Vol.1 ― 映画「ネバーエンディングストーリー」オム・テウン“人生の目標は細く、長く生きること”

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ぎこちなかったり、困ったとき、“アイグヤ(ははっ)”という感嘆詞とともに大きな笑い声で危機を逃れる男。その笑顔で、見る人の気持ちをほころばせる才能を持っているピュアボーイ。それが俳優オム・テウンだ。

しかし、彼がいつも優しくて、笑っている人だと思っているなら、本当の彼を知っているとは言えない。映画「シルミド」に続き、「家族」「公共の敵2」に出演した時、彼の眼差しは“優しい”というよりは“殺伐”に近かった。組織のボスのために、罪悪感なく凶器を振り回すヤクザの役を演じたときは、“もしかして、暴力の前科がある悪い人間なのでは”と疑うほど、背筋が凍る演技を披露した。


「ダンシング・クィーン」に追いつき、2位になれれば」

1月12日、映画「ネバーエンディングストーリー」(チョン・ヨンジュ監督)の公開を前に、ソウル三清洞(サムチョンドン)で会った日もそうだった。撮影直前、衣装とヘアをチェックする時、鋭い眼差しが垣間見えた。「こちらから始めますか」という写真記者の要求に、その眼差しを隠し、優しい男に変わる。

「僕たちの映画に足りない部分があるのは確かですが、それでも良い点を中心に見てくださるよね?」と同意を求めるインタビューの応じ方も、過去に比べればはるかに上手になった。ちんぷんかんぷんな答えに、さらに短い答えでいつも記者を“恐怖の渦”に陥れたオム・テウンだった。

「姉(オム・ジョンファ)が出演した「ダンシング・クィーン」がかなり良いと聞いたし、「折れた矢」もダークホースだと聞いたので、薄氷を踏むような気持ちです(笑) 2位になれるだけでありがたいです」

オム・テウンは「ネバーエンディングストーリー」で、余命3か月を言い渡されたテコンドー師範、ドンジュを演じる。“死ぬ前に思いっきり恋愛しよう”という軽い気持ちで、同じ状況の女性、ソンギョン(チョン・リョウォン)に出会い、徐々に本当の愛に目覚める人物。自分は腫瘍が小さくなって生存確率が高くなり、ソンギョンは状態が悪化する。そこから生じる亀裂と葛藤が見どころだ。

「ドンジュは大人ですが、子どものような男です。ソンギョンを通して人生が何かを知る、成長するための辛さを経験する人です。「特殊本」を撮影していた時に台本をもらいましたが、悲しみを愉快なコメディとして表現したのが奇抜でした。チョン・リョウォンさんも始めから心を開いてくれたので、とても楽しく撮影しました」



何人かの女優が出演を辞退したそうだが、その度に寂しくならなかったのかと聞くと「とんでもありません」と、手のひらを振った。「もちろん、一緒に出演できないことに対する名残惜しさはありますが、世の中のことが思う通りに進むことってあまりないでしょう」とし、「全ての作品には適任者がいるので、そういうことについてはもう、慣れています」と笑った。

映画「シラノ・エージェンシー」に出演したが、劇中で相手役の女優と“恋愛の駆け引き”が入ったデートをする本格的なラブコメディは今回が初めてだった。オム・テウンは「撮影を労働と感じていたら、毎日が辛かったでしょう。しかし、毎日ピクニックに行くような気がするほど、現場が楽しかったです。残りの撮影回数が減っていくほど、むしろ名残惜しい気持ちになって、時間が早く過ぎていきました」と話した。映画「あなたは遠いところに」に続き、今回も後半でヒロインにビンタされましたねと話すと、「アイグ!(ひゃあ)」と言いながら手を叩いた。恥ずかしいのか窓の外を見ながら「そう言われると、僕の人生もあれですね」と、苦笑いしていた。


今回も女優からビンタ

「そのビンタシーンがわりと重要なポイントで、色んなバージョンで撮影しましたが、僕のイメージ通りではありませんでした。夕日が落ちる頃、急いで撮影したので、ちょっとソースが足りなかったですね。後半作業をもうちょっとして、2月か3月に公開すると思いましたが、思ったより早く公開することになりました」

一番記憶に残っているシーンは海辺での結婚式のシーンだそうだ。前日まで泰安(テアン)の豪雨注意報が解除されず、撮影がキャンセルされると思ったのに、次の日、嘘のように空が晴れたので、記憶にはっきりと残っているそうだ。

「気持ちが落ちるたび、DVDで見たくなるキレイな映画」だと紹介した彼は、「多くの人にとってもカイロのような暖かい映画として記憶されるといいですね。まあ、映画を見終わるともっと寂しくなるか、気持ちが落ちるかもですが」とジョークを飛ばした。

「もし、ドンジュのように余命宣告を受けたらどうするか」を聞くと、準備していたかのように、真剣に答えた。ソウルを離れて、のどかな場所で人生を振り返りながら、死を迎える準備すると話した。「田舎や山に入って、犬たちと散歩したり、人生を振り返りながら、静かに死を迎えるでしょう。この映画を撮影しがら、納骨堂にも何回か行きましたが、7歳の子どもから花ざかりの20代に亡くなった女性の遺骨箱を見て、心の奥がジーンとしました。一日、一日を大切に、そして感謝しながら生きていこうと思いました」

姉オム・ジョンファの話が出ると、「ちょうど昨日、向かい側のカフェでインタビューを受けている姉に出会いました。もし、僕が姉の立場だったら、僕みたいな弟は知らんぷりして、逃げたかも知れません。職もなかった僕を最後まで気にかけてくれた姉には、いつも借りがあるという気持ちです。一日も早くいい人に出会って、結婚してほしいですね」と話した。

KBS「1泊2日」シーズン2については「一人残ることも、一人抜けることもないというのが今の考え」だとし、「メンバーともう少し相談しなければならない問題です」と明かした。「1泊2日」で得たものと、失ったものは何か。「何よりも親しみのあるイメージと広告撮影を多くしたのは、大きな所得」と話しながら笑った後、「俳優としてのイメージが少しなくなったのではないか、という心配はありますが、得たものがとても多いので、大丈夫です」と答えた。


「“門の外があの世”という言葉のように、死ぬ順番なんてないじゃないですか。今日、何が起こるかは誰にもわからないですし。この前、イ・ソンギュンさんのお母さんのお葬式に行った時も実感しました。母が転んで、肋骨が折れて今、入院中ですが、四骨スープ(牛の足の骨を煮込んだスープ、骨折にいいという)がなくなっていないか、確認しなきゃですね。母を傷つけるようなこと言わないで、親孝行していきたいですね。僕たちはもしかしたら、別れる練習をしながら生きているかもしれないですから」

記者 : キム・ボムソク、写真:ソン・ヒョジン