INFINITE ソンギュ「僕のいないINFINITEなんて考えたくもない」

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INFINITEはまるで一人の体ように動くグループだ。これは、隙のないカル群舞(体を曲げる角度から指先まで完璧に合わせ、刃物のようにキレのあるダンス)を見せるステージの上での彼らの姿だけを言っているのではない。デビュー前から一緒に住みながら積み重ねてきたチームワークは、それぞれの体に自然と刻まれている。そのため、彼らはいつどこであろうとも個人よりチームの名前を先に立たせている。ソンギュはそんなINFINITEのリーダーだ。韓国と日本を行き来しながら休まず公演を行い、バラエティ番組ではメンバーたちから“モリ(追い込まれ)”の対象になるばかりで、とても大変そうだなと思っていたら、11月19日には着実に作りあげた初めてのソロアルバム「Another Me」をリリースした。INFINITEのメンバーたちの中で最初にソロ活動を始め、幼い頃から憧れてきたバンドNELLと作業したことについて、彼はただ「運が良かった」ときっぱり言った。そして非常に長い時間、自身についての話を聞かせてくれていたが、いつしか再びメンバーたちの話を持ち出していた。早朝のインタビューだったので、ソンギュはまだ寝ぼけ眼をこすりながらも、初めてソロアルバムをリリースした歌手として、さらに1つのグループのリーダーとしてどんな言葉を話すべきか忘れていなかった。


「これからは顔に自信を持つ時」

―最近になって、ソロとして初めて音楽番組のステージに立った。アルバムをレコーディングした時とまた違った気持ちだと思うが。

ソンギュ:ものすごく緊張した。ソロ活動の初ステージだったKBS「ミュージックバンク」では、収録の前日に日本でのアリーナツアーを終えたばかりだったので、のどの状態があまり良くなかった。だから、ただスタンドマイクを握って楽しんで歌だけに集中しようと思った。体調を崩したときのステージだったので、残念な気持ちでいっぱいだ。

―INFINITEの中で初めてソロ活動をすることになったが、どんな気持ちなのか。一人でかっこいいコンセプトのアルバムジャケットも撮ったが(笑)

ソンギュ:ひとまず、ジャケットの写真は自分で選んだ。イケメンではないが、今は個性の時代だから、自分の顔に自信を持つことができる時が来たと思う(笑) 実は、アルバムがリリースされた翌日、事務所の社長から「アルバムが発売されたが、気分はどうだ?」という電話を受けた。でも、本当に実感がなかったので、いつもと同じだと答えた。変わったことがあるとしたら、メンバーたちからコメントを聞く時の気持ちかな。以前はみんなでINFINITEのアルバムについて話し合ったが、最近は「ソンギュ兄さんのアルバムが…」と言われる。それを聞くと、「あ、僕一人のアルバムなんだ」と実感するようになった。一人での活動は少し寂しく思う。タイトル曲「60秒」のプロモーションビデオを撮った時は、メンバーがいつも現場に来てくれたからあまり寂しいと思わなかった。でも、アリーナツアーを終えて僕だけ先に韓国に帰って番組に出演した時、ようやく実感が湧いてきた。

―アルバムが全体的にロックとアコースティックの曲で構成されているが、INFINITEの時とまったく違うサウンドの曲を歌うのはどうだったのか?

ソンギュ:幼い頃からロック音楽が大好きだったし、高校の時、スクールバンドもやったことがあるので、馴染みのあるジャンルだ。何よりNELLというバンドは僕が歌手になりたいと決めたきっかけをくれた歌手でもある。だから、久しぶりに楽しいと思った。ボーカルにおいても「I need you」や「Shine」のようにNELLがくれた曲は、僕がそのスタイルをよく理解しているし好きなので、むしろ僕の感性がより染み出るように歌うことができた。一方「涙だけ」の場合は、レコーディング当時、少し感情に浸って歌ったけど、これまでNELLの音楽を聞きながら積み重ねてきた感性が、僕の知らないうちにたくさん出ていた。レコーディングの後で曲を聞いてみたら、裏声を行き来するような雰囲気がNELLのキム・ジョンワン兄さんの歌い方とすごく似ていて「ああ、なるほどな」と思った(笑)

―チームの中で1つのパートを歌う時とソロとして1曲を引っ張っていくのでは、重要なポイントが違うと思うが。

ソンギュ:INFINITEで歌を歌う時は主に高音を担当したが、ソロでは、曲全体の感じを盛り込まなければならなかったので、テクニック面でどのように歌えばいいのかというより、感性的に曲に近づいた。それは、この1曲を引っ張っていくためのストーリーを作ることである。短い人生ではあるが、僕がこれまで経験した記憶をもって表現したら、聞く人の胸にもより響くと思う。テクニック面において、「トーンはこんな感じで息はこれぐらい…」のようなことを考えだしたら、まだ慣れていなくて、未熟な部分も現われた。だから、今回のアルバムを録音した時は、僕の気持ちについて深く悩んだ。

