NELL 、4年ぶりに活動再開…夜も眠れなくなる?

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“噛む”“かぶりつく”…これは肉を食べる様子を表すだけの単語ではありません。音楽も肉のように食べられます。音源、ライブ、楽器、ボーカルなどをそれそれ“噛んでみる”と、いつの間にかおいしい歌を1曲消化しています。でも、ポータルサイトなどでは、読む価値のある記事を探しにくいのが実情です。新しくて意味のある、共感できる記事が増えることを願います。平凡な大学生パク・ジョンウォンより

NELLはみんなの予想を覆した

4年ぶりに復帰したNELLが発表した曲のサウンドは、多くの人々の予想の範囲を超えていた。

彼らの新しいサウンドは、インディーズ時代の“破壊的な憂鬱”でも、4thアルバムで見せた“冷たくて明るいサウンド”でもなかった。派手なメロディー中心のスタイルともほど遠い。言うなれば、徹底的に肩の力を抜いたような感じだろうか。サウンドやボーカルで絶叫したり圧倒しようとしたりせず、徹底的に淡白に作ろうとした印象が強い。

アコースティックギターが活躍する比重が増していて、NELL特有の歯切れの良いエレキギターのストロークはほとんど見られなくなった。ギターのサウンド自体もかなり滑らかなトーンに変わり、悲哀感に破壊力を与えたダイナミックなドラミングも相当落ち着いた印象を受ける。

ここにバイオリン、フリューゲルホルン、オーボエなどの楽器を配置して特有の色を出した。もちろん、アルバム全体が単調なフォークテイストで仕上がっているわけではない。前作で試みた電子音楽の要素もたっぷり溶け込んでいる。


前作よりもだいぶ淡白になった音楽

1曲目と2曲目の「The Ending」と「Go」は、いずれも6分ほどの曲だ。「The Ending」は繰り返されるギターサウンドから、「Go」は反復的なピアノのメロディーから始まる。漂う哀愁感やメロディーの印象よりも、落ち着いた安定的な曲の流れにリスナーは圧倒される。1回聴くだけでは把握しにくい曲だ。

タイトル曲である「そして、残されたものたち」も、1曲目、2曲目のスタイルと似ている。キム・ジョンワンの静かに呟くようなボーカルに、曲の終盤ではバイオリンの演奏でポイントを与えた。この3曲とも、これといったサビが無いため、メロディーに重きを置くリスナーはやや地味な印象を受けるかもしれない。

5曲目の「Standing In The Rain」は、今回のアルバムの中で一番メロディアスな曲である。重いドラムの打ち込みから、前作で披露した電子音楽の要素が感じられる。また、NELLの既存スタイルのメロディー展開が耳に馴染みやすい。前作の5thアルバムのスタイルにもっとも近い曲と言えば、理解しやすい。胸が熱くなる感情を表現したキム・ジョンワンのボーカルが強く心に響く。

8曲目の「Cliff Parade」は1月20日に公開した予告映像に盛り込まれた曲である。アルバムの中で一番ロックテイストが強い。緻密に作られたドラムのリズムは、曲の展開への期待感を高めてくれる。その後、水が豪快に降り注ぐような強い印象のギターのコード進行と、力強く叩くドラムから、無意識のうちにヘッドバンギングしていることだろう。

ダイナミックなサウンドでありながら、かなり安定的な曲の展開が感じられる。NELLのメジャーデビューのアルバム1作目「Let It Rain」に収録された「寄生虫」と比較してみると、その差をはっきり感じられる。


不眠の世界へ誘うNELL…今年の春、ファンは眠れない

何よりもNELLのアルバムで最も魅力的なところは、韓国トップレベルのレコーディングだ。シルクのように繊細なサウンド感は、NELLの最大の武器である。

録音を終えてもサウンド感が期待通りにならないと、修正作業をするのではなく、録音したファイルを全部捨ててしまうことで有名なNELLは、今回のアルバムにおいても期待を裏切らない。今回のアルバムのマスタリングには、スノウ・パトロール、R.E.Mのレコーディングに携わってきたジョン・デイヴィス氏が参加した。

アルバムに対しての説明が長くなったが、やはりNELLの魅力は特有の“憂い”にある。これまでのNELLの作品を定義するなら、その一言に尽きるだろう。NELLにとって、“憂い”は変わらない友人でありパートナーである。今回のアルバムでもそうである。以前のような破壊感がないとは言っても、またサウンドが落ち着いたといっても、彼らの感性そのものが変わったわけではない。解釈する方法が少し変わっただけのことだ。

もしかするとNELLは“様々な色合いの憂鬱”を一つ一つ描いてきたのかもしれない。喜びの感情の色が一つでないことと同じだ。これまで彼らが見せてきた憂鬱が、涙を流してお酒を飲む悲観的なものだとしたら、今の憂鬱は、春に合う、弾む心からくる不眠に悩むような類のものではないか。暖かい春の夜に、眠れない理由が一つできそうだ。

記者 : パク・ジョンウォン