「紳士の品格」“女心を掴む男”が“絶対かかわりたくない男”になった

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写真=SBS

時代の先を行くキム・ドジンのクールさ、不愉快な理由

キム・ウンスク脚本家の出世作「パリの恋人」以降、韓国のラブコメディで男性主人公は大半が気難しい性格であった。もうこれ以上、“毒舌”と“気難しさ”は何の特別さも斬新さも与えられない。男性主人公たちの普遍的な傾向であるだけだからである。

もし、SBS「紳士の品格」のキム・ドジン(チャン・ドンゴン)が単純な“気難しい男”だったなら、これまでブラウン管で“気難しいシティーボーイ”にたっぷり対面してきた女性の視聴者たちは、いくらでも彼を寛大に受け入れる用意ができていただろう。

それだけではない。彼の運命の女ソ・イス(キム・ハヌル)に出会う前のありとあらゆるスキャンダルも、親切な性格以外は何でも持っている、イケメン中年の偉大な特権だと、広い心で受け入れることもできただろう。彼が他のラブコメディの男性主人公のように、“一人の女にすべてをかけるタイプ”だったならばのことだ。

しかし残念にも、キム・ドジンは視聴者が期待していたロマンチックな王子様ではなかった。間違いなくソ・イスに片思いしているはずなのに、彼女の見ている前で他の女をベッドに引き入れる大胆さや、ソ・イスの忘れたい恥ずかしい過去を引っ張りだす執拗さだ。

正直言って、40過ぎても彫刻のようにハンサムなルックスで、それなりにエリートでもなかったら、それこそ“絶対かかわりたくない男”に近かった。なぜソ・イスが万人の恋人キム・ドジンを差し置いて、友達の恋人のイム・テサン(キム・スロ)に惚れたのか、甚だ理解できない設定である。


“彫刻イケメン”キム・ドジンが“絶対かかわりたくない男”になった理由

なぜキム・ドジンは“絶対かかわりたくない男”になっただろうか。ドラマでキム・ドジンが、ルックスでイム・テサンを遥かに上回る男性に描かれているためだ。そのため、彼の名前を聞いただけで歯ぎしりするソ・イスのリアリティを強化するために、大部分の女性が嫌がるという“みっともなさ”を大幅に加えたということだろう。

しかし、ソ・イスの感情は置いておいても、今頃画面の外の視聴者たちはキム・ドジンならではの気難しい魅力に浸っていなければならないはずだ。しかしキム・ドジンは、ハンサムで仕事のできる建築士という面以外に、ソ・イスを始めとする女性たちが“心を託したい”と思わせる何かに欠けている。

もしキム・ドジンがソ・イスに片思いしていると告白していないなら、彼の“クール”なプライベートは十分尊重できる。結婚しても依然として「一人の女だけ見つめることはできない」と進んで宣言するイ・ジョンロク(イ・ジョンヒョク)の自由奔放な人生をあるがままに受け入れているようにだ。

しかし、3日放送された「紳士の品格」第4話でキム・ドジンは、プレゼントされた130万ウォンの靴が負担になって返そうと訪れたソ・イスの前で、その靴を他の女に渡す。それも、夜を一緒に過ごした名前も知らない女にだ。この行為は、ソ・イスにとっては“屈辱的”であり、彼への真心までも色あせてしまった。


「紳士の品格」率直さも時には毒になる

ましてはキム・ドジンとは比べものにもならない、本物の女たらしのイ・ジョンロクも、女を落とそうとするときだけは相手の女に「僕には君しかない」と言う。そして妻(キム・ジョンナン)にバレれば弁解して詫びる。そこで、率直すぎて困るキム・ドジンは「これが片思いしている人の態度か」とあきれるソ・イスの前で「片思いしている男は他の女と寝てはいけないのか。それなら僕と寝るのか」と聞き返し、キム・ドジンに寄せていたせめてもの好感まで削り落としてしまった。

キム・ドジンは、片思いの相手の女を置いて、他の女と夜を過ごすのが本人の魅力である“クールさ”だと主張する。しかし、自分を好きだと言いながら他の女と寝る姿を見つかっても堂々とする男の心理を理解できる女が、一体何人いるだろうか。

率直さが美徳になる時代とはいえ、率直すぎるのはかえって真心を必要とする恋愛に毒として作用しかねない。それは“ベンツの王子様”も例外ではない。これはクールさではなくて、普通の常識では到底理解できない無礼さに他ならないのだ。

このまま展開して「ソ・イスはキム・ドジンではなくイム・テサンと結ばれて欲しい」とのクレームが殺到する前に、キム・ドジンは一日でも早く傷ついた女の心を癒す方法を学ばなければならなさそうだ。そうしたとしても第4話まで繰り返し重ねてきた無礼極まりない行動が容易く忘れられそうにはないが。

記者 : クォン・ジンギョン