「造られた殺人」チョ・ジョンソク“いつも次が期待される俳優になりたい”

10asia |

まるでゲームを一段階ずつクリアしていく過程を見ているようだ。ナプトゥクの後、チョ・ジョンソクの歩みがそんな感じがする。映画「建築学概論」で主演に負けない存在感をアピールしたチョ・ジョンソクはその後、スクリーンとブラウン管で自分の領域を少しずつ広げていって、「造られた殺人」では作品の顔になった。彼は常に次の歩みが知りたい俳優になりたいと話した。話して彼の終点はどこなのか知りたい。


―記者を演じた後、こうやって記者に会ったら負担を感じるのか?

チョ・ジョンソク:ハハハ。記者たちの心に十分共感できるようになった。デスクのプレッシャーが相当なものだということが分かった。

―記者も結局はサラリーマンだ。今回の映画ではそんな生活人としての姿に焦点を置いたように見えた。

チョ・ジョンソク:ノ・ドク監督がそんな姿を望んだ。劇中の衣装の場合、ジーンズにスニーカー、ジャンパーしかない。「記者なのにあまりにもみすぼらしい格好じゃないのか?」と話す人もいるが、監督が衣装チームと細かい部分まで話し合って決めた衣装だ。監督はリアリティを強調した。

―「特ダネ」は「観相師」で一緒に作業したハン・ジェリム監督が制作した作品だ。その時の縁が続いたのか?

チョ・ジョンソク:その通りだ。「ブラッド・ブラザーズ」というミュージカルに出演していた時、ハン・ジェリム監督からシナリオをもらった。シナリオがとても面白かった。また、ノ・ドク監督の前作である「恋愛の温度」のファンだ。出演しない理由がなかった。シナリオをもらった次の日、出演すると話した。

―「恋愛の温度」とは温度がまったく違う作品だ。

チョ・ジョンソク:実は「不思議だ」と思いながら撮影した。ノ・ドク監督は両刃の剣を持っている方だ。デリケートな作品だけでなく、熱くて豪快な作品も上手く手がける。いざ監督は「特ダネ」の方が自分のスタイルだとおっしゃっていた。

―もし記者になって特ダネを取材するとしたら、どんな分野を探ってみたいのか?

チョ・ジョンソク:芸能界ではないと思う。ハハハ。スポーツかな? もし記者になれるんだったら、スポーツ記者になりたい。幼い頃からスポーツが大好きだった。好んで見る番組もスポーツニュースだった。

―スポーツか。実はペ・ソンウアナウンサーととても仲がいいが、彼と会ったことがあるのか?

チョ・ジョンソク:会ったことがない。機会があればぜひお会いしたい。ウィットが溢れる方じゃないか。ファンだ。

―劇中、ペク局長(イ・ミスク)が吐き出す「真実は重要じゃない。ただ人々が真実だと信じることが重要だ」という台詞はこの映画を貫通する重要なメッセージだ。考えるべきの色んな質問を投げかける言葉である。どう思うのか?

チョ・ジョンソク:僕は無条件に真実が重要だと思う。

―断固としている。

チョ・ジョンソク:父親が作ったうちの家訓は勤勉・誠実・正直だ。子供の頃、父親がその3つを常に強調した。それで、僕の中にその3つの単語が自然に刻まれた。間違いをしたら反省するのが当たり前で、最も遅いと思う時こそ一番早い時だと思う。

―でも、善意の嘘というものもある。ある真実がある人の幸せを破壊することもある。それでも、真実なら知らせるという方なのか?

チョ・ジョンソク:あ…それは知らせない(笑) そんなものはノーコメントにすると思う。

―ドラマ「What's Up」以来、5年間でこうやって単独主演まで務めるようになったが、今の速度についてどう感じているのか?

