チェ・ジニョクが語る作品、入隊、そして恋愛

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写真=レッドブリックハウス
本名はキム・テホ。デビューしてから活動中に名前を変えたが、2013年から名前を広く知られるようになったのだから、芸名の恩恵をたっぷり受けたわけだ。

名前には必ず“ヒョク(혁)”という字を入れたかった。“ヒョク”の前になんとなく“ジン(진)”という字をつけて、“ジニョク(진혁)”と呼んでみたら、しっくりきた。名付け屋では、名前に“コン”と“ビン”を入れることを勧められたが、あまり気に入らなかった。結局“ジニョク”に似合いそうな名字“チェ”にした。そのようにして誕生した名前が“チェ・ジニョク”だ。「九家の書 ~千年に一度の恋~」ではク・ウォリョン、「傲慢と偏見」ではク・ドンチという名でも呼ばれた、そのチェ・ジニョクだ。


「傲慢と偏見」では苦痛を感じた

3月に入隊する。入隊前最後の作品は、軽くて明るい作品が良いのではと考えた。しかし「傲慢と偏見」は、その希望とは正反対だった。重くて暗い作品だった。チェ・ジニョクは、「キム・ジンミン監督に誘われた」と語った。「台本は近年では稀なものだった」と続けた。

やはりク・ドンチは難しかった。「苦しみを感じた」というのがチェ・ジニョクの記憶である。時系列順にストーリーが展開されない「傲慢と偏見」の時間が視聴者にとって迷路だったとすれば、チェ・ジニョクは迷路の中を走り回る主人公だった。

それでも「満足している」と語った。苦痛もそれなりに「幸せな苦痛だった」と言う。「ヒットを期待して臨んだ作品ではなかった。ラブストーリーにも期待しなかった。ドンチとヨルムの恋愛がメインになる作品ではなかった。もっと大きなメッセージのあるドラマだった。社会に投げかけるメッセージが大きかった。やりがいがあった」

ムン・ヒマン部長役のチェ・ミンスに学んだことは多い。「演技の最後のステップが、メソッド演技(役柄の内面を重視し、その状況や感情に応じて自然に演じる方法)だと考えた。そのメソッド演技をしている方を初めて見た。僕はただ信じて頼りにしていた」と語った。そのおかげで「本物の俳優になりたい」という欲望が生まれた。チェ・ミンスの影響だ。人間的にも感じたことが大きい。チェ・ジニョクにとってチェ・ミンスは、“かわいくて思いやりのある先輩”だ。「チェ・ミンス先輩は誤解や先入観を持たれている。最年少スタッフにまで皆に気を配る優しい先輩だ。誤解して、悪く話す方もいるが、そんな話を聞くと心が痛い。共演してチェ・ミンス先輩を好きになった。また、尊敬するようになった」

「傲慢と偏見」で残念だった部分もある。撮影時間に追われて、徹底した作品にならなかった。「数学の公式を解くように、『このセリフをなぜ言うのか』と、2~3時間研究して、一晩中ノートを作っていたこともある」と言うチェ・ジニョクだが、「ひどい時は、台本ができてから10分以内に撮影に入ることも会った」という。劣悪な制作環境のせいだ。

最後の21話の撮影は、公訴時効が迫り、放送時間も迫っていた。ク・ドンチが穴を掘ったのは父を埋めた証拠を探すためであり、自分自身を殺人の疑いで起訴したク・ドンチが3年後に弁護士になったのは正当防衛を認められたためだと言ったが、十分な説明はなかった。視聴者たちは苛立った。「すべての関係を整理するには、最後の一話は短すぎた」とチェ・ジニョクも認めた。「煮え切らないと感じた人たちもいた」と話した。しかし「それでも僕たちは満足しながら撮った」と語った。


涙をこらえよう

3月に入隊する。19歳の時に友達と一緒に入隊しようとしていたが、街でスカウトされて人生が変わった。それからおよそ10年になる。

軍生活に対する恐怖心はただ一つだけだ。丸刈りにするのも怖くない。もともと高校生のとき、3分刈り~5分刈りくらいにしていた。軍隊に行くには年齢が高い方だが、若い先任軍人との生活にも恐れはない。来年には一回り年下の後任も入ってくるが、年齢差が大きい分だけスムーズになる部分もあるのではないかと前向きに考える。偉そうな顔はせずに軍生活をしていけば、他の兵士も最終的には認めてくれるものだと信じている。

恐怖はただ一つだけだ。「ただ、兵役中にテレビで俳優仲間を見たとき、演技に対する欲求をどのように満たすのだろうかという恐怖はある」。しかし、その代わりに「2年間熟成されてから出てくると、演技も良くなるんじゃないだろうかと思う」と笑う。

恋人はいない。ペク・ジニに「女性アイドルと仲良くなって、一緒に面会に来て」と言ったという。

「恋愛せずに2年ほど経った。長い時間が経った。ときめきの感情を忘れたようだ。ドラマが終わるから少し寂しい。でも実際は、人と知り合う機会は多くない。クラブに行くこともない。いつも会う人たちに会うことになる。新しい人と付き合うことができる機会は多くない。残りの2ヶ月間、遊ぶつもりだ。一緒に遊ぶ友達がいる。大半が役者の後輩たちだ。軍隊に行くと言うと、『兄さん、信じられないですね』と言った。ハハ。釜山(プサン)に行きたい。友達とお酒を飲みながら、色々な話をしたい。入隊する日は、涙が出そうになるのではないだろうか。悲しい歌を流すと聞いたが……。それでも一度、涙を我慢してみたい」

チェ・ジニョクの入隊前最後のインタビューだった。キム・テホとして生きてきたが、チェ・ジニョクになって、ク・ウォリョンとして生きて、ク・ドンチとしても生きてみたチェ・ジニョク。2017年に復帰した時、その時はどのような名前で現れるのだろうか。訳もなく期待が膨らむ。

記者 : イ・スンロク