―「60秒」の場合、60秒の間に恋に落ちるが、別れることもできるという発想が独特な曲だが、どのように思ったのか。

ソンギュ:60秒間で誰かを好きになることはきっとできると思った。でも、逆に「60秒間でその人が僕の人生から消えるのか?」という質問を繰り返し考えてみた。そして、幸いにもそれと似た経験があった。以前、同じ学校に通っていた女の子に片思いをしたことがある。でもある日、その子が個人的な事情で学校を辞めることになった。その後、その女の子とはもう二度と会うことができず、連絡も取れなかった。今、何をしているのかも分からない。僕の人生の中からあっという間にその子は消えて、今は生死さえ確認できない人になったことに驚いた。ファンの人たちがこの話を聞いたら、何か言われるかもしれないけど、まあ片思いだったから。学校の友達だったし(笑)

「メンバーたちにとって、恥ずかしくない“兄さん”になりたい」

―レコーディングでもそうだが、ステージではバンドと一緒にライブで歌わなければならないので、悩みも多かったのでは?

ソンギュ:まず、一緒にステージに立つバンドのメンバーたちとかなり仲良くなった。ただし、この中では僕が一番年下なので少し慣れない。あえてINFINITEの末っ子であるソンジョンの気持ちを理解したくないので、バンドの人たちとは少し距離を置いている(笑) 歌を歌う時は先に何かを明確に決めてステージに立つより、その感性だけを表現することに集中したかった。いつものように歌っているけど、僕が新たなスタイルを試みるとき、どのように表現し、どのように集中するのかをお見せしたい。一生懸命歌って自分自身に恥ずかしくない僕になりたい。

―恥ずかしくないという基準は?

ソンギュ:ステージで僕が満足することだ。そして、少しわがままではあるが、そのステージを多くの人々が愛してくれなければならない(笑) 愛されるように十分に努力したい。そして、ステージですべてを見せる覚悟ができてるので、自信はある。でも、音源チャートやアルバム販売量のように目に見える順位については本当に自信がない。成績を気にしていたら大きく傷つくかもしれない(笑) 何より、そんなことで失望するより、このアルバムが僕に与える意味の方がとても大きい。他の人が分かってくれなくても、このアルバムは新しい挑戦であり、大きな喜びで、自ら祝うべきものがあると思う。他の人がかっこいいと言ってくれなくても、見てるだけで満足するこだわりのスニーカーのように。

―責任感という面ではどうなのか。ソロ活動を立派にやり遂げなければ、INFINITEに害を与えるかもしれないと思う?それとも、うまくできなくてもソンギュという個人の名前を掲げて出ているから大丈夫と思っているのか。

ソンギュ:前者の考えが大きい。うちのメンバーはいたずらっ子たちなので、僕にかなりのプレッシャーをかけてくる。例えば、アルバム販売量や音源チャートの順位をかなり気にしている。僕のルームメートでもあるウヒョンがそれを頻繁にチェックしている。ホヤはユニットINFINITE Hでのアルバムがあるので、「兄さん、早く何かを見せなければならないよ」と言ってプレッシャーをかけてくるけど、ソンヨルやLは勇気づけてくれる。だから、メンバーと一緒にいると何が何だか分からなくなる(笑) 誰かはムチを打ち、誰かはアメをくれて、また誰かは冷静な判断をするので。実は、メンバーたちが「兄さんがここで低い成績を見せたら……」とふざけたりもするけど、常に僕を誇らしく思っていると言ってくれる。僕もメンバーたちにとって恥ずかしくない兄さんでありたい。

―これからはバラエティ番組にも一人で出演することが多くなると思うが、覚悟はできているのか?(笑)

ソンギュ:INFINITEとしてバラエティ番組に出る時は、少し恐怖心があった。チームの代表というプレッシャーが大きかったからだが、それは「僕がここで間違えたらどうしよう。僕はINFINITEを知らせなければならないのに」と思ったからだ。多くの視聴者たちが見る番組で、面白くもないし屏風のように出演陣の顔色だけを伺うようになったらどうしようと恐れて、そうならないように頑張ってきた。もっと正直に話すと、以前、ソンヨル、ソンジョン、Lがバラエティ番組に出たがそれが編集された時、彼らを叱ったことがあるので、それで余計に緊張したのもある。「お前たち、INFINITEを視聴者に知らせなくていいの?本当に命がけでバラエティをやっている人たちもいるのに、僕たちが適当にやったらそれは本当に申し訳ないことだよ。僕たちを知らせるためにもう少し頑張ろう!ベストを尽くそう!音楽番組のステージのように」とこのようなことを話した(笑) でも、今回は僕を叱る人はいないんじゃないかな?とにかく、その時よりはプレッシャーが遥かに少ない。

―チームやソロ活動、バラエティを平行する忙しいスケジュールに耐えるため、最も大事だと思うことは?

