Tasty「You know me?」

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2人の男はたった一つのストーリーを共有している。それは、もしこの2人が全く違うヘアスタイルをしていなかったら、何度会っても見分けがつかないほど顔が似ている双子であることを意味する。彼らは肩、腰、太ももなどのボディサイズはもちろん、28センチである足のサイズまで全く同じである。「僕たちは25年間、ずっと一緒にいました」と話す兄テリョンの声に「違うクラスになった6ヶ月間だけ離れていて、それ以外はずっと一緒でした」という弟ソリョンの声が重なったが、その声さえも区別しにくいほどそっくりだった。こんな2人がTastyという名前で一緒のステージに立ったら、どんな人でも彼らのことを覚えるだろう。彼らがいきなり「You know me?」と挑発的な質問を投げかけた瞬間、彼らを見ている人々の頭の中には鮮やかな一つの残像が刻まれる。


1と1を足して作った、大きくて鮮やかな“1”

「僕たちはまるで1人のように動きます」とテリョンが話したように、彼らが通り過ぎてきたところには、1つの足跡だけが残っている。とてもやんちゃだったこの双子の兄弟は、13歳の時にテレビでH.O.T.を目撃し、2人とも“恋に落ちた”。その後、2人は19歳の時に1つのチームを組んでオーディションを受けた。たった一度で合格したが、苦難はその時から始まった。アメリカで始めた練習生の生活は、常に他の選択肢を考えたくなるほど辛かったし、何も決まっていない将来が不安に思えるだけだった。

「そんな時に僕がやめたいと言ったら、ソリョンが『まだやめてはいけない』と言って僕を支えてくれて、ソリョンがやめたいと思った時は僕がやめたくなかったんです。2人が一緒にやめようとしたら、そこで終わりだったかもしれないけど、幸いそんな風にはならなかったんです」(テリョン)

2人は愚痴を言ったり、後悔したりといった、まるで呼吸をするようにダンスを踊りながらその時間を耐えた。1と1を足して、より大きくて鮮やかな“1”を作り出す彼らならではの方法が、ここにあったのである。

このように練習を積み重ねながら6年の時が過ぎた後、彼らはようやく歌手としてデビューする日を迎えた。デビューと同時に押し寄せたファンたちは、Tastyに向かって「私は君のことを知っているよ」とはっきり答えてくれる。しかし、デビュー番組を終えてからも真っ直ぐに練習室に向かったという2人にとって、変わったものは何もない。

「一生懸命やった分、戻ってくるとは思うけど、今も将来が保障されているわけではないですからね」(テリョン)

ただ、人生の目標がひたすらデビューすることだけであった彼らにとって、それ以上の仕事を想像できるようになったことだけでも不思議で楽しい日常だ。「バラエティ番組で愛嬌を振りまかなければならない時は、僕がした方が良いと思います」(テリョン)と言ったり「食べるCMなら何でも全部やります。自信を持って言えます!」(ソリョン)と叫ぶTastyの表情から、疲れや緊張感を読み取ることは不可能である。それは熱意と大人らしさを加えた25歳という年齢、着実に積み重ねてきた実力「エネルギードリンクのようなファンたちの応援」をすべて持った彼らであるからである。


「社長が、1位になったら合宿所を変えてくれると言ってくれました」

今まで兄弟が一緒に描いてきたストーリーは明確であるが、つまらなくはない。目標地まで遠まわりして何とか到達したが、決して彼らが費やした時間が無駄ではなかったからだ。そのため「人々が僕たちのことを覚えてくれるようにする」という彼らの新しい目標も、最終的に成し遂げると信じている。また“新人賞受賞”や“音楽番組での1位”のような新人歌手の普遍的な望みも達成できると信じている。

「INFINITEの先輩たちが以前使った合宿所に今僕たちが住んでいるんですが、社長が1位になったら合宿所を変えてくださると言ってくれました。そのために1位になりたいというわけではないですが、とりあえず、ありがとうございますと、一生懸命頑張りますと答えました、ハハハ!」

冗談っぽく言ったが、インタビューが終わった後、躊躇わずに差し出した彼らの手のように、頼もしく心強い一言である。誰もが覚えやすい鮮やかさだ。

記者 : ファン・ヒョジン、写真 : チェ・ギウォン、翻訳 : ナ・ウンジョン