カン・ヘジョン「ハルという癒やしとTABLOという永遠の友人のおかげで融通の効く人間になれました」

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2000年代初頭、カン・ヘジョンは韓国映画界の新星だった。多くの人々が先を争うように賞賛した。個性的で、演技力と魅力を備えていると評価され、制作者が欲しがる逸材だった。

何か言いたそうにしながらも、全ては口に出さない様子。それがカン・ヘジョンから感じられる神秘性だと表現しても良いだろう。映画「オールド・ボーイ」「トンマッコルへようこそ」「恋愛の目的」などを経てトップスターに成長する流れに乗ったことは確実だ。しかし、そこには落とし穴があった。他人の視線とカン・ヘジョンが聞いていた心の声には大きな差があったようなのだ。

5年ぶりに映画「犬どろぼう完全計画」で戻ってきたカン・ヘジョンは当時の葛藤や苦悩を乗り越え、“大人”になっていた。


「クレーンゲームのようだった『犬どろぼう完全計画』…主演じゃないことがそんなに重要ですか?」

アメリカの作家バーバラ・オコーナーの小説を原作にした「犬どろぼう完全計画」は、子供向けの作品と見ることもできる。動物と子供をメインにした作品だからだ。ストーリーはシンプルだ。父親が家を出て行き、住む場所を失った少女が、犬にかかった懸賞金でその生活を打開しようと計画を企てるという物語。カン・ヘジョンは「窮屈じゃなくて良かった。家族の話だと、何かを教えたり、教訓を与えようとする傾向があるけれど、この映画は違った。上手く感動を表現した」と出演の理由を明確に説明した。

「クレーンゲームみたいです!」カン・ヘジョンの表現だ。「クレーンゲームにコインを入れて、ささやかな景品を期待していたのに素晴らしいものが穫れたことと同じだ」と言うのが彼女の率直な評価だった。出演している分、完全に客観的に見るということはできないとしても、この言葉からは持ち前の率直さがにじみ出ていた。

自分ではなく、子どもたちを全面に出した作品だったことは重要ではなかった。カン・ヘジョンは「出番は多くなかったけれど、かえって緊張したし、毎回撮影現場で上手くできていたか監督に確認してもらおうとしていた」と雰囲気を伝えた。また「私の出番は少なかったし、子供が多かったので気楽なところもあった」と率直に明かした。

カン・ヘジョンは夫であるEPIK HIGHのTABLOや娘のハルちゃんと共にKBS 2TV「スーパーマンが帰ってきた」にも出演してきた。先日の試写会で「ハルちゃんの母親として生きていることが幸せだ」と話したが、それでも女優としての欲はあったはずだ。カン・ヘジョンは「ちょうど良い作品がなかったし、女優は選択される立場だから待っていた。その間、幸いにもハルという生涯の友人がしっかり育ってくれて、空白期間を存分に使うことができた」と話した。


家族を通じて成長…「仕事と家庭のバランスが重要」

ここで彼女は家族の大切さを改めて強調した。「私の母性愛、怒り、孤独など、あらゆる感情の源は家族だった」と明かし、「それを肌で感じていたが、自分の家庭ができてからまた別の成長を経験している」と伝えた。

「20代のカン・ヘジョンは、火花が散る戦争のようでした。寂しくて憂鬱で怒りの感情が多い時期でした。今は一歩進んだ感じです。ハルという癒しのプレゼントがいるし、TABLOという永遠の友人ができたじゃないですか。もちろん、以前の感情が消えたわけではありませんが、それを融和させ、制御できる融通の利く人間になれたと思います。

だからといって私が母親として満点という訳ではありません!(笑) まだ遠い道のりです。還暦を過ぎたらハルに聞いてみるつもりです。私は母親として何点だったのかと。今は子供にしてあげるべきことがたくさんあります。作品ではなく、バラエティに出演することを心配する方もいらっしゃいますが、私はハルのママと女優カン・へジョンが同じくらい好きです。ハルのおかげで私を覚えてくださっている方も多いし、特にお母さんたちから支持されるようになりました。もう週末ドラマにも出演できる女優になったのでしょうか!」

このような話を聞いていると、カン・ヘジョンは演技にあまり欲がないと思われるかもしれない。しかし、映画公開前からカン・ヘジョンは演劇「リタ Educating Rita」に出演している。それほど表に出すことはないが、演技はカン・ヘジョンという人間のもう一つの原動力でもある。

「本当に何のとりえもない子供でした。兄は学校での成績がいつもトップだったし、弟は手先が器用で特技生として奨学金をもらって学校に通ってたし。私だけがバカでした。そんなふうに過ごしていたある日、偶然雑誌のモデルを始め、何だか自分を認めてもらえたような気がしました。自尊心もあまりありませんでしたが、ドラマや映画に出演しながら認めていただけたので、それが良かったんだと思います。最初は家族から褒められることが嬉しかったのですが、時間が経つにつれて自分自身にとって恥ずかしくない女優になろうと決意するようになりました。いつの間にか本当に女優になりたいと願う私を見つけたのです」

カン・ヘジョンはカメラの前に立つ時、舞台に立つ時の楽しさを十分知って満喫していた。彼女は「こんな楽しみがなかったら多分ハルと一緒に遊んで過ごしていたと思う。ドラマ、映画などジャンルを問わず、たくさんの作品に出演したい」という希望も明かした。

「『あなた、その川を渡らないで』のブームは映画人にとって大きな力になります。『犬どろぼう完全計画』も小規模な映画で、実際にこのような作品がうまくいけば、また他の映画を作るチャンスが来るじゃないですか。予算や規模が小さいのは問題ではないと思います。ただ、多様な種類の作品が出てくることが重要です。このような作品をたくさん愛して頂ければと思います」

記者 : イ・ソンピル、イ・ジョンミン、写真 : イ・ジョンミン