Vol.1 ― 「紳士の品格」CNBLUE イ・ジョンヒョン“俳優たちが奪い合った花”

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写真=SBS

コリンという役は「僕の人生のターニングポイント」

「いらっしゃい、コリンさん」と言いそうになった。SBSドラマ「紳士の品格」の放送が終了していないからだろうか。キム・ドジン(チャン・ドンゴン)の息子コリン役としてすべての撮影を終えたイ・ジョンヒョン(22)には、まだその名前が似合っていた。

CNBLUEを知らない人たちにとって、コリンはイ・ジョンヒョンを“俳優”として先に印象付けた役だ。CNBLUEは2009年日本でインディーズバンドとして活動をスタートし、翌年韓国でデビューし成功した4人組のアイドルバンド。リーダーのジョン・ヨンファがすでに2009年、SBSドラマ「美男ですね」の“スゴンナム(タオル男)”カン・シヌ役で人気を集めていたので、“ジョン・ヨンファグループ”と呼ばれたりもした。そのため、「紳士の品格」はイ・ジョンヒョン個人をさらに世間に知らせる機会となり、彼は今年を人生のターニングポイントに挙げた。

イ・ジョンヒョンは高校1年のときからギターを弾いていた。音楽だけをするというこだわりを少し抑えて出演したドラマ1本で人々から注目されたので、アーティストとして虚しくならないかとの質問に、彼はCNBLUEの日本でのインディーズ時代を回想した。

「日本で本当に苦労しながら6~8ヶ月活動して、観客を2000人集めました。インディーズではそれも大きな数字だったんですが、ヨンファさんがドラマに出演してからそれが5~6000に膨らんだんです。当時虚しかったりもしたんですが、そのようにしてでも僕達の音楽を世間に知らせることができるなら、いいことだと思います。今は僕も自然に(個別)活動をするようになりましたし。最初はヨンファさんが僕達を養っていたんですが(笑) 、今は4人です。イ・ジョンシンももうじきドラマ、KBS 2TV『いとしのソヨン』に出演します」

柔道から音楽、演技まで……人生のターニングポイント

イ・ジョンヒョンは、釜山(プサン)ソンド中学校3年生の時まで柔道をやっていた。釜山で柔道少年だった彼は、全国体育大会で全国1位の選手に出会い、挨拶するやいなや倒され負けて以来柔道をやめた。何でも適当にやるのは嫌だったからだ。

眩しく白い肌に整った目鼻立ちの、漫画に出てきそうな夢の“柔道部の先輩”は、このようにして“ギター弾きの先輩”になった。ずば抜けたルックスでキャスティング関係者の目にとまりCNBLUEのメンバーになったが、ここにはジョン・ヨンファの“功”もあった。釜山でイケメンとして有名だったジョン・ヨンファがキャスティング関係者と会う約束を破り、この関係者はちょうど島に遊びに来たイ・ジョンヒョンに関心を寄せた。

異国的なルックスは、海外に暮らしていたコリン役にキャスティングされるうえでも役に立った。しかし、初めての演技で監督に確信を与えるまでオーディションを7回も受けなければならなかった。イ・ジョンヒョンは「監督が『来週も成長していなければおさらばだ』とおっしゃったが、なんとかキャスティングされました」と当時を回想した。

「ドラマに入りながら、すぐに釜山訛りを標準語に直しました。実は僕は自分がそれほど訛りがひどいとは思っていなかったので特に気を遣いませんでしたが、周りの人はそう考えていなかったみたいです(笑) 演技しながらカメラマッサージ効果(芸能人がデビューしてどんどんキレイになること)が本当にあることも感じました。今は結構垢抜けたものです」


コリンの名台詞?「僕がキム・ウニの息子です」

しかしコリンは、普通の神経ではプレッシャーを感じずには演じられない役だ。韓国で“ハンサムな人”の代名詞となっているチャン・ドンゴンの実の息子という設定があるからだ。それに、息子の存在すら知らなかった“未婚”の父の前に現れ、人生を滅茶苦茶にする“罪がないのに罪深い”複雑な人物だ。

花の中年4人組の初恋の人キム・ウニ(パク・チュミ)の息子コリンの登場で、「紳士の品格」は“メンタル崩壊”状態に陥った。イ・ジョンヒョンはこの唐突なコリンの名台詞として「はじめまして。僕がキム・ウニの息子です」と「3人の中に僕の父がいるそうですが、どなたですか」を挙げた。

「監督から難しい役だと言われました。一見冷たくクールに見えるんですが、心の傷があるので表情にはその痛みが出なければならないと。また、次第に大人らしくなっていかなくてはなりませんでした。僕はコリンを理解しようとはせず、ただシナリオをそのまま受け入れました。コリンの置かれている状況が、ある見方では悲しいかもしれませんが、また温かく表現することもできると思ったので。飾ろうとしたらさらに混乱しそうで、100%僕の考えた通りに演じました」


コリンという人物は、4人の男を紳士に仕立てる役割

40代の男女4組の恋を描いたこのドラマで、20代初めのイ・ジョンヒョンは、ロマンスがない代わりに違う種類の愛をたっぷりと受けた。「先輩たち誰もが、僕を独り占めしようと競争するくらい可愛がってくれました」と自慢した彼は、「運動選手出身なので、礼儀正しいのが功を奏したと思います」と話した。

初恋が成功していたなら本当に親世代になれる年頃のロマンスについてはどう思うかと尋ねた。イ・ジョンヒョンは「必ずしも40代ばかりの話ではないと思います」と伝えた。

「大人だって幼くなる瞬間があるじゃないですか。幼い頃からの友達に会った時とか、そんな男女の話なので、世代差を感じず共感してもらえたと思います。その中で、コリンは紳士になりたい4人の男が紳士になっていく過程、そのものだったと思います。父になって初めて、本当の紳士になる過程です」

あと2話のみを残している「紳士の品格」でコリンの話がどう締めくくられるのか尋ねると、スポイラー(ネタバレの意)になるものかと口を固く結んでいたイ・ジョンヒョンは「コリンもこれから自分の人生を生きなければなりません。親がうまくやるんじゃないですか」と笑った。

イ・ジョンヒョンも歌手としての人生を続けるために、またCNBLUEに戻ってギターを弾いて歌を歌う。メンバーのドラマ出演で忙しく、久しぶりに練習したら幸せになったそうだ。CNBLUEはわずか3年前に観客を1人でもさらに集めようとがんばっていた日本へ、7日出国した。10月に開かれるアリーナツアーでは、約10万人の日本のファンと出会う予定だ。

記者 : イ・ヒョンジン