キム・ユンソク「ヨ・ジング、ユ・アイン、カン・ドンウォン…若手俳優たちをほとんどサポートしてきました」

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初恋を懐かしむ孤独な中年に、子供を助けるために孤軍奮闘する刑事に、苦しむ少女を救う神父に変身した俳優キム・ユンソク(47)。

強烈なカリスマ性と驚きの存在感を見せつけ、今年最も精力的な活動を展開してきたキム・ユンソクが、今回は自らミッドフィルダーを名乗った。広く広がる競技場でフォーワードにもディフェンダーにもなり、バランスを保つベテランの将帥として力を発揮した。

死霊に囚われた人を救うローマカトリック教会の礼式であるエクソシスムを題材にしたミステリースリラー映画「プリースト 悪魔を葬る者」(監督:チャン・ジェヒョン、制作:映画社ZIP)。危機に直面している少女を助けるため、ミステリアスな事件に飛び込んだ二人の司祭の物語を描く「プリースト 悪魔を葬る者」でキム・ユンソクはみんなの反対と疑念の中で少女ヨンシン(パク・ソダム)を助けるため動き出すキム神父役で熱演を披露した。

「プリースト 悪魔を葬る者」は公開前から様々な理由で話題となっていた。まず、キム・ユンソクが映画「チョン・ウチ 時空道士」(2009、監督:チェ・ドンフン)以降、カン・ドンウォンと再び共演するというところや、司祭に変身したというところ、エクソシスムを描くスリラー映画というところが関心を集めた。

特に、作品ごとに爆発的な演技力でスクリーンを圧倒するキム・ユンソクが今回はカン・ドンウォン、パク・ソダムをどのように網羅し、ストーリーを率いるのかに関心が集まった。しかし、今回はその感じがやや違う。スクリーンを飲み込んでいた彼がカン・ドンウォン、パク・ソダムの間で中心軸となって一歩後ろに下がっているのだ。重みのあるオーラを放ち、静かに底力を発揮して作品の完成度を高めた。まるですべてを悟った武術の世界の強者のように。

「今回、僕はミッドフィルダーの役でした。それがこの映画で最も重要な役なんです。チャン・ジェヒョン監督もミッドフィルダーとして僕を必要としていました。キム神父は確かに変人に見えるかもしれないですが、それを強調しようとはしていませんでした。観客がエクソシスムのメカニズムを疑わず信じるようになる任務が与えられていました。『ア・フュー・グッドメン』のジャック・ニコルソン、『スーパーマン』シリーズのマーロン・ブランドのような役だとも言えましょうか?こんな役、こんな話がいつまたできるでしょう。ハハハ」

以下はキム・ユンソクとの一問一答である。

―上半期の「極秘捜査」(監督:クァク・キョンテク)以降、「プリースト 悪魔を葬る者」を選んだ。理由はあるのか。

キム・ユンソク:特別な理由はありません。まず最初はシナリオが本当に面白くて選びました。実は「極秘捜査」以降は1年ほど休もうとしていたのですが、「プリースト 悪魔を葬る者」のシナリオを受け取った瞬間、休むということを忘れてしまいました。これはとりあえずやりたいと思うほど面白かったです。

―サスペンスが編集のおかげでかなり活かされたようだ。

キム・ユンソク:新人監督は表現したいことは多いのにそれをどうやって調節し、編集するのかが下手なんです。なのに、チャン・ジェヒョン監督はこのような状況でも自身が絶対に出したい部分は守りながら少しずつ妥協をします。

―普段のキム・ユンソクは、自身が納得できるまで強く押し続けるのではないか。

キム・ユンソク:すべてが作品の完成度のためなんです。状況によって直言を躊躇わない時もありますし、逆に支持する時もあります。今回の作品では直言と支持を両方していたと思います。後半のシーンはややもすればファンタジーに見えかねないのですが、そのような部分では戦うよりはできるだけ助力しようとしました。みんなたくさん苦労しました。

―チャン・ジェヒョン監督の短編映画「12番目の補助司祭」を長編化した作品だが、そのためなのか、ストーリーが単調だというデメリットもある。

キム・ユンソク:物足りなさを言い始めるとキリがないでしょう(笑) この世に100%満足のいくシナリオはないと思います。それでも「プリースト 悪魔を葬る者」はチャン・ジェヒョン監督が話したかったストーリーが感じられました。僕は映画の台詞の中でキム神父がチェ副司祭に「君は線を超えた。誰も分かってくれないけど大丈夫か」と話す言葉がすごく心に響きました。

―今回も暗い人物だが。

キム・ユンソク:死亡寸前までいく人物を演じると、次回作では(そのような役は)しないと誓います。なのに、その思い通りになったことは一度もありません。ハハハ。その度その度入ってくるシナリオの中で気に入ったシナリオがあると選びますが、ほとんどそんな役ばかりです。「極秘捜査」(2015、監督:クァク・キョンテク)を撮ってからは今年は休みたいと思いましたが、また「プリースト 悪魔を葬る者」に出演することになりましたので(笑)

