「オーロラ姫」ソ・ハジュン“あたえられた配役に充実し、欲を出さずに一途な人でありたい”

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ドラマ出演を通じて実感することのできる俳優の人気を測る基準の一つは、食堂のおばさんたちの反応だ。彼女たちの反応がそのまま視聴者の反応だと思っていいほど即興的かつ反射的だ。美しくて素敵な俳優におかずを余計にサービスしたり、悪役を見事に演じた俳優には非難をしたりする。

非難を浴びようが、サービスのおかずを食べようが、両方とも悪くはない。特に、新人として顔を広めたばかりの俳優にとっては尚更のことだ。まさにMBC毎日ドラマ(月~金曜日に放送されるドラマ)「オーロラ姫」でソル・ソリを務め、人気急上昇中のソ・ハジュンに会った。業界のマネージャーたちがみんな舌を巻くほど、紳士的で素敵なオ・ロラ(チョン・ソミン)のマネージャーソル・ソリは、食堂のおばさんたちがおかずをもっとあげる俳優になった。毎回、厳しい撮影のためにきちんと食事を取ることすらできなくなったが、最近ではたまに食堂に行けばソル・ソリ役のおかげでサービスのおかずが出てくるそうだ。


突然のキャスティングに“びっくり”…「謙虚さを失いたくない」

まず「オーロラ姫」のソル・ソリ役にソ・ハジュンが決まったのは突然のことだった。普通、ドラマの放送前から台本に合わせてキャラクターのオーディションを行う過程を経るが、ソ・ハジュンはそれとは異なり、ドラマの放送途中からソル・ソリとして投入されたのだ。もちろん、イム・ソンハン脚本家の性格を考えると十分にあり得ることだが、俳優の立場から考えるとかなりの瞬発力が必要なことだった。ソ・ハジュンはすでに15話が放送されていた時点で連絡を受け、第25話からドラマに投入された。準備期間は一週間ほどだった。

「それほど準備はできませんでした。まずマネージャー役という情報だけで入りました。台本が出る度に、台詞に応じて準備することが難しかったです。うまく進まない部分があると脚本家のイム・ソンハンさんと電話で話をしました。先生から電話が来るときもあったし、僕が電話して伺うこともありました。そうしながら流れとキャラクターを掴んでいきました。

後で振り返ってみると、僕が考えたキャラクターと先生が考えていたキャラクターは違っていました。僕は台本を受けてマネージャーとしてのソル・ソリだけに集中しましたが、後で財閥という秘密が明らかになります。演技にもっと神秘的なイメージを与えるべきだったのに。途中からまた違うソル・ソリの姿を見せなければなりませんでした」

数人の俳優が途中で降板になり、ソ・ハジュンも様々なメディアで関連の記事が報道されたが、彼は自分自身を失わずにいた。2008年に演劇「いまを生きる(Dead Poets Society)」で俳優としてデビューしてから数年間彷徨い、苦労の末に得た機会であると同時に自分を試すことができる場所だったからだ。

「この作品で目標にしたものは、謙虚さを学ぶことでした。大先輩たちと一緒に作業をするじゃないですか。見習いたいと思ったし、愛してもらえるように僕も今の気持ちを覚えようとしています。(演劇舞台での演技とは違う)カメラ演技も学んだだけに、演技への渇望がより大きくなりました。

この作品に出会う1年前まではとても演技に飢えていました。その時間を振り返り、僕がなぜ演技をしたいと思うのか、考えを整理しました。僕は演技への愛着が大きいということも感じています」


キャラクターよりドラマがヒットすればと思う…“慰めと励ましを”

もちろん、ソ・ハジュンも「オーロラ姫」を巡る議論を知らないわけではない。それにも関わらず、彼は俳優の降板や特定の話題以外にドラマそのものを認めていただきたいと話した。

「『オーロラ姫』を巡って色々とありましたが、僕にとってはキャラクターが重要なわけではなく、ドラマそのものが僕にとっては重要です。この作品が終わるまでに、オ・ロラは誰かと結ばれるでしょう。それが僕になろうと、ファン・ママ(オ・チャンソク)になろうとカップルになる人々には関心と愛情を、一人残されたキャラクターには慰めと励ましを与えていただければ大変ありがたく思います」

“ステージの上で違う世界を生きる人たちの魅力”。これがソ・ハジュンが俳優の道を選んだ決定的な理由だった。高校1年生のとき、偶然ミュージカル「ライオン・キング」を見てから俳優の人生に憧れた。その理由は、“ステージ上の違う人生”だった。公演を見た2日後、ソ・ハジュンは演技学校を訪ねて、受講生になった。


「オーロラ姫」のスター…「謙虚な俳優になります」

演技学校を通じて数々の演技の技術を学んだソ・ハジュンは、それに加えて人を観察する習慣を身に付けた。ただ覗いたり、盗み見ることではない。一人一人が固有の行動を持っているのかを見て、自身のものにするための過程だった。

さらに、ソ・ハジュンはもう一度謙遜さについて言及し、「与えられた人生や配役に充実し、欲を出さずに一途な人でありたい」という言葉が出た。

「2年前、僕が非常に信頼し、頼りにしていた方が亡くなりました。誰かを失う苦痛を知ってはいましたが、それを実際に経験するとその苦痛は本当に言葉では表現できないものでした。恋人との愛だけが全ての愛ではないでしょう。もしかしたら母親よりも頼りにしていた方だったので、喪失の悲しみが大きかったです。

『人生が続く限り、その人生は苦難と逆境の連続である』という言葉があります。僕の一番好きな言葉ですが、ここに付け加えるとしたら、その過程が真の人間になっていく時間だということに最近気付きました。だから俳優の人生も、速くも遅くもない一定の速度で生きていきたいです」

ソ・ハジュンとの一問一答

―ソ・ハジュンにとって女優チョン・ソミンとは?

「僕にとっては教科書のような女優です。『オーロラ姫』を通じて沢山のことを教えてくれました。特に、初めて僕が撮影に加わったとき、カメラ演技の基本を教えてくれました。誰よりもそばで指導してくれた感謝すべき方です」

※これまで広く知られていなかっただけでチョン・ソミンは2004年のデビュー以来、映画とドラマを通じて演技力を認められてきた女優である。映画「シンデレラ」「ラブコール」、ドラマ「エデンの東」「仁粹大妃(インステビ)」などに出演した。

―ソ・ハジュンにとって脚本家イム・ソンハンとは?

「僕にとっては恩人であり、道案内人だと言いたいです。僕がまた演技をすることができるかどうかという分かれ道で彷徨っていたとき、案内してくださった方がまさにイム・ソンハンさんでした」

―ソ・ハジュンにとってインタビューとは?

「インタビューとは“日記”だと思います。記者の方に書いていただく僕の公式日記!」

記者 : イ・ジョンミン、イ・ソンピル 写真 : イ・ジョンミン