もし「ゆれながら咲く花」に恋愛要素があったら?

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写真=KBS 2TV「ゆれながら咲く花」スクリーンショット
ドラマ「ゆれながら咲く花」が16話の短い航海を終えた。

学校の実態をそのまま描くという企画意図通り、最も描きやすい校内暴力からスタートしたこのドラマは、少年少女の友情と和解、思春期の不安、さらには教師たちの成長までをうまく描き、高く評価された。

始まりは教師の権威の崩壊だったものの、鬼のように描かれた学生たちの犠牲だけを強要しなかった。このドラマが伝えようとしたメッセージは、和合だったのである。露骨な説教はなくとも、本当の意味での“学校”に仕上げることに成功した。登場人物の誰もが口にしたセリフは「ごめんね」と「ありがとう」だった。

普通、学園物といえば次の二つのパターンが思い浮かぶ。問題提起だけが相次ぐ青少年ドラマと、学生たちの恋愛物語などと評価される学園ロマンスがそうである。しかし「ゆれながら咲く花」はどちらにも偏らない、独自のブランドを生み出した。メッセージを発信しようとしたのは前者と同じだったが、「ゆれながら咲く花」には学生一人一人の事情とストーリーがあった。

16話が放送される間、ドラマは登場人物一人一人の事情を描きながらも、オムニバス(映画・演劇・文学などで、いくつかの独立した短編を集め、全体として一つの作品となるように構成したもの)形式だった従来の青少年ドラマとは差別化を図る方式を維持した。これはドラマの成功が単なる冬休み特需のおかげではないことを裏付ける。

写真=KBS 2TV「ゆれながら咲く花」スクリーンショット
ところが、ドラマの終了後に一つ気になることがある。学生たちのロマンスを添えようとしたこのドラマは、中盤頃に重要な一つを諦めた。学生の間のラブストーリーがそれである。放送前、「ゆれながら咲く花」のサイトには確かに登場人物をつなぐラブライン(恋愛構図)があった。これはハギョン(パク・セヨン)とナムスン(イ・ジョンソク)をつないでいた。人物関係図によると、ハギョンを中心とする三角関係も予定されていた。しかし、フンス(キム・ウビン)が本格的に登場してから、このラブラインは消えた。ドラマのフォーカスは男女の関係ではなく、学生と学校に徹底して合わせられた。

もしこのラブライン通りにストーリが展開されたとすれば、ドラマはどんな結末を迎えたのだろか。中高生の口にピッタリ合う、胸がドキドキする軽いロマンスに仕上がったかも、ある程度調整して少年少女の微妙な感情を描いた作品になったかもしれない。しかし結果は間違いなく一つだと思う。学校を舞台にしたこれまでのドラマが犯したミスを繰り返したはずだ。お茶の間で中高年層が占める割合は絶対的である。10代と20代の割合は比較的に少ない。10代好みのドラマで全ての年齢層をカバーするのは力不足である。これは視聴率と直結する部分でもある。

「ゆれながら咲く花」が全ての年齢から愛された理由は、ありのままの学校の姿を繊細なタッチで描いたためである。ドラマが最も念を入れたのはキャラクター。最初から中盤まで主に描かれた感動的なストーリーを担当したナムスンとフンスの和解をはじめ、成績とは関係のない友情を分かち合ったハギョンとカンジュ(5DOLLSヒョヨン)、強制転校の勧告を受けたにもかかわらず、学校が大好きだった特殊学生ヨンウ(キム・チャンファン)まで。特にジョンホ(クァク・ジョンウク)とジフン(イ・ジフン)とイギョン(イ・イギョン)は、平凡な人生を生きたくても恵まれていない家庭環境のせいでそうできない若者の姿を上手く描いた。

ジフンがこれまでの過ちを謝罪し、ヨンウがこれを受け入れるシーンは、ドラマ全体を包みながら大きな感動まで与えてくれた。そしてドラマの最後を飾ったのは先生であるインジェ(チャン・ナラ)とセチャン(チェ・ダニエル)の成長だった。これもドラマが伝えようとしてメッセージの一つで、「ゆれながら咲く花」の大胆な選択が通じたと言えよう。

記者 : イ・ヘミ