Vol.1 ― スエ、国家代表女優が語る「プロミス ~氷上の女神たち~」

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人生の半分近くを女優として過ごしたスエ。いつも綺麗で優雅な姿で、大衆の記憶の中にいる。しかし、スエの出演作は“気持ちの良い”裏切りの連続だった。切ないラブストーリーからちょっと変わった悪女、アクションの女王まで、スエは毎回変身に変身を繰り返した。

約840万人を動員した映画「国家代表!?」(2009年)の続編である「プロミス ~氷上の女神たち~」においても、スエは今まで見せてこなかった新しい姿を見せる。元・北朝鮮代表チームのアイスホッケー選手リ・ジウォンに扮したのだ。アイスホッケーの迫力とスエが流す熱い汗の雫が、観客の手に汗を握らせ、北朝鮮に置いてきた妹と十数年ぶりにスケートリンク上で会う感動のドラマが観客の目頭を熱くする。

いつ、どんな役でも、大衆の心の中に入る準備ができている“国家代表”女優スエに話を聞いた。

―久しぶりに明るい映画を撮った。

スエ:2009年に「国家代表!?」を母と一緒に見た。その時、本当に楽しく拝見した。そんなこともあり、映画を選ぶ際に影響があった。愉快に見せられるのではと思った。

―大ヒットした「国家代表!?」の続編という点はプレッシャーにならなかったか?

スエ:初めて台本をもらった時、タイトルが「アイスホッケー」だった。しかし、撮影中に「プロミス ~氷上の女神たち~」に変わってからは、ちょっとプレッシャーになった。前作の「国家代表!?」がものすごく愛されていたことを知っていたからだ。その時思い出したのが両親だ。私たちの親世代は「国家代表!?」を本当に楽しくご覧になった方が多いので、「プロミス ~氷上の女神たち~」というタイトルで映画が出るとなると、ある程度は認知度もある状態で始まるのではないかと。今でも不安半分、期待半分で、結果的には良いだろうと信じている。

―女優が6人も集まった映画だ。普通、女性がたくさん集まると、見えない神経戦があるのではと考えるが、現場の雰囲気はどうだったのか。

スエ:チームワークが良かった。6人集まると聞いた時は期待もしたが、不安の方が大きかったことも事実だ。どうしたらバランスが取れるかとすごく悩んだ。私は人見知りする性格なので、その点も心配だったし。最初の撮影は干潟で転がるシーンだった。初っ端から美しい部分は捨てた状態で撮影したためか、すぐに仲良くなれたようだ。最近は女優スエとして、オ・ヨンソとして告知しているほうが違和感がある(笑)

―最初の撮影からそうだったのなら、さらに記憶に残るだろう。

スエ:撮影前に集まって練習はしていたが、本格的に撮影に入った後に一緒に汗を流すのはまた違った。体面を気にする余裕もなく、みんな顔は汗や泥にまみれて完全に崩れていた。だからなおさら記憶に残っている。今になって考えてみると、初っ端からそんな撮影をさせたのは監督の戦略だったのかもしれない。シナリオを見た時、大変だろうなとは察していたが、これ程だとは夢にも思わなかった。おかげで共演者たちとは最初の撮影から絆が生まれた。

―一緒に汗を流して苦労すると、自然と一丸となっていくのではないか。

スエ:私たちは自ら“国家代表”になったので、私たちの姿から1秒たりとも女優が見えてはいけないと考えた。誰一人綺麗に見えてはいけないと決心して撮影に臨んでいた。もし6人が国家代表でなく近所の友達として出てきていたら、話が変わっていたかも知れない。朝BBクリームを塗って出てきても、汗で全部落ちるほどスポーツ選手として頑張って撮影に臨んだので、誰も小細工を利かせられなかった(笑)

―アイスホッケーの激烈さを見せる技術のボディチェック(体当たり)が、劇中のゲームのシーンで休む間もなく登場する。体力の消耗が大きかったと思うが、大変ではなかったか?

スエ:ボディチェックは人物の感情と心理描写を上手くやって、役者が自ら表現しなければならない部分だった。本当に感情の極限を経験した。撮影する度にいつも限界に至っていたが、振り返ってみると大変だったことよりも、その瞬間私を激励してくれた仲間の応援がもっと記憶に残っている。もし一人でこの映画を導いていかなければならなかったら、本当に大変だったはずだ。

―ハ・ジェスクは靭帯の手術をし、キム・イェウォンは肩を脱臼した。負傷した役者が多かったが、スエは怪我をしなかったか?

スエ:私だけでなく、全ての役者が打撲は基本だった。私は撮影で初めて足の爪が剥がれた。空港で走るシーンを撮って家に帰ったら、足の爪がちょっと痛かった。その時はただそんなものなんだと放っておいた。だが次に再び撮影をしようとした時、足が痛くて走りづらいとも言えなかった。後で見ると、足の爪が剥がれていた。

―記憶に残っている撮影はあるか?

スエ:現地訓練に行ったことが記憶に残っている。監督が行く前にイメージ写真を見せてくれたのは本当に綺麗な所だった。期待を膨らませて行った。だけど地獄のような訓練だった(笑) 映画で現地訓練に行くシーンが出てくるところはジーンとした。苦労もたくさんしたし、思い出も多かった。だからそのシーンがドラマの内容と関係なく、個人的に色んな思いが出てくる。

―学生時代に修学旅行や体験活動に行ったような感じなのか?

スエ:実際は現場ではそんなに余裕はなかった。昼間の体力の消耗が大きくて、夜はかなり疲れていた。だから体力のある人だけ別に集まった。ダルス先輩、私、オ・ヨンソ、ハ・ジェスク、キム・イェウォンが集まった。チン・ジヒは当時、勉強を頑張る時だったのでいなくて、キム・スルギはドラマの撮影を並行していたので残念ながらそれほど長く一緒に過ごせなかった。

―共演した役者は、それぞれの役とどれくらい似ているか?

スエ:まずオ・ヨンソはチェギョンとは違う。気さくで可愛い。ハ・ジェスクも小心者じゃない。キム・イェウォンは映画の中では面白くて愉快だけど、実際はすごく真面目な役者だ。スルギには意表を突かれた。初めての台本読み合わせ稽古の時の様子が印象的だった。感情に忠実でしっかりしている。普段はか弱くてはにかみ屋だが、カメラが回り始めると変わる。意表を突かれた。

記者 : ユン・ジュンピル、翻訳 : 前田康代、写真 : ソ・イェジン