「私は王である!」弱々しく自己中心的な世宗がどうやって?奇抜なファクション時代劇

OSEN |

映画「私は王である!」(監督:チャン・ギュソン)は、韓国人に一番愛され、尊敬される王である世宗(セジョン)を題材にした。終了したドラマ「根の深い木」で証明された世宗に関わる物語の面白さは、映画でよりドラマチックになる。「根の深い木」は世宗によるハングル創製の過程を見せたが、「私は王である!」はなぜ世宗がそれに関心を持つようになったかに焦点を合わせる。「私は王である!」は、弱々しく自己中心的だった世宗がどうやって優れた君主になったかに対する疑問からスタートした映画である。

30日、ロッテシネマ建国(コングク)大学入口店でメディア配給試写会が開催され、初公開された「私は王である!」は、今まで知られていた世宗を覆すことから始まり、一人の人間の成長ストーリーを見せてくれた。主人公がどのような試練にさらされ、冒険に旅立ち、その過程で人物がどのように変化し、どのように目標を達成するのかというシナリオ作法の基本に沿った物語だが、ファクション(事実(Fact)と虚構(Fiction)とを織り交ぜた作品)時代劇の中で、奇抜な設定で独創的な映画を作り上げた。

尻にできものができるほど、本に埋もれて暮らし、他人のことには関心のなかった忠寧(チュンニョン、チュ・ジフン)は、道楽に溺れている兄讓寧(ヤンニョン、ペク・ドビン)の代わりに皇太子に定められる。皇太子になることを嫌がる忠寧は、悩んだ末、宮廷から逃げる計画を立てる。そして一方には忠寧とそっくりの奴隷トクチル(チュ・ジフン)がいる。仕えていたお嬢様(イ・ハニ)が反逆者の娘にとらわれ、トクチルはお嬢様を助けるために宮廷に向かう。この瓜二つの2人は、運命のように出くわすことになる。

映画は、時代劇に「王子と乞食」という西洋小説をモチーフにし、不思議な調和を見せる。1881年出版された「王子と乞食」は、王子が乞食、乞食は王子となり、それぞれ面白おかしい体験をするストーリーだが、権力の横暴に対して民衆の味方だったマーク・トウェインの批判精神が根底に流れている。これは「私は王である!」とも絶妙に一致するところである。

事実と虚構が縦糸と横糸が組み合わさるようなファクション時代劇というジャンルを利用し、想像力を広げる。実際の歴史上の人物が愉快な姿で登場し、王座をめぐる王室内部の権力争いも、多少違った形で披露される。主人公が時代劇の口調をほとんど使わないのも1つの特徴である。また、「シーンスティーラー(シーン泥棒)」と呼ばれる助演たちが大勢出演し、映画を始終賑わせる。ユーモアは、映画の一番大きい長所の1つである。

さらに一人二役を演じるチュ・ジフンが忠寧とトクチルをうまく演じ分け、CGも自然に描かれている。パク・ヨンギュが兄弟の血の嵐を巻き起こした忠寧の父親太宗(テジョン)役を演じ、新たな王の姿を披露する。また、ドラマ「紳士の品格」で人気を集めているキム・スロが忠寧の護衛武士に扮し、コメディと重厚感を同時に披露した。この他にも、ペク・ユンシク、ピョン・ヒボン、イム・ウォニ、イ・ハニ、ペク・トビンが出演する。

映画「私は王である!」は韓国で8月8日から公開される。

記者 : チェ・ナヨン