Vol.1 ― NELL「最近の音楽は刺激的、“1週間用の音楽”なら作らない」

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写真=woollimエンターテインメント

「記憶を歩く時間」は、まったく人気が出ないだろうと思いました

目まぐるしく変化する社会、その中でもさらに変化の速いK-POPの世界。だが、バンドNELLには、時間は重要ではなかった。「私たちの音楽が好きだった方々は、これからも好きになってくれると思います」という自信があったためだ。10年前も、そして今もトレンドとは関係ない音楽をしている彼らだから可能な話だ。

2日ソウル汝矣島(ヨイド)のある食堂で、5thアルバム「SLIP AWAY」で4年ぶりに帰ってきたバンド、NELLに会った。活動再開を記念するコンサートを無事に終えたNELLは、音楽番組への出演などで忙しい毎日を送っていた。


10代で出会って、一緒に30代になった…“音楽チャートを席巻したが、コンサートのセットリストかと思った”

5thアルバムは、NELLもかなり待っていたアルバムだと言う。ギターを弾くイ・ジェギョンは「音楽的にも十分準備ができた状態で、早くアルバムを出さなければなりませんでした。結果を出してすっきりしたし、満足しています」と感想を語った。

5thアルバムは、2008年に発表した4thアルバムに比べ、スケールは大きくなったが、余分な力も抜けている。彼らは「私たちそれぞれの実力も伸びた」と話し、「ジャンルにこだわらず、表現したいものを表現した」と説明した。20代後半、30代前半に表現したいものをすべて音楽の中に融合させたと言う。

「確かに違うものを感じました。30代になったためなのかよく分かりませんが(NELLは1980年生まれの4人が集まって作ったバンドである) ここ3、4年のうち、一番大きい変化を経験したと思います。成長したのかは分からないけど、たくさん変わったようです。前は、とてもつらいと思うこともあったけど、今はつらいと思うことはありません。スタートを切ると、ある程度目指すものが見えてくるようで、かなり落ち着いた感じです。何を経験しても納得がいくし」(キム・ジョンワン)

解脱の境地に達したようなコメントだった。より自然体になったという評価を受けているのも、その延長線上なのだろうか。キム・ジョンワンは「この頃の音楽は刺激的に感じます。制作者が『(音楽配信チャートの上位に) 1週間ランクインされれば長い』と言ったりしますが、一週間だけ聞かせるために音楽を作るわけにはいかないんです。いつまでも気楽に聞ける音楽、虚勢を張らない音楽を作ろうとしました」と説明した。

それでも、人のために音楽をするわけではないが、好きになってくれる人々がいて気持ちは良いと言う。ありのままの姿を表現しようとしたと言う、彼らの努力は報われた。アルバムを発表した後、音楽配信チャートで長い間上位にランキングされた。イ・ジェギョンは「オンラインチャートにランキングされたのは見ました。不思議でした。(私たちのコンサートの)セットリストかと思ったけど、チャートでした」と言い、爆笑を誘った。


ニューヨークで一緒に作業した一流のストリングスミュージシャンは、私たちに「素晴らしい」と言ってくれた

NELLの音楽が良い評判を得ていたとき、他にも注目されていたバンドがある。それは、Busker Buskerだ。音楽の種類は明確に違うが、バンドサウンドが愛されることは、NELLにとっても嬉しいことだった。キム・ジョンワンは「Busker Buskerのアルバムが出たのは後で聞いたが、ただ彼らだからではなく、多様な音楽が愛されるということ自体が望ましいと思います」と言った。

空白期間を経て、いつの間にかデビュー10周年が過ぎた。これといった危機もなく10年を送った。“酒を飲むのも音楽の一部”と思い、よく一緒にお酒も飲むと言う。NELLは「根に持つことなく、すぐに話す方なので今まで問題なく一緒にいることができました。時間がそんなに流れたとも思いません。世の中が変わっていくだけで、私たちはいつも同じです」としながらも「“メンバーの交替なしで13年もやっている”という自負はあります」と自信を示した。

19歳でバンドを結成してクラブでライブをしたときから今まで、 NELLはお金に困ることなく、音楽を続けてきた。「贅沢言ってるな」と思う人もいるかもしれないが、彼らは「お金を儲けられなかった時間が長くて“あれば良いけど、なくてもそれでいい”と思います。正直に言うと、『記憶を歩く時間』はまったく人気が出ないだろうと思ったけど、一番人気がありました。“やりたいことを熱心にやればいいんだ”と思いました」と話した。

5thアルバムを出すまで迂余曲折も多かった。米国、ニューヨークまで飛んでストリングスの録音をするなど、かなり神経を遣った。NELLは「世界最高のミュージシャンとともに仕事をしながら、音楽と向き合う姿勢を学びました。言語は違うけど、通じるものがありました。私たちに『Awesome(素晴らしい) 』と言ってくださり、自信が付きました」と微笑みを浮かべた。ある人には、数多くのアルバムの中の一つかもしれないが、彼らにとっては、ただ一回だけのアルバムなので「これから(音楽に)もっと投資したいです。節約したくありません」と言う。

「『NELLと一緒にすれば熱心になれる。それでいい』とおっしゃってくれるスタッフがいます。照明スタッフ、音響エンジニアが私たちの音楽にはまっていることを見ると、それが一番大きな称賛のように感じます。肯定的なエネルギーを吹き込んでいると、このようなエネルギーが私たちにまた戻ってくると感じます。このように得られたエネルギーを、これからファンの皆さんにもたくさん伝えたいと思います」

記者 : イ・オンヒョク