ソンギュ:メンバーたちがソロ活動をする度に話したことがある。「もちろん、疲れるだろうし、たまにはINFINITEのスケジュールと個人のスケジュール両方ともこなすことが難しい時もあるかもしれない。でも、プロなら疲れたそぶりを見せてはいけない。みんな一緒に考えてみよう。活動を本当にやりたくてもできない子たちが多いし、デビューできない子たちも多い。また、個人の違う目標を探したくても探すことができない子たちも多い。だから、自分自身を振り返ってみよう。このような活動を本当にやりたいと願っていたじゃないか」といったような話だ。そして僕も同感する。忙しいスケジュールではあるが、僕が本当に夢見てきたことなのに誰かに腹を立てたらそれは少し情けないと思った。前向きに考えれば、何でも耐えることができる。

―リーダーという立場に対して強い責任感を持っているように見える。

ソンギュ:メンバーと一緒にいる時は、かなり緊張する方だ。でも、この頃は以前より緊張しなくなった。デビューした時は少し度が過ぎるくらい一つ一つに敏感に反応したけど、今はメンバーそれぞれが理解しながら行動してくれる。以前は一緒に話をする時間を義務的に作ったが、今はあえてそうしなくても僕が言った意味をメンバーたちがもう一度、考えてくれる。むしろ、最近は僕の方が緩くなって番組で細かいミスを犯している。そうしたら、メンバーたちが「兄さん、どうしたの?それ、違うでしょ」と言うので、「ええと、ごめんね」と謝る(笑) ある意味では、今回のソロ活動がリーダーとしての負担を脱ぎ捨てる良い機会になるかもしれない。自分自身の面倒だけを見ればいいから。でも、メンバーたちと一緒にいる方がいいと思い、「スケジュールがない時は僕のところに来て。僕はお前たちを歓迎する」と言った。メンバーたちはみんな自分たちはちょっと休みたいという雰囲気を出すけど(笑)

「リーダーの小言が減ると、メンバーたちが喜ぶと思う」

―それぞれが個人活動をしている中でも、INFINITEのチームワークは依然として良いように見える。その秘訣は?

ソンギュ:それは簡単だ。本当に自信を持って言えることだが、メンバーたちが優しいからだ。みんな考えることが優しいので、チームワークが維持できていると思う。男同士だから喧嘩もたくさんするが、それが悪い感情に繋がることはまったくない。友達同士で喧嘩しても、いつ喧嘩したかなんてすぐ忘れていい関係に戻るように、僕たちも自然に仲直りをしている。僕たちは友だちであり、家族であり、良きアドバイザーである。

―ソロ活動をしながら、以前ほどリーダーの役割を果たすことができないことで、メンバーたちに申し訳ないと思うことはあるのか。

ソンギュ:リーダーの小言が減ると、メンバーたちが喜ぶと思う。僕が干渉しないことで、うちのメンバーたちは小さな自由を得たように感じているかもしれない(笑) 気づいていなかったが、僕は本当にたくさん小言を言うらしい。それで僕の前ではメンバーたちが「分かったよ、分かった」と言うけど、後になってから「兄さん、アドバイスありがとう」とメールをくれる。僕たちはこういう仲なので、僕がチームに気を使うことが前よりできなくなっても、みんな寂しいとは思わないだろう。

―逆に、本人がいなくても他のメンバーたちがちゃんとやっている姿を見たら、寂しく感じるのでは?(笑)

ソンギュ:そんなことはあり得ない。僕がいないのに彼らがちゃんとやるわけがない(笑) 僕がいないということは、柱がないのと同じだ。僕はチームの中で容姿を除いて、すべての平均を担当している。例えば、タレント性とか勢い、歌唱力、ダンスの実力などがそうだ。下手なメンバーたちを引っ張って、上手なメンバーたちは引き下ろしながらバランスを取っている(笑) だから、僕がいなかったら、あまりいい絵にならないはずだ。それに、リーダーがいないチームは、どこかに隙があるものだ。メンバーたちもそれを分かっているので、僕以外の人をリーダーに選ぶという意見も出ているが、それは僕が止めるつもりだ。僕がいないチームなんて考えたくもない。Lがドラマを撮った時に思ったことだが、メンバーの中で一人でもいなくなったら、本当に寂しいということが分かった。こう話したのに、みんなは僕がいるかいないかさえ分からないのでは?みんなが「Lがいない時とは違うね。全然寂しくないね」と言ったらどうしよう(笑)

記者 : ファン・ヒョジン、インタビュー : カン・ミョンソク、写真 : チェ・ギウォン、編集 : キム・ヒジュ、翻訳 : ナ・ウンジョン