ギャグマン歌手、キム・ヨナ選手、SMエンターテインメント…今人々は何を求めるのか

10asia |

「無限に挑戦」でMCナルリュ(ユ・ジェソク)とMCヒョンドン(チョン・ヒョンドン)がラップバトルをするとしたら

6日に公開されたお笑い芸人ユ・ジェソクと歌手イ・ジョクによるユニット、たるんだかたつむりの「部屋の隅の遊び人」の予告映像はMbC「無限に挑戦」の延長線上にある。たるんだかたつむりも、BIGBANGのメンバーであるG-DRAGONのヘアスタイルをパロディ化したパク・ミョンスの登場もすべて「無限に挑戦」から始まった。チョン・ヒョンドンが「無限に挑戦」から始めた“ヒョンドニ”のキャラクターをヒップホップミュージシャンDefconn(デフコン)と組んだプロジェクトグループ、ヒョンドニとデジュニで応用したことも同じである。今「無限に挑戦」が放送されているなら、たるんだかたつむり vs ヒョンドニとデジュニが果たして成功しただろうか。言い換えれば、今の“ギャグマン歌手”と称される現象は錯覚である。

「無限に挑戦」が放送中であれば、たるんだかたつむりやヒョンドニとデジュニは番組のアイテムの中の一つとして登場しそうであり、勇敢な野郎も元々KbS「ギャグコンサート」のコーナーの一つであった。番組とはまったく違う仮想のキャラクターを通じて活動しているUVのユ・セフンだけが例外である。芸人や笑わせるだけの歌は音楽業界を侵食したり、音楽業界を変えようとしているのではない。芸人は彼らの“アイテム”として歌を選択しただけだ。新人がオーディション番組で、プロの歌手が競演番組で歌を歌うように、芸人はバラエティ番組で歌う。そして、たくさんの人々がこの番組で聴いたミュージシャンの音楽だけを好む。本当の問題はそこにあるのだ。

キム・ヨナの道

オリンピックの金メダリストは人々から多くの関心を集めている。だが、みんながキム・ヨナのようなトップスターになれるわけではない。キム・ヨナは1位を獲得するために競争して評価される運動選手であると同時に美しい演技でアイスリンクを公演会場に変える偉大なエンターテイナーだ。観客はキム・ヨナのフィギュアスケートに魅了され、国際大会での成績は誰もが彼女の実力を認める実績である。エンターテイナーや芸術家のような特色を持つフィギュアスケーター、キム・ヨナはこの2つを組み合わせることができ、その瞬間トップスターとして人々から熱狂され国民の英雄としての地位を同時に得た。

同じような例としてはエンターテイナーとしての魅力を海外の実績で認められた後、メディアから賛辞の対象になったアイドルスターがいる。そのため立派に教育実習を終え、着実にアイスショーに出演してきたキム・ヨナに“教育実習はショー”だったとか“運動をしないでCMにだけ出演している”と言っているのは、「早く国際大会に参加して実績を出せ」という要求と同じだ。運動選手らしく運動だけして実績を出してこそ、その成功を認めると。キム・ヨナは多くのメディアと人々が、パフォーマンスの美しさを眺める審美眼や関心もない所でフィギュアスケートをしている。そして昨日“国家代表”に戻ると宣言した。キム・ヨナがどれだけの重荷を背負ってリンクに立つのかは想像すらできない。

SM TOWNカードはポイントを積み立てられますか

SMエンターテインメント(以下SM)のイ・スマン会長が、ソウル蚕室)チャムシル)オリンピック主競技場で8月18日に開かれる「SM TOWN LIVE」で“国籍宣布式”を行うと語った。最近の若い世代は“アナログ国家の市民権”と“文化で結ばれた仮想国家の市民権”の両方を持っている。SMがまさにその仮想国家の役割をするということだ。御大層な宣言のようだが、実際に今までSMがやってきたことを今後も確実に実行するという話だ。SMのすべての所属歌手は熱狂的なファンクラブを重要な基盤として活動している。

一度SMの世界に入れば、CDアルバムを買って、リパッケージ版のCDも買い、韓国国内での公演を見て、そして海外公演も見る。そしてアーティストが出演するCMの商品を全部買うファンたちがSMの最も重要な顧客である。YouTubeとSNS時代に突入しながら世界中のどの場所でも必ず誰かは、SMのアイドルを好きになった。仮想国家の市民権は彼らの性格を規定し、消費対象を明確にするブランドとしての役割を果たすだろう。SMが確実に成功しているからこそ可能なことだが、もしかしたらCJ ONEのカード(ポイントが貯まるクレジットカード)のようにSM TOWNカードを発行するかもしれない。SM TOWNの使用者がそのカードをファンではない人々に平気で見せられるかはまた別の問題ではあるが。

そこで知りたいのはイ・スマン会長の言葉ではなく発言が持つ原動力だ。東方神起からEXO-Kまで、どうやって所属アイドルを全世界の人々が夢中になる存在として育て上げたのだろうか。ひょっとすると、ある地球人のDNAには“SM因子”が存在するのかもしれない。

記者 : カン・ミョンソク、翻訳 : チェ・ユンジョン