見せて欲しいという当然な要求だ。ドラマの主演レベルの役者が重みのある演技を見せられずにいるということは「最高です!スンシンちゃん」が背負うべき十字架である。

ソン・テヨン、ユ・インナなどの役者たちの演技も期待以下であることは同じだ。キャラクターを100%演じ切っておらず、ドラマを豊かにするにおいて役目を果たしていない状況だ。安定感のある演技でドラマのバランスを取る人がいないせいで、「最高です!スンシンちゃん」の雰囲気は全体的に散漫になりがちだ。コ·ドゥシム、イ・ミスクだけでバランスを取るには限界がある。

洗練されていない演出もまた多少がっかりな点である。時々演出がドラマの短所を補う役割をする必要もあるが「最高です!スンシンちゃん」の演出はこのような役割をまったくしていない。ただでさえストーリーの展開が陳腐な設定で埋め尽くされているのに、王道過ぎる演出は“オールド”な感じだけを倍増させている。

このように「最高です!スンシンちゃん」は放送初期の期待とは裏腹に陳腐な設定とルーズな展開、共感できないストーリーと活き活きしていないキャラクターたち、そして“オールド”な演出や初心者から卒業していない役者たちなど、あらゆる“悪材料”に直面している。このような状況が続けば「最高です!スンシンちゃん」は最後まで良い評価を得ることができないだろう。今からでも指摘された問題点を一つ一つ補完しながら視聴者たちの信頼を回復するために力を注ぐ必要がある。

「最高です!スンシンちゃん」は果たしてタイトル通り「最高」と賞賛され、KBS週末ドラマの成績不敗の神話を引き継ぐことは出来るだろうか。不安な2ヶ月を過ごした「最高です!スンシンちゃん」が今後どう展開されるか楽しみである。

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記者 : キム・ソンギュ