チェ・ヒソ、映画「アジアの天使」でオダギリジョー&池松壮亮と共演…2人の印象は?

OSEN |

写真=Saraminエンターテインメント
韓国と日本の監督、俳優たちが出会い、韓国を背景にした作品を作った。その中心にいた女優のチェ・ヒソが、映画「アジアの天使」で日本の監督、俳優たちと共にした感想を明かした。

チェ・ヒソは最近韓国で公開された「アジアの天使」(監督:石井裕也、提供・制作:D.O.CINEMA、The Asian Angel Filmpartners、以下、「アジアの天使」)でソル役を務めた。同作は、それぞれが心に傷を持つ、日本と韓国の家族がソウルで出会い、国を超えて新しい家族の形を作る魂のロードムービーだ。石井裕也監督が脚本と演出を務め、池松壮亮、チェ・ヒソ、オダギリジョー、キム・ミンジェ、キム・イェウンら、韓国と日本の俳優たちが共演した。

作品に出演したきっかけについてチェ・ヒソは「最初は翻訳されたシナリオをもらいました。石井裕也監督は、作品を通じて知っていました。とても嬉しい気持ちでシナリオを読みました。シナリオの翻訳が、私の印象としてはニュアンスが十分に生かされていない気がして、原文で読みたいとお願いしたのですが、原文で読んだ時のほうがずっと詩的に思えて、出演を決めました。シナリオを読んだ時、池松壮亮さんの合流は決まっていましたし、オダギリジョーさんが合流する可能性があると聞いた状態でした。大好きな俳優の方々だったので、簡単に出演を決定できました」と明らかにした。

また「とてもユニークな作業だったのは間違いないですね。不思議にも、日本の方々は5人しかいなかったんです。俳優3人(子役を含めて)と監督、そしてスチールの方。この5人が韓国に来て撮ったのですが、監督が日本の方なので、監督の視線で見た江陵(カンヌン)の様子を収めたという点で、今まで見たことのない新しい視点の韓国映画だと思いました。石井監督はモニターを見ないんです。現場にモニターはなかったです。モニターのない現場は初めてでした。カメラの外から私を見ていました。自分の目で直接演技を確認して、その目がキラキラしている感じでした。魂まで見てくださっているようで、その目から力をもらうようになりました。そうしてモニターをチェックできないまま、26回目の撮影を終了するという、珍しい経験をしました。そして韓国と日本の俳優たちが集まって一つの家族を描くというのは、めったに経験できないことであり、日本の監督の目で見た韓国、韓国の人々、そういったところで個性がはっきりとしていると思いました」と話した。

チェ・ヒソの日本語の実力はよく知られている。彼女は翻訳にも参加して、作品に精魂を込めた。また、「私は日本語が喋れるので、監督や俳優の方々とコミュニケーションをとることができました。そのような面で協力することもできました。ディレクションをしていただいても、英語で話してそれを英語で考えるよりは、日本語で楽におっしゃっていただく方が、私には緊密な作業という感じで良かったです。そして細かくお互いにコメントもできるような雰囲気だったので、モニターはなかったけれど、目の前に立っている俳優たちにやってもらう雰囲気でした。下訳には苦労しました。翻訳に残念な部分があったんです。監督の詩的なニュアンスを生かすことができるはずだと思ったので、下訳を私が修正してシナリオに仕上げました。このような作業は、「空と風と星の詩人 ~尹東柱の生涯~」「金子文子と朴烈」 で何度かしていたので、もうやらないと思ったけれど、またやっていましたね」とし、笑顔を浮かべた。

ただ彼女は「私が日本語が喋れるからキャスティングされたのかと思ったら、そうではなかったんです。日本語を喋る必要のないキャラクターでした。正確に『このような理由であなたをキャスティングしました』とは教えてもらってはいません。しかし私が知っている限りでは、『金子文子と朴烈』をご覧になったようです。そして日本の映画業界から私を推薦してもらって、私と実際に打ち合わせをしてから選択したと認識しています。監督は実際に会った時の眼差しが強いんです。私を見て『すごく良いエネルギーを持っていますね』と言ってくれました。打ち合わせで私を見て好感を持ってくださったようです」と明かした。