チョ・ジョンソク:チョ・ジョンソクという俳優はまっすぐな道を走っていると見る視線もあるようだ。でも、そんな視線も賞賛の一つだと思っている。僕は性格がとても楽観的な方なので、よほどじゃなければ前向きに考えようとする。公演界で活動していた時、映画やドラマに出演したいという気持ちはあったものの、焦らなかった。ただ僕がやっている公演がとても面白くて楽しみながら臨んだ。そうしているうちに、「What's Up」にキャスティングされた。公演の場合、会場のレンタルや練習期間などがあって、一つの作品にキャスティングされたらその作品に“オールイン”する。僕はドラマもそうしなければならないと思った。「(作品を)重ねて出演した方がいい」と言ってくれる方もいたが、僕は何も知らなかった(笑) 「What's Up」に出演することになったから他の公演に出演してはいけないと心の中で思った。だが、編成が難航して「What's Up」が1年近く放送されなかった。その1年間、結果物がないから知人たちから「君、一体何しているの?」と言われた。疲れることもできた状況だが、僕は見た目と違って粘り強い性格だ。そのおかげで最後までやり遂げたと思う。そして、振り返ってみると、その時間が僕にとっては大きく役立ったと思う。カメラ演技に適応する時間を与えてくれたからだ。1年という期間中、新しいものを高い密度で習得した気がする。

―チョ・ジョンソクの人生の特ダネの一つはミュージカル「春のめざめ(英題:Spring Awakening)」に出会ったことだと思う。

チョ・ジョンソク:その通りだ。僕にとても多くのものを与えてくれたミュージカルだ。その公演で2回も受賞した。「What's Up」というドラマもそのミュージカルのおかげで出会った。ソン・ジナ脚本家がその公演で僕を注目して見てキャスティングした。ミョンフィルムのシム・ジェミョン代表も「春のめざめ」を面白く見たようだ。「建築学概論」のオーディションに行った時、「僕、この人を知っている。演技がとても上手い人だ」と監督に話したと聞いた。その言葉のおかげで監督が好感を持って僕を見てくれた部分もきっとあったと思う。

―当時、ナプトゥク役のオーディションにとても多くの俳優が集まったと聞いた。

チョ・ジョンソク:ハハ。実はこんな経験もした。当時、梨泰院(イテウォン)にお酒を飲みに行ったことがある。たまたま入ったお店に俳優たちがたくさんいて、自然に一緒にお酒を飲みながら次のような会話を交わした。「最近、何していますか?」「近いうちに映画を撮る予定です」「何の映画ですか?」「『建築学概論』という作品です」「(驚いて)もしかして……どんな役ですか?」「ナプトゥクという役です」その瞬間、突然その俳優の眼差しががらりと変わることを感じた。「どれだけ上手く演じるのか注意して見る」という彼の考えが感じられた(笑) 考えてみると、当時僕に大きな幸運が訪れた気がする。

―最近「春のめざめ」出身の俳優たちの活躍が大きい。

チョ・ジョンソク:(キム)ムヨル、チュウォン、(カン)ハヌルと今も連絡している。そして、お互いに応援している。実はその3人だけでなく、当時共演した出演陣みんなが家族のようだ。とても良い思い出だ。

―作品を見る目がいいと言われそうだ。

チョ・ジョンソク:作品を見る目がいいのかどうかは分からないが、僕は自分の直感を信じる方だ。公演の時も自分の直感を信じて決める方だった。人から言われるのはあまり好きじゃない。もし失敗するとしても、自分の直感で動いたら自分だけ責めればいい。義理や様々な理由で動きたくはない。そうしたら、人のせいにしそうだからだ。

―今義理について話したが、実は映画界も義理を重視する傾向がある。例えば、キャスティングからそうだ。

チョ・ジョンソク:もちろん義理は重要だが、お互いに対するマナーや礼儀というものもある。そんなもののせいでお互いが感情に傷を受けたら、その人と僕は義理について話せる関係ではない気がする。

―ナプトゥクで大きく愛されたが、個人的には映画「王の涙 -イ・サンの決断-」のウルスも非常に魅力的だった。今まで演じたキャラクターの中で最も悲劇的な人物だったと思う。

チョ・ジョンソク:作品のオファーが入ってくる時点は本当に重要な気がする。ソン・ジナ脚本家と親しいイ・ジェギュ監督が「What's Up」の撮影現場に来て僕を「キング~Two Hearts」に抜擢した。そして、「キング~Two Hearts」が放送スタートした次の日、「建築学概論」が公開された。また、イ・ジェギュ監督とのご縁で「王の涙 -イ・サンの決断-」に出演することができた。すべてのものにはそのための時期がある気がする。

―運命を信じる方なのか?