―キム・ユンソクが思うキム神父はどんな人物なのか。

キム・ユンソク: キム神父は教団で“ごろつき”というニックネームを持っているほどの変人です。演技をする時は真っ黒な石を推し進める感じだと思いました。真っ黒なブルドーザーのような感じです。外面は硬いのに中身はもろい人ではないでしょうか。

―司祭服を着ると敬虔な気分になるとか。

キム・ユンソク:不思議なことに、司祭服のローマンカラーをつけると心構えが変わってきます。普段は大人しい男性たちも予備軍の軍服を着ると変わるというでしょう?訓練服を着ると立ち方が不良になったり、銃も片手で誠意なく持ったりするのと同じです。撮影現場では普通に過ごしていても、スータンを着てローマンカラーをつけると頭からつま先まで敬虔な気分になりました。

―カトリックに関する考証がよくできているシナリオだったか。

キム・ユンソク:妻と子供が信心深いカトリックの信者です。妻も「プリースト 悪魔を葬る者」のシナリオを読みましたが、「これはきちんとしている作品だ」と言いました。キム神父がチェ副司祭(カン・ドンウォン)を試す場面がありますが、その場面でチェ副司祭の死んだ妹について「君は何をそんなに怒っているのか?全て過ぎたことなのに……」と言う台詞があります。この台詞がカトリックの神父に最も合う台詞であると言っていました。過ぎたことにこだわったりはしないのです。妻はこのような部分がよく表現されていると話していました。

―今回はキム・ユンソクが目立つというよりは、カン・ドンウォンとパク・ソダムを後ろからサポートしている感じを受けた。

キム・ユンソク:ハハハ。僕はいつもサポートしていますよ?「プリースト 悪魔を葬る者」ではカン・ドンウォンとパク・ソダムをサポートしました。僕は特に若手の男性俳優たちはほとんどサポートしてきたと思います。ヨ・ジング、ユ・アイン、カン・ドンウォンもそうです。そんな映画はほぼ打率が良かったです(笑) 映画がヒットに失敗しても、一緒だった若手の俳優たちは賞をもらったりしました。最近は若手の男性俳優を担当しているマネージャーたちが訪ねてきます。ククク。

―「チョン・ウチ 時空道士」以降、カン・ドンウォンとは2度目の共演である。

キム・ユンソク:「チョン・ウチ 時空道士」以降、カン・ドンウォンは軍隊に行ってきました。他のことはよく分からないですが、本格的な俳優としての姿が見えていました。「チョン・ウチ 時空道士」の時は始めたばかりの俳優の感じでしたが、今回は真っ直ぐに俳優として自生できる力を持っている感じでした。

―悪霊に支配されているヨンシン役のパク・ソダムがすごかったが。

キム・ユンソク:そうですね。かなり魅力的な女優です。顔は赤ちゃんのようなのに、体型はとても女性の魅力が感じられます。その点が男性たちにセクシーな魅力としてアピールされているのではないでしょうか。もちろん、悪霊に囚われている時はセクシーではないですが(笑) 今回の「プリースト 悪魔を葬る者」で本当にすごく苦労をしました。傍で見守りながら、とても人にできることではないと思って心が痛かったです。パク・ソダムが背筋の骨が見えるほど痩せていくのが目に見えました。さらに、髪まで坊主頭になってもっと心が痛かったです。

―狭い部屋で展開されるエクソシスムがとても興味深いが、撮影は大変だったと思われる。

キム・ユンソク:狭い壁をとって片方のシーンを撮り、次はその壁をつけて他の壁をとって他の角度で撮りました。本当に大変でした。場所が狭いので、ややもすれば単調に見える可能性があったので(そうしました)。そこで1ヶ月間光州(クァンジュ)のセット場で寝泊まりしながら撮影しました。時間が長くかかったシーンでした。

―「プリースト 悪魔を葬る者」は対立が爆発するハイライトがないという評価もあるが、その点が不安ではないか。

キム・ユンソク:実は、商業映画で言うハイライトというのが何なのか、はっきり分かりません。人って起承転結通りには生きていけないのです。私たちが思う「起」が「承」になり、「結」が「起」になる場合もありますよね。なので、不安とは思いません。

―それでも「プリースト 悪魔を葬る者」の名シーンはやはりエンディングシーンだ。

キム・ユンソク:キム神父が一抹の同情もなくヨンシンを追い詰める必要がありました。キム神父には最も辛い瞬間でもあります。ヨンシンに同情したら絶対に悪霊を呼び出すことができないのですから。最後にヨンシンを見ながら「君が全部やった」と言いますが、その台詞を聞いたパク・ソダムが込み上げてくるものがあるのか泣きました。動いてはならないので、それを我慢するのが大変だったそうです。

―ヒットへの渇きはまだあるか。

キム・ユンソク:ヒットに渇きを感じて追いかけていたなら「プリースト 悪魔を葬る者」は選ばなかったと思います。本当にヒットを望んでいたなら、もっと商業的でジャンル的な映画を選んだでしょう。

記者 : チョ・ジヨン、写真 : キム・ジェチャン