キム・ゴウン「『演技=幸せ』悪口を言われても全く気にしなかったけれど…」

OSEN |

写真=チャンインエンターテインメント
キム・ゴウンは「神秘的」という言葉が相変らずよく似合う女優だ。

2012年、映画「ウンギョ 青い蜜」でデビューし、大胆な演技で観客を驚かせた彼女は「その怪物」(2014)、「コインロッカーの女」(2015)、「メモリーズ 追憶の剣」「奴が嘲笑う」など多数の作品で様々な姿を見せ、“一発屋”にとどまらず、一歩一歩着実に歩んで“女優”に近づいた。人気に陶酔したり、惰性で続けることなく、演技や役作りについて真剣に悩む、真の女優になったのだ。

一躍スポットライトを浴びた映画「ウンギョ 青い蜜」で「第49回大鐘賞映画祭」主演女優賞、新人女優賞にノミネートされ、新人女優賞を受賞した。同年「第33回青龍映画賞」でも新人女優賞を受賞した。キム・ゴウンは一瞬にして韓国の映画界における最もホットな女優になり、各所からオファーが殺到した。似たような経緯を辿った人々がそうだったように、キム・ゴウンにも冷ややかな視線が向けられることもあった。一部は新作での彼女の演技力を指摘したり、ひいては彼女の性格を悪く言う人までいた。

特に初のドラマ進出作であるtvNドラマ「チーズ・イン・ザ・トラップ」(演出:イ・ユンジョン)の出演が決まったとき“ミスキャスト”という論議が起こり、理由もなく非難された。しかし、このような懸念は第1話の放送後、すぐに消えていった。キム・ゴウンは自分だけの“ホン・ソル”を立派に作り上げ、ユ・ジョン(パク・ヘジン)、ペク・インホ(ソ・ガンジュン)とともに原作漫画のファンを含めた全ての視聴者から愛された。「初めてのドラマだったけれど、結果まで良くて嬉しい」と笑うキム・ゴウンの言葉から、彼女の真心が感じられた。また「冷たい」「強い」という噂が信じられないほどインタビューの7~8割は笑いで満たされた。このような噂について触れると、再度笑いがこぼれた。

「私がですか? (周りのスタッフを見回して)私が本当にそうですか? ハハハ。最初は人見知りなんです。初めて会った人とは上手く話せません。何の話をすればよいかさっぱり分からないし。だから『冷たい』と言われることもあります。でもそれは最初のうちだけで、一度心を開けば、ありのままの姿を見せます。良く言えば“気さくな性格”ですが、たまに『女優がそこまで気を遣わなくてどうする』と言われることもあります。ちょっとしたものなどがあると集中して食べ過ぎることもあります」

写真=チャンインエンターテインメント
ホットな女優となった“一重まぶた美女”の先駆者(?)キム・ゴウンは、映画「ウンギョ 青い蜜」では非常にセクシーだったが、その後は狂った女(「その怪物」のボクスン)になったり、サラ金業者(「コインロッカーの女」のイリョン)、あるいは剣客(「メモリーズ 追憶の剣」のホンイ)になり、スクリーンで大活躍した。「ウンギョ 青い蜜」を忘れさせるほど強烈な役ばかりだ。今回演じた「チーズ・イン・ザ・トラップ」のホン・ソルが最も一般的であるほどだ。もちろん、次々と容易でない役をこなしていく中、演技力の問題が指摘されたことも事実だ。キム・ゴウンは言い訳を並べる代わりに、自身の未熟さを責めた。

「自分の顔が美しいとは思いません。顔と性格、全体的な面を合わせてみればそれなりの魅力はあると思います。多分絶世の美女役はできないと思います。欧米人のように彫りの深い顔立ち、そんなキャラクターのことです(笑) 演技力についての指摘ですか? 正直、好き嫌いが分かれるような作品にたくさん出てきました。ある作品は3分の2が編集されたこともあります。残念なところもありますが、自分が未熟だったところがあります。簡単にいきたくなくて選んだ作品でした。『ウンギョ 青い蜜』でたくさん褒めていただきましたが、その次も褒めてもらえる作品を選んだら、女優として様々な姿を見せることができないと思いました。素晴らしい先輩たちと一緒に仕事しながら観察してみたかったんです。もう一度選べと言われても、おそらく今と同じ選択をしたと思います」

演技についても確かな信念があった。演技そのものから幸せを見つけ出す、生まれながらの女優だった。そんなキム・ゴウンが、最近は一連の過程を経験する中で、家族の幸せについても関心を持つようになった。これまでの反応が作り出した結果だ。

「演技しているだけで幸せでした。『演技=幸せ』、そんな状態でした。好きなことだからです。私が一生懸命やっている姿を見て、家族たちも幸せな気持ちになれたので、それもとても幸せでした。たまに演技のせいで悪口を言われても全く気にしませんでした。逆にそういった中で成長すると思ったためです。ですが、そのせいで大変な思いをしている家族たちを見るのは、とても胸が痛かったです。そのとき分かりました。私はあまりにも自分のことばかり考えていたんだと。親の姿を見たら幸せではいられませんでした。これからは皆が幸せになれるよう、そういうふうに生きていきたいです」

インタビューで最後に登場するお決まりの質問。女優として成し遂げたい最後の目標。それについてキム・ゴウンは意外な答えを出し、キム・ゴウンという女優をもう一度見直すことになった。

「目標のようなものは立てません。目標を立てて、それを達成したら? その後は何だかむなしくなりそうです。良い女優になるのが目標ですが、良い女優の基準は時間が経つにつれて毎回変わります。私はこのまま一生懸命に素晴らしい作品に出演しながら、ただ一生懸命に生きていきます。特別な目標なしで、このまま(笑)」

写真=チャンインエンターテインメント

記者 : パク・ヒョンミン