チョ・ジョンソク:そうしなければ、辛くなる。見逃してしまったものは僕のものではないと思っている。僕が出演した作品を運命と受け止めている。

―あまり後悔しない性格なのか?

チョ・ジョンソク:後悔は……バラエティ番組に出演した時かな?(笑) この前KBS 2TV「ハッピートゥゲザー」の収録が終わって家に帰りながら「どうしてあんなことを言っちゃったんだろう」と自分を責めた。ハハハ

―先ほど真実について少し話したが、真実ではなくチョ・ジョンソクが人生で重要視しているものは?

チョ・ジョンソク:幸せだ。ハピネス。幸せが一番だ!

―今はとても幸せそうに見える。

チョ・ジョンソク:そうだな。分からない。他の人には幸せに見えれば幸せだが、それなりの心残りもある。思索するのが好きだが、思索する時間も足りないし、大好きな旅行にも行けない。

―完璧な幸せがこの世界にあるだろうか?

チョ・ジョンソク:そうだ。もし、1ヶ月の自由時間が僕に与えられたら? 15日間は楽しく遊びそうだが、その後は弱音を吐きそうだ(笑) 幸せというものは相対的なものだと思う。

―幸せの基準は人それぞれ違う。チョ・ジョンソクさんにとって幸せになるための条件は?

チョ・ジョンソク:まず先に余裕がなければならない。ホ・ムヒョク(「特ダネ」での役名)とは正反対だ。ホ・ムヒョクは僕が思うにはとても不幸な人だ。いつも何かに追われている! 余裕があってこそ、周りを見回すことができる。選択できる幅も広くなり、時間的にも金銭的にも余裕があると、幸せな絵を一つずつスケッチして行けそうだ。

―どうして、笑うのか? 想像だけでも幸せなのか?(笑)

チョ・ジョンソク:想像するだけで笑えてくる。想像をするということは、不可能なことを想像するものだから。以前、アイルランド出身のオスカー・ワイルドという作家の作品を読んだが、心に残る一句があった。「世界は舞台だ。だが、いつも順調とはいえない」という一句がある。それが人生のようだ。

―これとは別の質問だが、人生を順調に生きている人を見るとどう思うのか。羨ましいのか?

チョ・ジョンソク:あ……それも面白くなさそうだ(笑) あまり順調だと「どうしてこんなに静かなんだろう?」と思うかもしれない。ハハ

―人間って玄妙な存在だ。

チョ・ジョンソク:曖昧だ。人生や幸せは、結局相対的なもののようだ。

―地道に前進しているようだが、目標を決めて前進しているのか?

チョ・ジョンソク:これといった目標はない。ただ一生懸命前進しているだけだ。周りの方々は仕事が多すぎるのではないかと心配しているけど、自分が好きなことだから大丈夫だ。誰かに傷つけられたら、違う人から治癒されると言うが、僕にとってそれが演技だ。演技からエネルギーをもらう。

―ミュージカル「春のめざめ」の時は何となく公演が終わると劇に演じたモリッツのように憂鬱な人に思えた。でも、今はキャラクターとは関係なくいつも元気に見える。

チョ・ジョンソク:その通りだ。その時は舞台の上のモリッツと舞台の下のチョ・ジョンソクを分離することができなかった。モリッツによって生活も萎縮され、雨が降る日は感情的になった。自分が消えてしまいそうな気分になった。あまりにも深く陥ってしまうので、これではいけないと思った。その時からキャラクターとギャップを置こうと努力した。今は問題ない。自分の人生について考えていたら、なぜか財テクに関心を持つようになった(一同笑)

―自分が思うに財テクの能力はどの程度なのか?

チョ・ジョンソク:ない。ただ、無知にはならないようにしている。幸い周りに財テクについて教えてくれる方々もいる。

―映画「あの日、兄貴が灯した光」の撮影を控えていると聞いた。

チョ・ジョンソク:告祀(コサ:幸運をもたらすように祭壇を設け、供え物を供えて祈ること)も終わったし、台本読み合わせも終わった。撮影だけが残った。期待している。いつも次が期待される俳優、次にどんな作品に出演するのかが期待される俳優になりたい。その言葉自体が俳優に対して飽きないという意味だから。

記者 : チョン・シウ、写真:ク・ヘジョン、翻訳:ナ・ウンジョン、チェ・ユンジョン