“ドラマ「あなたを注文します」出演”ペク・ジョンウォンという名前の俳優に会った
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写真=WIDMAYエンターテインメント
俳優ペク・ジョンウォン。1981年生まれ。自分と同じ名前の誰かが、同じ時代に同じ空間で一緒に過ごすというのはかなり複雑な問題であろう。自分を彼だと勘違いした誰かに、とんでもないことを頼まれる可能性もあり、毎回そのたびに「実は僕はその人ではなくて……」と釈明するということも、かなりわずらわしいことに間違いない。その上、自分の名前もAで彼の名前もAなのに、「僕はAでなく、Aです」と説明するのがなんだか矛盾しているようで、その上なぜか自分が自分を否定するおかしな気持ちではないだろうか。
ペク・ジョンウォンという名前の俳優に会った。
背が高い俳優
プロフィールには背が189cmと記されていた。実際にはもっと高いように見えた。だいたいで整えたくしゃっとなった髪にひげが生えていた。声は太かった。インタビューをした狭苦しい小会議室に、ペク・ジョンウォンの低い声が響いた。「名前を変えるか非常に悩みました。新しい名前も全部決めていました。しかし、事務所では変えないでくれと言われました。『ひとまずやってみよう』と言いました。僕のために仕事をして下さる方々がそのように言ったので、従うのが正しいと考えました」
高校生の時に1年半ほどバスケットボール部に所属した。運動部の生活は、たいてい幼い頃から始めるのだが、スタートが遅れた。背のためだ。遅ればせながらも可能だったのは、背があまりにも高いためにバスケットボール部のテストの日にやすやすとダンクシュートを決めることができたおかげだ。
「開始は遅い方でした。皆が『今さら何ができるの』とも言いました。しかし、中学生の時に初めてバスケットボールをしてみて、心から『やりたい』という気持ちを感じました。その時からなぜか、僕の人生がこのようにやって来たようです」
バスケットボール部は、大学進学が思い通りに行かずやめた。大学入学後は平凡な生活を送ったが、偶然モデルの仕事に接して運良く仕事も結構もらい、モデルのサバイバル番組「I AM A MODEL」に出演して名前も少しは知らせた。しかし心から「やりたい」という情熱はなかった。仕事をするために発った日本は、それゆえに一種の逃避であった。
日本ではずっとモデルの仕事をしていた。情熱のない毎日。そうするうちに、ある劇団で上演する演劇に参加することになり、初めてちゃんとした演技をしてみた。徹底した準備から舞台に上がって感情を吐き出すことまで、馴染みが薄い経験だったがやりがいが大きかった。多くはなくても、応援してくれるファンたちもできた。「僕を応援して下さることが本当に有難かったです」
そしてその日、中学生の時に初めてバスケットボールをした瞬間の、あの熱い鼓動が胸で感じられた。「僕を心から好きになって下さるので、そこに報いたかったです。堂々と『演技する人』と言いたかったんです」
日本から帰ってきた時は、若くない年齢だった。運良く仕事が多く入ってきた時期も過ぎていた。これまで逃した機会を思い出しては毎晩のごとく後悔もした。ただし、後悔の夜を破り起き上がる理由があった。バスケット選手の夢は成し遂げられなかったが、演技者の夢は成し遂げなければならない理由があった。演技をするペク・ジョンウォンだけを待つ人々。
「演技をしたい人が『僕、演技したいです』と話すのが恥ずかしいのではないということを悟りました。背もとても高くて、年もとっていて、モデル出身という先入観もあるが、『これを見せることができますか?』と尋ねられる時、もうこれ以上ためらわず、お見せする準備ができています」
ウェブドラマ「あなたを注文します」でペク・ジョンウォンの役どころは弁当屋のスタッフ。純粋で、時にはどこか無邪気なキャラクターだった。笑うのがとても純朴な役どころだった。
「背の高い人だけが見せることができるキャラクターがあるんじゃないだろうかと思います。少ない分量でも、存在感を表すことができるので。そして、“モデル出身俳優”のイメージがあるでしょう?僕はそのようなイメージではなく、人々の予想をひっくり返す演技をしたいです。他の“モデル出身俳優”のように、カッコいい役どころをしたいのではありません」
俳優ペク・ジョンウォン。白いペク(シロ)、植えるチョン(種)、根源のウォン(源)だ。
「ペク・ジョンウォンという僕の名前には、長所もあります。ある方々に冗談で、『外食ビジネスはうまくいってるの?』と尋ねられたりもして、自己紹介をする時も『シェフペク・ジョンウォンではなく、演技をするペク・ジョンウォンです』と挨拶すれば、雰囲気も良くなります。そして何がともあれ、僕はペク・ジョンウォンですから」
記者 : イ・スンロク