チェ・ヒソは自身が演じたキャラクターのソルについて「初めて接するキャラクターでした。まず、元アイドルの役でしたが、私がそのような役を務めるとは思いませんでした。歌を歌うシーンがあって、歌謡を上手に歌わなければならないですし、ステージに立っている時に何度も経験しているような雰囲気を出さなければならないと思いました。もちろん歌の練習もたくさんしました。私は率直に言って、歌が上手ではありません。声はいいけど、音程を合わせるのが下手で、それが音痴らしいです。音痴脱出のために歌の練習を本当にたくさんしました。アフレコの時に監督がいるわけではなかったので、アフレコはできなかったんです。だから撮影したものをそのまま使わなければならないということでした。また、一家の大黒柱として兄弟たちを引っ張っていくので、長女としてのプレッシャーを表現しようと思いました」と説明した。

また彼女は「映画の大きなテーマが、『言葉では表現できない、言葉で表現しない感情』です。劇中で私のシングルCDがリリースされるのですが、『言葉で表現できない』ですね。そのようなテーマを繰り返し出てきますが、それは家族同士の愛でもあって、兄弟間の愛でもあって、息子と父親の愛でもあるし、兄と妹との愛、男女間の愛にもなり得ます。とにかく言語の壁を超えて、言葉なしに伝わるものがあり、目を見れば分かって、一緒に共有できる感情が大切であることと伝えたいです。私たちが全員揃って台本読み合わせをした日が、アカデミー賞の生中継の日だったんです。その時に『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督が、『映画には国境がない』と言った時、日本の俳優たちと台本読み合わせをしていたので、もっと込み上げるものがありました。私はこの人を、日本人ではなく1人の俳優としてコミュニケーションしたいと思いました。そのような面で満足しています」とし、笑顔を浮かべた。

また、「私もデビューして12年になりますが、注目された時より注目されなかった日のほうがもっと長かったです。いつ舞台に立つことができるか保証がなかったです。私はこの言葉を使いたくないのですが、ある人は『俳優は選択される職業だ』と言います。しかし、選されるまで待たなければならないのかと悩みました。なくなっていく自尊心を確認する毎日がまるで自分の話のようで、ステージに立ちたいと思うソルの話が、早く演技をやりたいと思う自分に似ていると思いました。そのような面ではよく理解ができましたが、ただ、歌を歌う技術的な面は完全に新しかったです」と話した。

池松壮亮、オダギリジョーと共演した感想についてチェ・ヒソは「とても良かったです。すごくまっすぐな方々で、演技に対する態度がとても真剣で慎重です。それだけに、相手俳優に対する態度や配慮がすごく素晴らしい方たちでした。国家代表の選手たちがベンチに座って待っている時にも、遊ばずに相手選手をずっと観察して、同僚選手たちのこともずっと見ているじゃないですか。そういう気分でした。私が撮影した時も、隣でその姿勢のまま立っている方々で、トイレにも行かなかったんです。すごく勉強になりました。私も携帯電話をいじらないタイプですが、そういう人は初めて見ました。監督にも『もともと日本の方々はずっと立っているのですか?』と聞きました。すると、『皆が皆そういうわけではないけれど、特に私と共演するお2人はそういう方たちだから一緒に作業するのだ』とのことでした」と話した。

彼女は池松壮亮、オダギリジョーと交わした会話の中で記憶に残っている部分について、「オダギリジョーさんは、自分だけの呼吸があって余裕のある俳優です。何かを作ろうと努力しない俳優です。本人がその瞬間に生で感じることを表現しようとします。だから実はアドリブも多いんです。合いの手を韓国語で入れる部分があるのですが、それはアドリブなんです。韓国語の先生から教わったものでもないのに。制作会社の代表が『あれ何だっけ』とよく言う方なのですが、それを聞いていて、その後ずっと言っていたんです。シーンの中で、どのようにすれば自由に遊ぶことができるか探求する俳優です。池松壮亮さんは、一つひとつに真剣に臨む俳優です。私より若いけれど、25年という膨大な演技の経歴を持っている日本の次世代を牽引する俳優です。その方からたくさんのことを学びました」と語った。

