【CLOSE UP】Apink チョン・ウンジ ― ただあなたを愛してる

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こんなに完璧な女の子は初めてだ。学校では授業の時間よりランチタイムに陽気な気分になり、小さなことで友達と力いっぱい喧嘩する。父には口答えして反抗的だが、好きな芸能人の前ではバカみたいに泣いてしまう。tvNドラマ「応答せよ1997」での18歳のソン・シウォンは、韓国女性の学生時代を代表するような少女である。リアルな方言に、がめつい根性はこの世に一人しかいない変わった女の子のように見られるが、実は皆が知っている。程度の差があるだけで、ほとんどの女子学生は少女漫画に登場する長い髪を風になびかせる少女より、恨みと焦りで綴られたソン・シウォンの10代に近い時間を過ごしたことを。そして、その染みこんで曲がりくねった記憶のせいで、今の自分が完成されたことも。

100%に近いソン・シウォンのエネルギー

まるでタイムカプセルのように視聴者たちの頭の中の記憶を再生するボタンを押したようなソン・シウォンは、そういった面で多くの俳優にとって負担となった役であった。ただ“方言を使って演技するドラマ”という情報だけを聞いてオーディションに参加したチョン・ウンジは突然「 一生懸命がんばりますから、やらせて下さい!」とぺこりとおじきをした時、制作スタッフが気付いたことは、演技に対する才能でなく、100%に近いソン・シウォンのエネルギーだったのかもしれない。「Apinkでただ歌っている人なのに、方言を使うという理由で一目見ただけで、保証されてない私をキャスティングして下さって、本~当に感謝しています。負担が大きかったと思います。でも、そのおかげで私の知名度は少し……上がったけど。ヘへ」大人っぽく監督の胸の内まで理解し、感謝する気持ちを伝えた。いくら目の細かい万能こし器でこしても、俳優とキャラクターの違いをこして取り除けないような表情は、誰よりも演技をする自分がよく知っている財産だ。「説明を聞けば聞くほど、どこかで見たようなエピソードでした。家では母と父に反抗したり、喧嘩をしたことや、ほとんど同性の友達のように過ごす男友達。そして、H.O.T.が好きだったことだけを除けば、そのままチョン・ウンジの話だったんです。シウォンを通じて自分の話をするようでした」

「ファンの気持ちをもっと知ることができました」

だが、手入れされない材料は、いくら立派なものだといっても完成品にはなれない。チョン・ウンジは配役を簡単に理解して、没頭して自分のものにするために、与えられた幸運に満足しなかった。歌詞さえ馴染めなかった「戦士の末裔」をグループ活動の合間に少しずつ練習し、踊りと歌を吹きだすように披露するのはもちろん、「本来はもっと踊るはずでしたが、監督に私から話しました。途中でトニーさんが登場したら、ソン・シウォンが緊張して頭がぼーっとなって見つめるのがこのシーンに合っていると思います」という鋭い分析をするほど、台本のことを悩むのは基本である。休む間もなくアドリブを入れるイ・シオン(バン・ソンジェ)と監督が止めるまでカメラの前で行き来することが可能なほど共演者と息を合わせ、緊張して近づけない大先輩のソン・ドンイルとは、激しく喧嘩した後、真剣なアドバイスをしてくれるほど親しい仲になった。願ったものを手に入れるソン・シウォンのように、成功するために努力することは、彼女が持って生まれた最も大きな才能である。

しかし、いくら新しく生えた翼がきらびやかだといって、彼女が本来の道を忘れたわけではない。「ドラマを撮りながらApinkのファンの方々の気持ちをもっと知ることができました。だから、前はステージの上で正確で綺麗な振り付けをすることを気にかけていたけど、今はカメラに映ってないときは、ファンと目を合わせて挨拶することが最も重要なことになりました」と話す彼女は、ファンたちが信頼できる歌手であり、グループのメンバーにとっては心強いメンバーである。そして、一つのことだけでも精一杯の年齢だが、20歳である彼女は歌手と演技を両手に握り、取り組むエネルギーを持っているという点で、 彼女は視聴者たちが期待を惜しむ理由のない有望株である。パッと光って、パッと消える彗星ではなく、やっと私たちにその光が到達し始めた新しい星なのかもしれない。それも今まで見たことのない、愛らしく親近感があって、手が届きそうに近い、まったく違った新しいスター誕生の予感がする。

記者 : ユン・ヒソン、写真 : チェ・ギウォン、編集:ジャン・ギョンジン、翻訳:チェ・ユンジョン