「カクシタル」オ・モクダンが何をしでかすか分からないので怖い!

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写真=KBS

KBS 2TV「カクシタル」男性アクションドラマで“迷惑女”となる女性の存在

イ・ガント(チュウォン)に向かって、「同胞殺しを先導する悪魔」と叫び、初恋の人からもらった短剣で彼の心臓を狙っていたオ・モクダン(チン・セヨン)が、ついにイ・ガントがカクシタルだという事実に気づいた。ずっと恋していた初恋の相手が親日派のイ・ガントだという事実に困惑していたモクダンだったが、イ・ガントとカクシタルが同一人物だという事実に安堵し、感激して涙を流す。「もうあなたを一人にはしません。あなたとご一緒します」

モクダンのこのセリフに、我が家の家族は悲鳴を上げた。「ダメ!何もしないで!お願いだから、絶対何もしないでじっとしてて!」

韓国ドラマでは、程度の差はあるものの、ヒロインはいつも“迷惑女”だ。それもそのはず、ヒロインは男性主人公が献身的な愛を注ぐ対象であり、彼女への愛を証明するためには、最終的に彼女が何かをしでかさなければならない。ただ彼女を愛おしみ、しでかすことに目くじらを立てず、彼女を助けるために奔走する男性主人公が格好良く見えるのだ。しかし、いくら愛しい彼女と言っても、“迷惑”にもほどがある。

オ・モクダンはしでかし、カクシタルは助ける

「カクシタル」のヒロイン、オ・モクダンも、ドラマの典型から外れない。「カクシタル」の脚本家が、前作「楽しい我が家」で、成功のために全てを捨てたファム・ファタール(魔性の女)ファン・シネや、実は彼女よりも怖かったユン・ヨジョン、自分のすべてを決して諦めないキム・ヘスというキャラクターを描いた人物と同一人物かどうか疑わしいほど、「カクシタル」のヒロイン、オ・モクダンは無気力だ。

いや、彼女のキャラクターは無気力という言葉では説明しきれない。彼女は勇敢だ。第1話から、街中を闊歩する親日派の一行と日本警察に一人で立ち向かい、抵抗した。抗日活動でも、愛国の志士である父を救う活動でも、オ・モクダンは自分の身を顧みず、いつも勇敢に立ち向かった。

だが、そこまでだった。彼女が何かをすると、事がややこしくなる。シュンジがずっと、彼女はカクシタルに関わっているという疑いを持つように、彼女は事をしでかし、カクシタルが助けるという寸法だ。もちろん、それでこそ彼女を愛するシュンジとイ・ガントの葛藤がさらに深まり、事件が次々と起こることになるのだが。

しかし、これは少し強引だ。長く抗日支援活動をしてきた団長が、たった一度警察に連行されただけで変わってしまう時代に、オ・モクダンは警察署にしょっちゅう出入りする。第18話では、疑われていたイ・ガントが、自分の足でシュンジが予約したホテルへ向かう。おそらくいつものように、警官が銃を持って陣取っている警察署からでも彼女を救い出す誰かがいるからだろう。

問題は、カクシタルのヒロインはドラマの典型からまったく外れていないのに、このドラマが普通の恋愛ドラマではなく、手に汗握る抗日アクションファンタジーだということだ。視聴者が、カクシタルの正体がばれるのではないかとハラハラし、シュンジの非情さに身震いしている状況で、最も常識的で献身的に見えたヒロインが、蓋を開けてみれば迷惑女だったのだ。彼女が向う見ずに突っかかったせいで、誰かが捕まり、誰かが怪我をし、ときには死に至ることさえあるため、結局「お願いだから何もしないで」と言うことになる。

しかし、いざ自分の父が処刑されるシーンでは、何もせずに自宅で祈りを捧げている。独立運動をしている父の命を神に乞うなど、宗教色がどうこうという以前に、歯がゆくてならない。しかも、他の人は服の下に白衣を着込み、命掛けで乗り出すシーンなのでなおさらだ。

イ・ガンサン(シン・ヒョンジュン)がカクシタルだった頃は、葛藤の要因は父を死に追いやり、親日派になった人間を暴くことだった。だが、いまやイ・ガントがカクシタルになり、友人シュンジとの葛藤やカクシタルの正体へ焦点が移り、オ・モクダンとの関係と彼女の父ダムサリとの合同抗日活動や逮捕、救命を中心に展開されている。

そのような状況で、オ・モクダンが鍾路(チョンノ)警察署に出入りしたのはもう何度目だろうか。あらゆる拷問にも“岩と卵論”(卵を投げても岩は割れないが、投げ続ければいつか岩は砂になり、そこで卵は雛にかえる:大日本帝国の支配もいつかは終わるというたとえ)を説き、毅然としているダムサリの行動は胸に響く。だがシュンジとイ・ガントを自分の思いのままにし、警察署にしょっちゅう出入りして、見る人を唖然とさせるオ・モクダンを中心としたドラマ展開は慎んでほしい。

気昇会などは眼中にもないシュンジの愛や復讐、彼に立ち向かうカクシタル、友人でありながら最終的にまったく違う道を歩むことになった彼らを中心に展開する男性アクションドラマで、女性の存在と役割のあり方は果たしてどのような姿であるべきだろうか。「カクシタル」を見ながら毎回悩んでしまう。

記者 : イ・ジョンヒ