韓国と日本両国の間の微妙な関係は、映画にどれほど入っているのだろうか。チェ・ヒソは「『韓国人が日本人に持つ否定的な感情は何%?』という質問は、私が最初にもらったシナリオにはなかった質問でした。監督が韓国に滞在しながら感じたことや、その葛藤を感じて映画を撮りながら悩むことが多かったようです。人と人が会って演技をしながら、言葉を通じないけれど、目を見ながら感情を交流していたので、外交的なことについては話す暇がなかったです。私たちが今ここ、江陵で映画を撮っていますし、一つの目的があるので、目的を共有する人同士の“戦友愛”がありました。だから両国の関係に影響を受けたり意識したりはしなかったです」と話した。

彼女はK-コンテンツが世界的に注目を集めていることについて、「本当に良い時代を生きていると思います。『イカゲーム』もそうですし、『パラサイト』もそうですね。韓国はあまり大きな国ではありません。しかし、韓国で作られるコンテンツが、インターネットや動画配信サービスによって広がっていますし、だから夢をもっと大きく持っても良いと思わせてくれているようです。具体的な目標は設定していません。物事は目標通りにはいきません。今年はアメリカのオーディション2つを受けたのですが、全て落ちました。でも、私はずっとこのように挑戦しているし、いつかは私がそこで撮影する可能性もあると考えていたのですが、そうじゃなくて今ここで撮影した私のコンテンツが、先にそちらに公開される可能性もあると思うと不思議な気持ちでした」と明かした。

「アジアの天使」の他にも、チェ・ヒソは新たな作品でも今年を忙しく過ごした。彼女はSBSの新ドラマ「今、別れの途中です」にも出演している。特にチェ・ヒソは「『今、別れの途中です』で今年のほとんどを過ごしたと言っても過言ではないと思います。とても大きなプレゼントでした。共演する全ての俳優たちとも仲良くなりました。努力をして仲良くなったのも当然あります。共演しながら、お互いに配慮し合う気持ちがありがたいと思い、上手にやりたいという気持ちが2倍になりました。(ソン・)ヘギョ姉さんだけでなく、(パク・)ヒョジュ姉さん、(チャン・)ギヨンさんまで家族になりました。そのような関係が作品のでも絶対に見えると思います。実際に俳優たち同士がどれほど愛し合ったか分かると思います。私が務めたのは、今まで任せてもらったことのない新しい役です。やや迷惑だけど義理堅いし、1話あたり酔っているシーンが1~2個は必ず入ります。楽しい演技を披露できると思うので、見守っていただきたいです」と自信を表した。

また、演出への挑戦も控えているチェ・ヒソは、「石井監督に『ヒソさんは挑戦者ですね』と言われました。その言葉が面白いと思いました。私は好奇心が多い人ですし、欲張りな人でもあります。好奇心と欲が同時に発揮された時、無謀になることもあります。オーディションはこれからもずっと受けるつもりです。演出作は、12月に公開されると思います」と伝えた。続いて彼女は「本当に大変でした。1週間に4日演出して、3日はドラマの現場に行かなければならなかったんです。演出がどれほど多くの責任を負うものか、頭では知っていたけれど、自分がその立場になったら本当に大変で、個人的にイ・ジュンイク監督に会いたくなりました。監督が恋しかったです。監督が迅速かつ正確にやってくれるので、そこがすごいと思いました」と話した。

最後にチェ・ヒソは「この映画を作っている間、日本の俳優、監督と心でコミュニケーションしました。私も日本語が私の母国語ではないので、いくら一生懸命に伝えようとしても上手くいかない部分がありますが、映画を作りながら伝えようとしたら、そのままの感情をぶつけることになりました。そうしたら早く仲良くなって、相手を知っていきながら映画を撮る過程が、美しい旅、合宿のように記憶に残ると思います。海を見ながら朝と夜を過ごしましたし、そのような思い出がとてもいい記憶として残っています。今後また日本の監督や俳優さんと撮影できればいいなと思うようになりました。この方々だけでなく、他の外国の方々と撮影してみても面白そうだという自信が、宝物のように残りそうです」と強調した。

また、「映画は様々な層を持っています。何を期待しても、それとは異なる、予想外のさまざまな場面が出てきます。ロードムービーでもあるし、恋愛映画でもあるし、家族映画でもあるし、1つの映画の中でさまざまな場面と関係が登場するので、思いがけないシーンとどんでん返しに期待してほしいです。タイトルが『アジアの天使』ですが、それを念頭において観ていただいても良いと思います」とつけ加えた。

記者 : ヨン・フィソン