イ・ウンミ「『Spero Spere』生きている限り希望はある」

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写真=ネオビズカンパニー
「この前、ある先輩に言われました。『イ・ウンミが歌うと愛国歌も難しい』…長い間その話が頭の中に残っていました」

ある先輩の一言がイ・ウンミの音楽を変えた。いつも遠くにいるような感じだった彼女をより近い存在にさせてくれた。親切な歌手になると決めたイ・ウンミがその第一歩、アルバム「Spero Spere(生きている限り希望はある)」で戻ってきた。

「『大丈夫』…私が一番聞きたかった言葉」

イ・ウンミは「私は親切な人ではありません」と自身のことを淡々と評価した。「親切になりたいです。易しく、安らかな歌手になりたいです。ただでさえ難しい世の中、歌まで難しい必要はないじゃないですか。それでできる限り易しく作ってみました」

いつも自信満々で強そうに見える彼女にとっても、世の中は知れば知るほど難しいところだった。「これは私だけが感じる感情ではないだろう」と思って周辺を見守った。そしてそこにはファンがいた。イ・ウンミは自身に音楽を許してくれたファンのために歌おうと決心した。

「私も大変な時は慰めてもらいたいのに、私のファンは親切な音楽がどんなに聴きたかったでしょう?私には『大丈夫』と言ってくれる人がいませんでした。だから私はファンにその言葉を言ってあげようと思います。私が一番聞きたい言葉、『大丈夫』という言葉を歌詞に一番多く使いました」

「後輩よ、コラボしよう!」

「先輩」という修飾語が似合うベテラン歌手たちは後輩とのコラボレーションで新しい音楽を試みる。また、癒される。イ・ソニ、イ・スンファン、シン・スンフンなど、多くの歌手がそうだった。しかしイ・ウンミは今回も一人でマイクを握った。

「後輩とのコラボ作業?常に開かれています。いくらでもする気はあります。でも私のイメージが冷たく、とげとげしいからか、後輩たちが私に近づくことが難しいようです。でもだからといって親しくなるために努力したくはありません。間違っているところに触れてあげたいです」

後輩をいじめる先輩?むしろその反対だった。イ・ウンミは後輩を大事に思っているからこそ危ういその姿を見ていられない。時々自分の言葉に後悔をすることになっても、間違ったところは指摘しなければならない。時々自身の口を縫いたいと言うイ・ウンミ。彼女の小言を聞く後輩はむしろ選ばれた歌手なのではないか。

「古いミュージシャンが歌手崩れと思われるのは残念です」

「イ・スンファン、イ・ソニなど、私たちが活動した時代のミュージシャンが同時にカムバックしました。ところが私たちを歌手崩れとして取り扱う傾向があります。長く使われた楽器が名器になるように、歌手もそうだと思います。聴く前に『また出したのか?』と言われると悲しいです。どうか音楽を聴いてから評価してください」

急変している音楽市場。そのため、古い歌手を「時代遅れだ」と思う一部の人にイ・ウンミは残念な心境を吐露した。フルアルバムではなく、ミニアルバムで戻ってきた理由だ。イ・ウンミは「音楽配信チャートにランクインしても1週間を超えるのが難しいです。一日で無くなったりします。アルバム一つひとつにあれほど大きな精を入れるのに…それを見ているアーティストは本当に心が痛いです」と韓国音楽市場の現実を指摘した。

死ぬまで音楽家をすると誓う普通の歌手。しかしイ・ウンミは「いつまで音楽をするかは分かりません。聴き手がいないとできないからです。公演をしながらも『次のステージがなくても大丈夫』と思います。その分、悔いのないステージを作りたいです」と話した。あまりにも現実的なイ・ウンミの姿はなぜか寂しそうに見えた。でもイ・ウンミはもう一度力を出してステージに上がる。音楽を愛しているから…イ・ウンミは自身のステージを許してくれたファンのために話す。「『Spero Spere』、生きている限り希望はある」

記者 : キム・カヨン