Lucid Fall「ニューアルバムに特別な意味はない…その場を満たしてくれる6番目のアルバム」

MYDAILY |

写真=アンテナミュージック
どこかシャープな印象に、もの凄く知的な魅力にくるくると巻かれているような歌手Lucid Fall(ルシッド・フォール)に出会った。彼は明るくない照明の下で一杯のコーヒーを前にして座っていた。「チョコレートを召し上がってください。あ、またコーヒーをお願いします」という注文でインタビューが始まった。

顔を向き合ったLucid Fallは落ち着いて静かな印象だったが、話術はとても軽快だった。途切れることなく続く話の終わりには、相手を配慮する質問と温かい微笑みがあった。

昔、ミニホームページが流行ったときにBGMとしてLucid Fallの曲を使っていたことがあるという言葉に、Lucid Fallは微笑みながら「まだミニホームページをやっていますか」と言いながら「最近スマートフォンにSNSアプリを入れて使ってみましたが、知らない人からメッセージが頻繁に来て、それで消してしまいました」と顔をしかめた。

それと共に、最もよく使うスマートフォンの機能を教えてくれた。彼は「スマートフォンで最もよく使う機能は電話、メッセージです。あ!そして、カレンダーですね。スマートフォンにスケジュールを書き込むと私が使っているパソコンと連携されているんですよ。それでよく使います。次はメモ帳アプリくらい?」と話した。実際に彼のスマートフォンを見せてもらうと、アプリはすっきりとしていてシンプルだった。まるで買ったばかりのように。

スマートフォンの活用度は高くないLucid Fallが、パソコンと連携してスケジュールを管理しているという言葉に「本当に良い世の中になりましたね」と話すと、彼は「そうでもあるが足かせにもなりますよ。ときには本当に第2世代の携帯電話が使いたくなります」と答えた。吟遊詩人と呼ばれるほどアナログ的な彼の感性がどこからやってくるのか垣間見えたような気がした。

これを証明するように、Lucid Fallの今回の6thフルアルバム「花は何も言わない」は自由かつゆったりとしている。そのため、便利ではないが、隠しておいた感情が騒々しく動いているのを感じることができる。去年の夏にソウル北村(ブッチョン)にあるLucid Fallの家と町で誕生した今回の音楽は、彼特有のカラーがあり、曲ごとに暖かく落ち着いている。

「去年の夏から約2ヶ月間にわたって曲の作業をして、その後2ヶ月間録音をしました。私は夜型の作業スタイルではないのですが、夜中の12時から2時までの間に曲がよく浮かんできます。それでも、太陽が昇ると起きて、暁が近づくと床に就きます。アルバム作業をするときは、ほとんど家にいます。北村に住んでいて、ここは行政区域では都市の中心ですが町外れのように自然が豊かに生きていて、作業しやすい場所です」

いつものように自然の中で自然に誕生して軽快な音楽が盛り込まれた今回のアルバムは、Lucid Fallにとってどんな意味を持つのか。彼は、「そうですね。特別な意味はありません。今まで音楽をやってきて、今もやっている人として、そしてこれからも音楽を続ける私にとっては私の歩みの一つになると思います。私のアルバムの中で6番目のアルバム。その場を満たしてくれるのです。それ以上でも以下でもないと思います」と伝えた。

Lucid Fallの音楽に耳を傾けたくなる理由は、誇張されていない元々の大きさの感性が静かに満ちているからであろう。Lucid Fallの音楽は彼と本当によく似ている。

記者 : チェ・ジイェ